丹桂王国の妹姫
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「冗談でしょ?」
「…………」
「あなた、子供の頃から今日までのアタシたちの気遣い、一体なんだと思っていたの?」
「…………」
「こっちは、できるだけファイターと二人の時間を作ってあげてたつもりだったのに」
「……いつの間にか二人がいなくなるのは、お姉さまに付いてるからだと思ってて……」
「ただそれだけの理由なら、ファイターを置いていくはずないじゃない」
「お姉さまの意向かと思ってて……!」
「……まあ、そうね。確かにプリンセスが、アタシ達三人の誰かをあなたに付けられることは多いわ。アタシが今、こうしてるみたいに」
これも平和が戻った証拠よね、と小さく吐息を漏らす。
そのまま、若葉色の瞳をすうっとこちらへ滑らせて、ヒーラーが言った。
「行くの? ……地球へ」
「……うん」
「やめた方がいいんじゃない、辛いわよ、絶対」
「……どれくらい?」
「決まってるじゃない。『ファイターに恋人ができるくらい』よ」
「……だ、大丈夫だよ。これまで『ファイターの特別になりたい』なんて、思ったことなかったもん」
「そりゃあ、ファイターは火球さまの戦士だもの。あの方のご意向で、実質、半分はあなたのものでもあったわけ。すでに『特別』だったのよ、これまでが。だけど──」
「うん……」
そこで言葉を止めてしまったけれど、彼女が言わんとすることは私にも分かった。
花のような貌に、気遣わしげな翳りが浮かぶ。
私が何一つ気付かないでいた間もこうして案じてくれていただろうことを思うと、胸の中が温かいものでいっぱいになる。
「今のファイターを見ているのも、辛いから……想い人を見つめる姿を見るのとどっちが辛いか、一度じっくり比べてみるね。──ありがとう、ヒーラー」
「……泣いたって知らないから」
そう言って、ヒーラーがぷいと顔を背ける。
言葉にしてみたら、少しだけ心が軽くなった。
そうだ。どっちにしても辛いんだから、私が悩む必要なんかなかったんだ。