丹桂王国の妹姫
Name Change
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それからというもの──。
お姉さまから話があったのだろう、今まで見たことないくらい申し訳なさそうな顔をしたファイターが私のところにやって来たり、向こうで失礼のないよう、メイカーを教師役にお勉強をしたり、地球訪問へ向けて慌ただしい日が続いていた。
一般常識の詰め込みがどうにか完了し、ようやく一息。
他愛ない話をする、ひとときの中──区切りがついて安堵したのか、いつもより柔らかい表情をしたメイカーが言った。
「念のため、人目のある場所で『ファイター』と呼ぶのは避けた方がいいかもしれませんね。ギャラクシア……カオスの脅威が去ったとはいえ、万一のことがないとは言い切れません。地球でのファイターはアイドルの『星野光』として名前も顔も売れてしまっているので、難しいところですが……」
「そっか。三人とも、地球では男の子の姿をしてたんだよね」
軽く聞かされてはいたものの、改めて新鮮だ。
両性を有するといっても、守護戦士であるスターライツは圧倒的に女性でいることの方が多い。
私の記憶の限り、彼らの男性姿に覚えはなかった。
「メイカーは?」
「私はタイキと名乗っていました。タイキ・コウ」
メイカーは手にしたペンで、スラスラと地球の文字を書き出してゆく。
星野光、夜天光、大気光。
最後に「スリーライツ」と記して、それをぐるりと丸で囲んだ。
「みんな『光』の字を使ってるんだ。……いいな、私も地球に行った時は『ひかり』って名乗ろうかな」
「いいと思いますよ」
ふと気配が変わって、メイカーの手元に落としていた視線を持ち上げる。
向かいで品の良い笑みを浮かべている相手は、気が付くとセーラースターメイカーでなく、淡黄色のスーツがよく似合う男性へと変わっていた。
「──びっくりした……!」
「そんなに驚いてもらえると、不意を突いた甲斐があります」
「メイカー、すごく背が高いんだね。声もちょっと違う……」
「ええ。正真正銘の男性体ですから」
「なんだよ大気、二人だけで楽しそうなことして」
「おや、星野。──プリンセス」
そのうえ、メイカーの後ろからひょこっと姿を見せたファイターも、どういうわけか男の子の姿。
もちろんヒーラーも同様で、彼女──彼の隣で、お姉さまがクスクスと笑っている。
「お疲れさま。少し休憩にしませんか? ひかり」
「……もう。もっと早く声をかけてくださればいいのに」
「ごめんなさい、熱心に聞いていたから、見ていたくなって」
いつの間にか片された机の上に、てきぱきとお茶の準備が整えられていく。
「ファイター」
「ん?」
呼びかけると、ファイターは手を止めてこちらを振り向いた。
長い黒髪も眼差しもいつものファイターなのに、顔つきも体つきも声も、全部が男の子だ。
これが星野光。地球でのファイターの姿。
「……かっこいいね」
「だろ?」
端正な顔に爽やかな笑顔。悪戯っぽいウインクがとても板についていて、アイドルをやっていたということに強い納得を覚えた。
きっと、地球の女の子たちもメロメロだったんだ。
キレイでかっこいいなんて、ファイターは強すぎる。