霧谷柊
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私が見つめる背中はいつも静かだった。
プリント配布の時にだけ振り向かれる背中。
視線はいつも手元を見つめていて、視線があったことはなかった。
「柊、少しいいか?」
と教室に現れたのは異様なオーラーを放つ、この学苑で最も名を馳せる頼城紫暮だった。
柊、と呼ばれた目の前の背中は、少し肩を落として黙って教室を出ていった。
彼らは紛れもなくこの街を救うために存在するヒーローだ。頼城紫暮に関して、あまりいい噂は聞いたことがなかったが、それでもヒーローだった。
それに小柄な先輩。常に学年首位で頭が良いと聞いたことがある。いつか、「あいつはロボットだ、人工知能が搭載されたAIなんだよ」なんて噂が蔓延っていたのを思い出す。
柊。先程そう呼ばれた背中も、ヒーローだ。彼の噂はあまり聞いたことがない。「親がいない」という話が一時期私たちの中で話題にはなったが、真相は分からないままだった。
「風間さん」
突然呼ばれた名前に私は顔を上げた。
声の主は、私が見つめ続けてきた背中だった。
いつの間に帰ってきていたのだろうか。
「な、なに?」とあからさまな動揺を見せた私を他所に、彼は「次の授業で答え合わせする問2(1)の答えってわかる?」と続けてノートを持って距離を縮める。
あぁ、そういえば今日は私たちが当たる番だったな、と思う。
「多分③が正解だと思うけど、あまり自信ないな」
「大丈夫、俺と答えが違うから絶対合ってる。ありがとう、助かった。」
言葉の意味を理解出来ずにきょとんとしてしまった私に、彼は照れながら「俺、勉強めっきりダメなんだ」と笑って、もう一度「ありがとう」と呟いて、いつも通り私に背中を見せた。
いつも見つめていた背中は広くて、あたたかくて、どこで儚げであったが、それ以上に男らしかった。
顔を見れば肌は人より少し焼けていて、目は猫のようだった。キラキラと光っていた。声も高くもなく、低過ぎず、落ち着いていた。
背中は、彼をよく表していた。
……びっくりした。
普段聞くことない彼の声、普段見ることの出来ない瞳、その瞳に私が写ったという事実に私は眠るまで胸は高鳴ったままだった。
プリント配布の時にだけ振り向かれる背中。
視線はいつも手元を見つめていて、視線があったことはなかった。
「柊、少しいいか?」
と教室に現れたのは異様なオーラーを放つ、この学苑で最も名を馳せる頼城紫暮だった。
柊、と呼ばれた目の前の背中は、少し肩を落として黙って教室を出ていった。
彼らは紛れもなくこの街を救うために存在するヒーローだ。頼城紫暮に関して、あまりいい噂は聞いたことがなかったが、それでもヒーローだった。
それに小柄な先輩。常に学年首位で頭が良いと聞いたことがある。いつか、「あいつはロボットだ、人工知能が搭載されたAIなんだよ」なんて噂が蔓延っていたのを思い出す。
柊。先程そう呼ばれた背中も、ヒーローだ。彼の噂はあまり聞いたことがない。「親がいない」という話が一時期私たちの中で話題にはなったが、真相は分からないままだった。
「風間さん」
突然呼ばれた名前に私は顔を上げた。
声の主は、私が見つめ続けてきた背中だった。
いつの間に帰ってきていたのだろうか。
「な、なに?」とあからさまな動揺を見せた私を他所に、彼は「次の授業で答え合わせする問2(1)の答えってわかる?」と続けてノートを持って距離を縮める。
あぁ、そういえば今日は私たちが当たる番だったな、と思う。
「多分③が正解だと思うけど、あまり自信ないな」
「大丈夫、俺と答えが違うから絶対合ってる。ありがとう、助かった。」
言葉の意味を理解出来ずにきょとんとしてしまった私に、彼は照れながら「俺、勉強めっきりダメなんだ」と笑って、もう一度「ありがとう」と呟いて、いつも通り私に背中を見せた。
いつも見つめていた背中は広くて、あたたかくて、どこで儚げであったが、それ以上に男らしかった。
顔を見れば肌は人より少し焼けていて、目は猫のようだった。キラキラと光っていた。声も高くもなく、低過ぎず、落ち着いていた。
背中は、彼をよく表していた。
……びっくりした。
普段聞くことない彼の声、普段見ることの出来ない瞳、その瞳に私が写ったという事実に私は眠るまで胸は高鳴ったままだった。
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