File.03 安室宅へお泊まり
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朝、目が覚めると零はもう隣に居なくて、ベッドから出てリビングへと足を運んだ。
すると、キッチンに立ってにこにこしながら朝ご飯を作っていた。
主夫。
「おはよ、もう出来るから顔洗ってこい」
「うぃー」
顔を洗って持って来ていた歯ブラシを使い、それをまた来る時に使おうと零の歯ブラシ立ての入れ物に一緒に入れておく。
簡単に化粧をして部屋に戻ると机の上にはとても朝食とは思えない量が並べられていた。
ご飯にお味噌汁、卵焼きと焼き魚に納豆。
「食パン焼いたら三分なのに」
「栄養偏るだろ」
「毎日こんなの食べてるの?」
「日による」
だよね、29歳の一人暮らしの男が毎日これだとちょっと引く。
絶対こんなやつと結婚出来ねぇよって女子は山程いる事だろう。
寧ろ栄養だの何だの気にしてないくらいの方が男らしくて料理作ってあげたい、なんて女性が寄って来そうなものの…あ、違うわ、この人は出来ても出来なくても女は寄ってくる。
「梅の好きなやつってどんなやつなんだ?」
朝からこの話か。
まぁ誰だと聞かれるよりマシか。
いただきますと手を合わせてお味噌汁を飲む。
こんな家政婦いたら最強だ。
「外見?中身?」
「どっちも」
グルグルと納豆を掻き混ぜる。
「んー、真っ直ぐな人だけど、ひねくれてるかな」
「どっちだよ」
「頭いいよ」
「それで?」
「綺麗な瞳してる」
魚の骨を取って卵焼きを食べて、あ、凄いふわふわ。
お茶を飲んでいるとまだどんなやつなのか聞いてくる。
面倒臭いけどあんただよ!とは言えない。
「そいつとはいつ知り合ったんだ?」
「結構昔に」
「地元のやつか?」
「そうなるね」
朝食を全て胃の中に流し込みご馳走様と手を合わせた。
何かを考えてる様子の零を横目に食べ終わった食器を洗おうとキッチンに立つと、まだ食べている零にじっと見られ、なんだと視線を向ければ口を開いた。
そして予想もしなかった言葉が降ってきた。
「一緒に住まないか?」
手から食器が落ちそうな程の言葉だ。
「零と、私が?」
「組織の目はあるが、特に怪しい動きをしなければ問題ない」
組織、ねぇ。
どうしようかと頭を回転させるが焦り過ぎてて思うように回らない。
「ちょっと考えさせて」
零と一緒に住むと言う事は一人の時間が減ると言う事。
一緒に居られるのは嬉しいけど、私にも本職がある。
その隠し場所もどうしようか。
一度、秀一に相談してみよう。
頭のいい彼なら住む前提で何かいい案を出してくれるかもしれない。
「赤井には相談するなよ」
「え……」
「顔に出てる」
ムッとした顔で食べ終えた食器をシンクに置いた零。
そして布巾で洗い終わった食器を拭いていく。
ポアロでもこんな感じだな、なんて脳の端で考えた。
「だからと言って沖矢昴にも話すな」
行動が読まれている。
なら、新一くんにでも聞いてみるか。
荷物を持って玄関まで行くと、俺も行くと言って後ろをついて来た。
「一旦家に荷物置きに行くんだけど…」
「だから俺も行く。どうせバイト一緒だろ」
スっとさり気なく荷物を持ってくれる。
こんな所も女性の心を擽るんだろう。
年齢層幅広そうで本当困る。
そもそも安室透は年上キラーな気もするけど、女子高生からの人気も根強い。
降谷零は仕事人間だし実際仕事してる所は見た事がないけど、同僚や年下に好かれてそうだし、バーボンに至っては勘だけどハニートラップでそれはそれは綺麗なスレンダー女性の隣を歩いてそうだ。
そう考えると果たして私に入る隙はあるのだろうか。
「零って彼女作れないけど欲しいなぁとか思う時ってないの?」
「そりゃあるだろ、男だからな。疲れてる時癒しがほしい」
「んー、一緒に住むんだったら私が癒しにならないといけないのか」
「お前が?完全に役不足だろ」
自分でも思うので何も言えないけど、やっぱり悔しい。
数分で家に着いて荷物を置いてからいつも使ってる鞄だけを持ち零と共にポアロまでの道を歩く。
ふと零が思い出したかのように口を開いた。
「明日から数日、バイトは休むからな」
「え、仕事忙しいの?」
「ああ、ちょっとな…」
意味深な言葉に含まれたあまり聞くなと言う目の訴えに開き掛けた口を閉じた。
危ない仕事じゃないといいけど…と思ったけど公安にそんな事言っても無駄かと苦笑いが漏れた。
