鍋はあごだしに限る
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何もない彼の部屋で、
ぽつりぽつりとタバコを吸いながら彼は話す。
子供の頃の彼のこと、
そこで出会った1人の老人のこと、
あの歌のこと、
そして、その後のこと、涙のワケも。
今ようやく、
タバコを吸う彼の背中が、横顔が、
何故こんなにさみしげなのか見当がついた。
ついた分だけ、
もっともっと切なくなった。
「その人が、会いたくても会えない、大切な人…。」
私は、しばらく前に想像していた
“会いたくても会えない人”のイメージを思い出しながら話した。
彼は私の顔を一瞥しながら、
「女じゃなくてよかたな。」
と茶化したように笑った。
本当もう、この人は千里眼すぎる。
私の膨れたような顔をそっと腕を伸ばして撫でてから、フッと小さく笑った。
「大切…かは分からんけど。
ま、そういうことね。」
それからまた、少しだけ顔をそらしてタバコを吸う。
「ずっと空いてるね。この辺。」
そう言った彼の手は、
彼自身の胸のあたりを掴んでいる。
「もう、よく分からん。」
彼はギュッと潰れそうなぐらい強くそこを掴んでから、直ぐにそれをやめた。
まるで、汚いものにでも触れたみたいに嫌そうに。
私は耐えきれず彼を抱き寄せた。
彼は少し驚いたけれど、
そのまま私の背中に腕を回した。
彼は続ける。
「よく分からんまま、
それでも何故か生きて、
お前に会て、それで初めて帰ろうと思た。」
「けどー」
「何にもなかたね。
ドブの海も、小屋も、ゴミも。」
「何にも…噓みたいにね。」
「何故だかー」
「何故だか涙が止まらなかたね。」
彼の顔は抱き合っているので見えないが、その分声がよく聞こえる。
その声は少し震えていた。
私は彼を抱く腕を強めた。
荒れる海に溺れてしまわないように。
揺るがないまま
私は彼のそばに居たかった。
「だから飽きるまで泣いた。」
彼の声がそっと告げる。
「その間ずっと、お前が頭から離れないね。
変ね。離れない、ずっと。」
そうだったのだ。
彼も、私と。
私はもうそれだけで十分だった。
「気づいたら土産まで買てここにいる。」
そう言って彼は私から離れた。
顔を上げると、
目をそらさずに優しく笑う、
あの日の彼がそこに居た。
「宿題、お前が出す前に話したのは黙ていなくなた詫びね。」
さっきとまるっきり違う意地悪そうな声で彼はそう言った。
「詫びって、やっぱり何も言わないで帰った意識あったんじゃないですか!」
「まさか泣かれるなんて思てなかたからな。」
「まさかって‥」
「“当然”泣いたのか?」
彼は私の目の奥を見つめ、そう尋ねた。
「‥そりゃそうですよ。」
今までのことをまたぶり返し、
私はまた泣きそうになる。
どうも最近涙腺が弱い。
泣きすぎて壊れてしまったのかな。
彼は眉をへの字に下げ、
笑ったような泣きそうなような様子で息をはいた。
「‥お前に泣かれるのは厄介ね。」
「‥面倒ですか‥‥。」
「そうと違う。」
そう私に近づいて言う。
「##NAME1##が泣くの見たくない。」
「え?」
さっきとは逆に、
私が彼に抱き寄せられた。
「嵐が泣くと、心が辛い。
嵐が笑うとマシになる。」
彼の発するその言葉が、
まるで知らない国の言葉のように拙く聞こえ、私は笑う。
拙いからと言って、それが嘘だとは決して思わなかった。
嬉しかった。
ぽつりぽつりとタバコを吸いながら彼は話す。
子供の頃の彼のこと、
そこで出会った1人の老人のこと、
あの歌のこと、
そして、その後のこと、涙のワケも。
今ようやく、
タバコを吸う彼の背中が、横顔が、
何故こんなにさみしげなのか見当がついた。
ついた分だけ、
もっともっと切なくなった。
「その人が、会いたくても会えない、大切な人…。」
私は、しばらく前に想像していた
“会いたくても会えない人”のイメージを思い出しながら話した。
彼は私の顔を一瞥しながら、
「女じゃなくてよかたな。」
と茶化したように笑った。
本当もう、この人は千里眼すぎる。
私の膨れたような顔をそっと腕を伸ばして撫でてから、フッと小さく笑った。
「大切…かは分からんけど。
ま、そういうことね。」
それからまた、少しだけ顔をそらしてタバコを吸う。
「ずっと空いてるね。この辺。」
そう言った彼の手は、
彼自身の胸のあたりを掴んでいる。
「もう、よく分からん。」
彼はギュッと潰れそうなぐらい強くそこを掴んでから、直ぐにそれをやめた。
まるで、汚いものにでも触れたみたいに嫌そうに。
私は耐えきれず彼を抱き寄せた。
彼は少し驚いたけれど、
そのまま私の背中に腕を回した。
彼は続ける。
「よく分からんまま、
それでも何故か生きて、
お前に会て、それで初めて帰ろうと思た。」
「けどー」
「何にもなかたね。
ドブの海も、小屋も、ゴミも。」
「何にも…噓みたいにね。」
「何故だかー」
「何故だか涙が止まらなかたね。」
彼の顔は抱き合っているので見えないが、その分声がよく聞こえる。
その声は少し震えていた。
私は彼を抱く腕を強めた。
荒れる海に溺れてしまわないように。
揺るがないまま
私は彼のそばに居たかった。
「だから飽きるまで泣いた。」
彼の声がそっと告げる。
「その間ずっと、お前が頭から離れないね。
変ね。離れない、ずっと。」
そうだったのだ。
彼も、私と。
私はもうそれだけで十分だった。
「気づいたら土産まで買てここにいる。」
そう言って彼は私から離れた。
顔を上げると、
目をそらさずに優しく笑う、
あの日の彼がそこに居た。
「宿題、お前が出す前に話したのは黙ていなくなた詫びね。」
さっきとまるっきり違う意地悪そうな声で彼はそう言った。
「詫びって、やっぱり何も言わないで帰った意識あったんじゃないですか!」
「まさか泣かれるなんて思てなかたからな。」
「まさかって‥」
「“当然”泣いたのか?」
彼は私の目の奥を見つめ、そう尋ねた。
「‥そりゃそうですよ。」
今までのことをまたぶり返し、
私はまた泣きそうになる。
どうも最近涙腺が弱い。
泣きすぎて壊れてしまったのかな。
彼は眉をへの字に下げ、
笑ったような泣きそうなような様子で息をはいた。
「‥お前に泣かれるのは厄介ね。」
「‥面倒ですか‥‥。」
「そうと違う。」
そう私に近づいて言う。
「##NAME1##が泣くの見たくない。」
「え?」
さっきとは逆に、
私が彼に抱き寄せられた。
「嵐が泣くと、心が辛い。
嵐が笑うとマシになる。」
彼の発するその言葉が、
まるで知らない国の言葉のように拙く聞こえ、私は笑う。
拙いからと言って、それが嘘だとは決して思わなかった。
嬉しかった。