欠片
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朝起きる、学校の支度をする。
食欲はまるでないのでそのまま出掛ける。
クリスマスや試験も終わり、
冬休み目前。
今年も終わりを告げようとしている。
この休みを利用して
スキーに行くだの台湾に旅行だのと騒がしい生徒の間をぬいながら
私は掲示板の前で溜息をつく。
観念して話そう。
彼が姿を消した。
そして彼の不在に、
私は痛々しいくらいに動揺している。
最初はいつものように
仕事が忙しいのだろうと思っていた。
しかし、
あの毎週水曜日の授業にも彼は顔を出さず、
代わりに本館の掲示板で
「哲学心理概論は次の週から都合により
担当講師が変更になります。」
の文字を見てから
ようやく
「彼が姿を消した」という事実を悟った。
信用問題に響くのでは?
と心配したが、
一部の生徒を除いて誰も彼に非難の言葉を述べるものはいなかった。
最初のうちは、なんて勝手な人だろうと憤慨し
その裏側でやはり人あしらいが上手い人だと感心したが、
それからの私の心の中は、
台風直撃の後のように吹き荒び、
空虚で静かで混沌としている。
何故ー
何故あの時、もっとちゃんと彼に向き合わなかったのだろう。
おかしいと思ったはずなのに。
そう考えると思い当たる節が多すぎた。
あの日、彼は私に何か言おうとしていたのだ。
そして、それを私が遮ったのだ。
痛みを覚えた胸も、今は何も感じない。
まるで穴が開いたみたいだ。
それでも私は
いつも通りに生活することを勤めた。
そうでないと、
何かが壊れてしまう気がしたから。
しかし、そのいつもを想像すると、
彼とのことが頭をよぎる。
「‥情けな。」
私は無意味に顔だけで笑う。
人は選別できない出来事に直面すると、
もう笑うことしか出来ないのだと気づいた。
家に帰ればまた食事もせずに、
課題をこなして、後の時間はずっと彼から借りた漫画ばかり読んでいた。
彼の面影をなぞるのは、
苦しいが、忘れようと嘘をつくよりも楽なことだった。
馬鹿みたいだ。
こんなことは馬鹿みたい。
分かっている。
けれど、どうしようもないことがあるのだ。
私は理屈じゃなくもう身体で知っていた。
“会いたい奴に会えなくなた時、
お前ならどうする”
彼の宿題が、こんなにもリアルに感じるなんて思いもしなかった。
彼は、こんな気持ちだったのだろうか。
何を言ってるんだ。
“教えるのに時間がかかる”
“待っていろ”
そう言ってもいたからまた戻ってくるかもしれないじゃないか。
そうやって己を元気づけてみても
焼け石に水しかならなかった。
会えない奴がどこの誰だか、
そもそも、本当にそんな存在がいたのかさえ何も分からないが
もしそうだとしたら、
どれ程の苦痛だっただろうと思う。
今なら分かる気がする。
それは、
まるで終わりの見えない拷問のようだ。
私なら、どうする。
どうしたい。
待つって何を?
あれはどういう意味で言った言葉なのだろう。
そう考えても答えは浮かばず、
今の私は、
惨めにとりあえずの時間をやり過ごしているだけだ。
会えないやつに会えなくなった時、
私は本当は、どうしたいのだろう。
食欲はまるでないのでそのまま出掛ける。
クリスマスや試験も終わり、
冬休み目前。
今年も終わりを告げようとしている。
この休みを利用して
スキーに行くだの台湾に旅行だのと騒がしい生徒の間をぬいながら
私は掲示板の前で溜息をつく。
観念して話そう。
彼が姿を消した。
そして彼の不在に、
私は痛々しいくらいに動揺している。
最初はいつものように
仕事が忙しいのだろうと思っていた。
しかし、
あの毎週水曜日の授業にも彼は顔を出さず、
代わりに本館の掲示板で
「哲学心理概論は次の週から都合により
担当講師が変更になります。」
の文字を見てから
ようやく
「彼が姿を消した」という事実を悟った。
信用問題に響くのでは?
と心配したが、
一部の生徒を除いて誰も彼に非難の言葉を述べるものはいなかった。
最初のうちは、なんて勝手な人だろうと憤慨し
その裏側でやはり人あしらいが上手い人だと感心したが、
それからの私の心の中は、
台風直撃の後のように吹き荒び、
空虚で静かで混沌としている。
何故ー
何故あの時、もっとちゃんと彼に向き合わなかったのだろう。
おかしいと思ったはずなのに。
そう考えると思い当たる節が多すぎた。
あの日、彼は私に何か言おうとしていたのだ。
そして、それを私が遮ったのだ。
痛みを覚えた胸も、今は何も感じない。
まるで穴が開いたみたいだ。
それでも私は
いつも通りに生活することを勤めた。
そうでないと、
何かが壊れてしまう気がしたから。
しかし、そのいつもを想像すると、
彼とのことが頭をよぎる。
「‥情けな。」
私は無意味に顔だけで笑う。
人は選別できない出来事に直面すると、
もう笑うことしか出来ないのだと気づいた。
家に帰ればまた食事もせずに、
課題をこなして、後の時間はずっと彼から借りた漫画ばかり読んでいた。
彼の面影をなぞるのは、
苦しいが、忘れようと嘘をつくよりも楽なことだった。
馬鹿みたいだ。
こんなことは馬鹿みたい。
分かっている。
けれど、どうしようもないことがあるのだ。
私は理屈じゃなくもう身体で知っていた。
“会いたい奴に会えなくなた時、
お前ならどうする”
彼の宿題が、こんなにもリアルに感じるなんて思いもしなかった。
彼は、こんな気持ちだったのだろうか。
何を言ってるんだ。
“教えるのに時間がかかる”
“待っていろ”
そう言ってもいたからまた戻ってくるかもしれないじゃないか。
そうやって己を元気づけてみても
焼け石に水しかならなかった。
会えない奴がどこの誰だか、
そもそも、本当にそんな存在がいたのかさえ何も分からないが
もしそうだとしたら、
どれ程の苦痛だっただろうと思う。
今なら分かる気がする。
それは、
まるで終わりの見えない拷問のようだ。
私なら、どうする。
どうしたい。
待つって何を?
あれはどういう意味で言った言葉なのだろう。
そう考えても答えは浮かばず、
今の私は、
惨めにとりあえずの時間をやり過ごしているだけだ。
会えないやつに会えなくなった時、
私は本当は、どうしたいのだろう。