丹桂王国の妹姫
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地球に到着した私達を迎えたのは、凛々しい目元が印象的な美男子──あとから聞いた話によれば、女性なのだそうだ──と、澄んだ海のような髪色に、どこか謎めいた雰囲気を備えた美しい女だった。
今回、私達が地球を訪れることはあらかじめ連絡を入れている。
だけどそれは「セーラームーンが知っている」ことと同一ではない、とお姉さまが言ったから、内心不安もあった。
けれど、結局──はっきり「会うな」とは、一言も言われなかった。
私も、星野も。
『あたしがいつまでもこんなだから、みんなに心配かけてるのよね。あなたのことまで巻き込んで……』
お姉さまから話があった日、そう言って目を伏せたファイターの姿が脳裏を過ぎった。
時を重ねて忘れられる気持ちなら、故郷にいた間にいくらかは楽になっているのではないかと思う。
だけど、軽率に「会いに行こう」なんて提案もできない。それがファイターに、星野にとって良い方向に働くことだと確信が持てない限りは。
「私、街を歩きたいな。せっかく地球に来たことだし、いろんなお店も見て回りたい。案内してくれる? ……星野」
難しい顔で佇んだままの、上着の裾を引く。
星野ははっとこちらに視線を落として、それから表情を緩めた。
「任せとけ。この辺は生活圏だったからさ、ちょっとは詳しいんだ」
「えへへ、楽しみ。そうだ、お姉さま達へのお土産も探そうっと」
「……ありがとな、ひかり」
群青色の瞳が、やさしく細められる。私の好きな表情。
「何のこと?」
下手くそな気遣いなんか、星野にはお見通しみたい。
悔しいけど嬉しくて、私もつい唇を緩めた。
「言ったじゃない。私、地球観光してみたかったの!」