陰と陽
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図書館で、さっき見つけた太極図の本とは他に
いくつか勉強になりそうな本を借りる。
そろそろ3限目が始まる時間だ。
図書館から出て本館のロビーに入ると、
そこはさっきより人の数が多くなっていた。
階段を上がって、小教室まで移動する。
本館の階段の窓はガラス張りで、外の風景が見える。
空を見ると、灰色の空が広がっていた。
「午後から雨だって言ってたしな。」
折り畳み傘、持ってきて正解だった。
そんなことを思いながら、再び足を動かそうとすると、見知った人影が窓から見えた。
「あ。」
彼である。
遠巻きでよく見えないが、またタバコを吸っているみたいだ。
「そこ、吸っちゃいけないとこだっての。」
聞こえない相手に、そう呟く。
そうして見ていると、
彼は電話をしていることに気づいた。
管理人と、連絡がついたのかしら。
そうだと嬉しい。
是非そうしてもらいたい。
あんなことになるのは御免だ。
あんな涙をみることも。
ゴーンと鐘の音が鳴る。
しまった、予鈴だ。
一気に階段を上がり、部屋へと駆け出す。
駆け出しながら、また思う。
何故こんなに、
何故こんなに気になってしまうのだろう。
3限の一般教養を受けると、
本日の学業は終了する。
今日はこのあとバイトの予定だ。
内容はスーパーレジ打ちと簡単な作業だが、そこで働く人間関係がややこしく、
嵐は毎度閉口するのだった。
週3日、(木曜日5時間、授業のない金曜と休みの土曜日8時間)働いて十分な給金を貰えているので文句は言えないのだけど。
下腹に力を入れ、バイト先へと足を進める。
喫煙所を通り、校門を抜けようとする。
あの匂いを無意識に探している。
「だから関係ないんだってば。」
何度同じことを自分に言い聞かせなくてはならないのか。
その時、あのタバコの香りが匂いだ気がした。
振り返ると、彼が他のスモーカーに混じり、タバコを吸っていた。
「あ。」
頭一つ分小さい彼の背は、見つけられにくいはずなのに、そこだけ空間を貼り付けたように存在感があり、目線がいってしまう。
何やら他の生徒達と談笑しているようだ。
「楽しそうに話しちゃって。」
発せられた自分の声が思ったよりも暗いものを秘めていることにたじろく。
「あ、しまったバイト。」
もう直ぐ時間だ。
私は仕事先まで駆け出した。
「スーパーマル得」
とデカデカ書かれた看板を前に、
嵐は息を吐く。
裏口から店内へと入り、
準備をしてタイムカードを押す。
カシャンと乾いた音がして印刷された数字が出てくる。
仕事だ。
「ちょっと、関寺さん?
あなた、もっと笑顔で応対してちょうだいよ。
陰気くさくなるったらありゃしない。」
「‥すみません。」
いつも通りが好きな自分だが、
この職場に関しては、変化があってほしいと切望する限りだ。
パート長の“社会に出るものとして当然の指導”を受けつつ、私はレジでひたすら商品をスキャンする。
それにしても、
あの太極図のことを思い浮かべる。
あれって一体なんなのだろう。
哲学と書いていたけれど。
あれから少し読み進めたが、 実際のところ茫漠としすぎていまいちよく分からない。
それ程頭が悪いわけでもないんだけどな‥。
「関寺さん!ちょっと!ボサっとしてないでキビキビ動いて!」
「はい。」
その後は、ボサっとしてないでひたすらキビキビ働いた。
いくつか勉強になりそうな本を借りる。
そろそろ3限目が始まる時間だ。
図書館から出て本館のロビーに入ると、
そこはさっきより人の数が多くなっていた。
階段を上がって、小教室まで移動する。
本館の階段の窓はガラス張りで、外の風景が見える。
空を見ると、灰色の空が広がっていた。
「午後から雨だって言ってたしな。」
折り畳み傘、持ってきて正解だった。
そんなことを思いながら、再び足を動かそうとすると、見知った人影が窓から見えた。
「あ。」
彼である。
遠巻きでよく見えないが、またタバコを吸っているみたいだ。
「そこ、吸っちゃいけないとこだっての。」
聞こえない相手に、そう呟く。
そうして見ていると、
彼は電話をしていることに気づいた。
管理人と、連絡がついたのかしら。
そうだと嬉しい。
是非そうしてもらいたい。
あんなことになるのは御免だ。
あんな涙をみることも。
ゴーンと鐘の音が鳴る。
しまった、予鈴だ。
一気に階段を上がり、部屋へと駆け出す。
駆け出しながら、また思う。
何故こんなに、
何故こんなに気になってしまうのだろう。
3限の一般教養を受けると、
本日の学業は終了する。
今日はこのあとバイトの予定だ。
内容はスーパーレジ打ちと簡単な作業だが、そこで働く人間関係がややこしく、
嵐は毎度閉口するのだった。
週3日、(木曜日5時間、授業のない金曜と休みの土曜日8時間)働いて十分な給金を貰えているので文句は言えないのだけど。
下腹に力を入れ、バイト先へと足を進める。
喫煙所を通り、校門を抜けようとする。
あの匂いを無意識に探している。
「だから関係ないんだってば。」
何度同じことを自分に言い聞かせなくてはならないのか。
その時、あのタバコの香りが匂いだ気がした。
振り返ると、彼が他のスモーカーに混じり、タバコを吸っていた。
「あ。」
頭一つ分小さい彼の背は、見つけられにくいはずなのに、そこだけ空間を貼り付けたように存在感があり、目線がいってしまう。
何やら他の生徒達と談笑しているようだ。
「楽しそうに話しちゃって。」
発せられた自分の声が思ったよりも暗いものを秘めていることにたじろく。
「あ、しまったバイト。」
もう直ぐ時間だ。
私は仕事先まで駆け出した。
「スーパーマル得」
とデカデカ書かれた看板を前に、
嵐は息を吐く。
裏口から店内へと入り、
準備をしてタイムカードを押す。
カシャンと乾いた音がして印刷された数字が出てくる。
仕事だ。
「ちょっと、関寺さん?
あなた、もっと笑顔で応対してちょうだいよ。
陰気くさくなるったらありゃしない。」
「‥すみません。」
いつも通りが好きな自分だが、
この職場に関しては、変化があってほしいと切望する限りだ。
パート長の“社会に出るものとして当然の指導”を受けつつ、私はレジでひたすら商品をスキャンする。
それにしても、
あの太極図のことを思い浮かべる。
あれって一体なんなのだろう。
哲学と書いていたけれど。
あれから少し読み進めたが、 実際のところ茫漠としすぎていまいちよく分からない。
それ程頭が悪いわけでもないんだけどな‥。
「関寺さん!ちょっと!ボサっとしてないでキビキビ動いて!」
「はい。」
その後は、ボサっとしてないでひたすらキビキビ働いた。