海
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例によってまたフィンクスさんに借りたであろう車に乗せられ、
30分程が経過しただろうか。
どこに行くのかと助手席で尋ねても
彼は無視を決め込み運転している。
これじゃあ本当に誘拐だ。
「どうしてたか。」
彼は前をまっすぐ見ながら声を出す。
「え?」
「あれから、どうしてた。」
“あれから”というのは聞かなくとも分かる。
あの日からだ。
私が彼に言葉を放ってから五日間のことを尋ねているのだ。
それはこっちが聞きたいと思いながら言葉を探す。
「えっとその‥。」
「漫然としてたな。」
赤信号にひっかかり、
彼が私を見ながらタバコを探る。
まったくこの人は。
「‥分かってるなら聞かないでください。」
「ハハ、お互い様ね。」
そう言いながらカシュっと音をさせて火をつける。
信号が青に変わり、
煙が彼の方に少しだけ開けられた窓へと吸い込まれる。
なんだ。
と私は思っていた。
なんだ、こんなもんじゃないか。
非日常だと思っていた出来事も、
蓋を開ければ何でもない。
彼から返事があるわけでもなく、
分かりやすい無視をされるでもなく、
“そのこと”があったという事実を踏まえながらこうやって毎日が進んでいくんだ。
ホント、なんだって感じだ。
そうして私は安堵と失望がないまぜになった妙な気持ちで息を吐く。
「運気逃げるね。」
溜息についての説教だろう。
「運気とかどうでもいいクセに。」
「バレたか。」
私が言い返すと、彼は面白そうに笑った。
気のせいか、
今日はよく笑うような気がする。
その笑顔があまりにも儚くて優しいせいで、
私は少し心配になる。
まるで、これが最後みたいだ。
いや、気のせいだ。
考えすぎだそんなこと。
「どした。」
そこで彼を見つめすぎてしまったらしいと気づき、
弾かれたように返事をする。
「分かりますよ、それぐらい。」
「お見通しだな。」
どっちがだ。
そんな念を込めて彼を見返すと、
「分かっている」と言うみたいに
私を少し片手で小突いた。
30分程が経過しただろうか。
どこに行くのかと助手席で尋ねても
彼は無視を決め込み運転している。
これじゃあ本当に誘拐だ。
「どうしてたか。」
彼は前をまっすぐ見ながら声を出す。
「え?」
「あれから、どうしてた。」
“あれから”というのは聞かなくとも分かる。
あの日からだ。
私が彼に言葉を放ってから五日間のことを尋ねているのだ。
それはこっちが聞きたいと思いながら言葉を探す。
「えっとその‥。」
「漫然としてたな。」
赤信号にひっかかり、
彼が私を見ながらタバコを探る。
まったくこの人は。
「‥分かってるなら聞かないでください。」
「ハハ、お互い様ね。」
そう言いながらカシュっと音をさせて火をつける。
信号が青に変わり、
煙が彼の方に少しだけ開けられた窓へと吸い込まれる。
なんだ。
と私は思っていた。
なんだ、こんなもんじゃないか。
非日常だと思っていた出来事も、
蓋を開ければ何でもない。
彼から返事があるわけでもなく、
分かりやすい無視をされるでもなく、
“そのこと”があったという事実を踏まえながらこうやって毎日が進んでいくんだ。
ホント、なんだって感じだ。
そうして私は安堵と失望がないまぜになった妙な気持ちで息を吐く。
「運気逃げるね。」
溜息についての説教だろう。
「運気とかどうでもいいクセに。」
「バレたか。」
私が言い返すと、彼は面白そうに笑った。
気のせいか、
今日はよく笑うような気がする。
その笑顔があまりにも儚くて優しいせいで、
私は少し心配になる。
まるで、これが最後みたいだ。
いや、気のせいだ。
考えすぎだそんなこと。
「どした。」
そこで彼を見つめすぎてしまったらしいと気づき、
弾かれたように返事をする。
「分かりますよ、それぐらい。」
「お見通しだな。」
どっちがだ。
そんな念を込めて彼を見返すと、
「分かっている」と言うみたいに
私を少し片手で小突いた。