File.06 ジンとの関係
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くあっと欠伸をしてからもう一度寝ようと寝返りを打つと、誰だこの裸は。
いや、待て昨日自分は何をした。
確か八人で任務を遂行し、それが無事に終わってからジンを車に乗せて必要な物を買って、ホテルへと戻って来た。
そしてそのままホテルに泊まり込んだ。
シャワーの後髪も乾かさず一瞬で寝たように思ったけど…。
裸の胸板から首を上に向けると、見知った顔がすぐ傍にある。
まさか私はこの男と…なんて考えたけどちゃんとホテルで用意されているパジャマは着ていた。
いや、情事後この男が服を着せたとか…。
ジンがどんな夜をおくっているかは知らないけど、相手に服を着せるという行為はやらないだろうな。
そう考えるとジンは私と素敵な夜を共にしていない。
体に違和感もないし、あるのはこの男が何故裸なのかという事。
「ジーン、朝だよ起きて」
カーテンから射し込む光に何時だと時計を確認する為に携帯を手に取る。
それから電源ボタンを押して画面を表示するとえげつない数の電話とメールが来ている。
それも全て零からのモノだ。
「るせぇ……」
「ねぇ、なんでジン裸なの?」
あ?と不機嫌そうに答えたけど続けて出た言葉はいつもだと一言。
そしてさらに私の携帯を引っ掴むとその着信数とメールの数にニヤリと笑っている。
「大事にされてんじゃねぇか」
「え、コレを見てそんな事言うのジンだけじゃない?」
大事というより少し行き過ぎてないかと思う件数だ。
でもよかった、ホーム画面なのでアイコンの上から数字が出ているだけ。
名前の表示はされていないので本名がバレる事はなかった。
そして携帯の時計を見てもう十時かと呟き、ジンは上体を起こして煙草に火をつける。
あ、パンツは履いてるんだね。
ゴロンとジンとは反対を向いて零のメールを一件ずつ読んでいく。
今何処で誰といる。
ジンといるなら帰って来い。
取り敢えず見たら連絡しろ。
などなど。
似たような内容のモノが沢山。
溜め息が零れると、頭に温かいものが乗り優しく撫でた。
ゴロンとまたジンの方へ向くとそれは大きな手だった。
「帰るか?」
「えぇー、やだなぁ…引っ越ししたい」
それかもう一つ零にバレないように家を借りようか。
いや、家具の購入や片付けが面倒なのでやめておこう。
上体を起こして返信画面を開き、そのうち帰るよと零に送った。
すると、秒で携帯が震える。
メールだと思えば震えがやまないので電話だ。
勿論その相手は零。
画面には兄の文字。
たった今見られると困るので名前を変更したばかり。
出ようか悩んでいると隣から手が伸びてきてパッと携帯が手から無くなったと思えばジンは口を開いていた。
「よお、バーボン」
ああああ、勝手に出ないでほしい。
これは説教が一時間は延びる。
「手は出しちゃいねぇ……保証は出来ねぇなあ?」
ニヤリと人の悪い笑みで笑っている。
最早誰が巻き込んで誰が巻き込まれたのか分からない。
欠伸をしてベッドから下りると手を掴まれて引っ張られた。
「わきゃっ」
なんか変な声出たななんて思ったけど、視界は反転して目の前にはくくっと笑っているジン。
その手に持っていた携帯を返してくれる。
「もう一泊していくか?」
「え、いいの?」
『帰って来い!』
え…と携帯に目を向けるとまだ通話のままだった。
電話を切ったから返してくれたのではなく、話すだろうと手元にくれただけだったようだ。
ジンの体を押せば簡単に彼は退けてくれてベッドに腰掛ける。
『梅…怒らないから帰って来い』
携帯を耳に当てると呟くように言われた。
優しく静かに言われた筈なのに、どこか叫んでいるようにも思えたのはあの着信とメールの数からそう思っただけなのか。
「あの、帰るけど…」
『今すぐにだ』
「静かに怒ってるじゃん!」
ブチッと通話を切ってさらに電源も落とす。
その間にジンは服を着替えていたようで出掛けるのかと聞けば昨日の事を上へ報告に行くらしい。
ちょっと待ってとバイトに行くので髪を簡単に可愛く結い、用意をしてホテルを一緒に出た。
駐車場の所まで一緒に行き、いつの間にか戻っているポルシェにジンが乗り込み颯爽に去って行った。
本当使える部下っていいな。
ウォッカの顔を浮かべながら愛車に乗り家までの道を走った。
パソコンと洗濯する服を家に置いてからその足でポアロへ向かう。
今日は12時からバイトなのでギリギリだったけど何とか間に合った。
「おはようございます」
イヤホンを片耳に入れてエプロンを付けてからキッチンへ入り、にこりと笑って声を掛けると零は一瞬驚いた顔を見せたものの、おはようございますと返してくれた。
「今日は来ないのかと思ってましたよ」
「いえいえ、仕事なので忘れてない限り出勤しますよ」
忙しい時間帯に入り今日もせっせと働く。
もう零に正体がバレてしまったのでシャキッとしようと手際よく料理を作っていく。
ドジキャラを演じてたわけじゃないけど、ほらよく言うメイクやイメチェンをすると自信がつくとかそんな感じ。
料理は確かに上手くないけど覚えた所まではさくさくと出来る。
キャベツの千切りもザクッザクッと切っていた所をスパパパパパッと切ればそれはもう驚いた顔をして見てくる零。
味付けはどうあれ簡単な切り方ならこれくらいは出来る。
「梅ちゃん料理の腕上げたね」
カウンター席でカレーを食べていた常連の人に言われた。
「最近料理教室に行き始めたんですよ」
にこりと笑って嘘を吐く。
客に背を向け、チャーハンを作る為にフライパンを振るう。
零の見様見真似だけどこれも出来ない事はない。
それにしてもフライパン重い。
欠伸をして眠いな、なんて思った時携帯が震えたのですぐ様イヤホンを押した。
