File.03 黒の組織との関係性
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普段夜は寝ないのでこうした時間に十分でも眠れるとそれでいい。
たまに本庁で張ってる時も気付けば寝ている時がある。
いつもいるあの位置は太陽が丁度いい具合に降り注ぎ眠さを与えてくれる。
そして起きてまだ車があると安心する。
「聞いてます?」
「聞いてないです……」
かれこれ帰ってからもう一時間は話を聞いている。
いや、20分を過ぎた所で集中力は切れ右から左へと言葉は流れていって頭に入っていない。
お風呂にも入り後は寝るだけなのだが目の前の安室さんはそれを許してはくれない。
さっきもおやすみと言ってベランダの扉に手を掛けた所、腕を掴まれまた戻された。
「今日はたまたま運がよかっただけです」
「そうだね」
「ジンの前で無言だった事は賢明な判断だったとは思いますけど今後組織のメンバーがいると思えばまず接触はしないで逃げてください」
「え、やだよ逃げないよ、私一人ならどうでもいいけどそこに安室さんがいるなら置いては逃げないよ」
外は雨の音がした。
カーテンが閉まっているので音だけだが、ここに来てから初めてだ。
チラと外に目を向けたのでまた安室さんからの怒りは飛んでくる。
いや、怒ってはいないのだろうけれど、ネチネチ話が長い。
「それに変装の達人だっているんです、無闇矢鱈に組織には関わらない方がいい」
「ベルモットでしょ?匂い覚えたから大丈夫」
「ちょっと待ってください、何故ベルモットを知ってるんです?」
「数日前に安室さんとベルモットが会ってる所コナンと見たの」
「コナン君もですか」
はぁと溜め息を吐いて今度こそ説教を諦めてくれるようだ。
そしてやっと寝る気になってくれたようで安室さんは寝室へと姿を消したのだが、直ぐに戻って来た。
「何してるんです?寝ますよ」
安室さんの寝室である和室へ行くと何故かベッドの布団を捲った後に、机を端に寄せ、座布団を折り枕にして床に転がった安室さん。
「…………」
なんで今日は床で寝るんだと疑問はあったけれど、小首を傾げ安室さんの寝転がってる隣を歩く。
「どこ行くんですか」
扉のカーテンに手を掛けた所で安室さんから待ったの声だ。
「外は雨ですよ」
「知ってるよ、音聞こえてるから」
「なら、何で出ようとするんですか、濡れます」
「大丈夫だよ、屋根あるし」
「風が吹いているので濡れます」
「ちょっとくらい平気だよ」
度々思う。
安室さんと私は相性最悪なんじゃないかと。
こんな三十年も生きていない糞ガキに何度も怒られ何度も注意を受け何度も言い合いをしている。
もう顔を合わせると必ずといっていい程噛み合わない会話をしてしまう。
そして九割私が折れている。
今回もそうなった。
腕を掴まれ部屋の中にいるように言われ、この部屋で寝ろと。
「ふかふかの布団譲りますよ」
「結構、ここで寝るよ」
カーテンの側へ行き座って目を閉じたのだが、安室さんは小さく息を吐き起き上がってパソコンをするようだ。
確かにいつもよりも寝るには時間が早いけれど、休める時に休めばいいものを、この人は眠れないのか。
落ち着かない。
この姿で誰かの前で寝ようとするのは。
妖怪の姿になろうと久しぶりに犬の形になった。
そして後ろ足を縮め前足を伸ばし、その上に顎を置いた時、ジッと感じる視線に目を合わせる。
「なに?」
「その姿でも話せるんですね」
「まぁ、この姿犬だけど妖怪だからね」
こんな銀色の毛並みの犬なんて見た事ないだろうに。
もう感覚おかしくなって来てるんじゃないかな。
現に今驚きはしなかった。
そしてまだ何か言いたいのかジーッと見てくる。
「なに?」
「いや、間近で見るのは初めてだなと思っただけで……触っても?」
どこをどう、と聞きたかったけれど答えを聞くよりも早く目の前に来て両手で頬を触られた。
ふわふわと頬を撫でられると擽ったいけれどもっと撫でてほしい気持ちになる。
目を細めて黙っているとよしよしともっと撫でてくれる。
「気持ちいいのか?」
「なんでそう思うの?」
「尻尾が揺れてる」
ああ、バレバレだったか。
素直過ぎる体で悪かったなとゆっくり揺れている尻尾に舌打ちが漏れそうになった。
「ははっ、こっちの姿の方が可愛げがあるな」
どういう意味だ。
だけど、安室さんのこんな表情初めて見たかもしれない。
ずっと怒られたり文句言われたりばっかりだったし、貼り付けた笑顔も山のように見て来た。
なのに、こんな風に笑うんだもんな。
これが素の表情だとすると、また見てみたいと思った。
「安室さんも……こっちの方がいい…」
「ん?何か言ったか?」
「いや、別に……」
消え入りそうな声は安室さんに届かなかったようで少しホッとした。
そんな事を言ってしまえば気にしてあまり笑ってくれなくなりそうだ。
嬉しそうに微笑む青い瞳をじっと見つめた。
