File.03 安室宅へお泊まり
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零が家に来たのは日付を跨いだ頃で、悪い遅くなったと玄関で言われた。
汚い部屋には入れまいと玄関に荷物を置いていたので案の定零はそれを持って車へ行ってくれて、その後を必需品の入った鞄を持って追い掛ける。
「あの、ごめんねバイト」
「全くだな、いい大人が何してるんだ」
溜め息を吐かれた。
道に停めてあったRX-7に乗り込み走る事数分、こんな近くに家があったとは。
安室名義で借りているらしいけどポアロまでも歩いていける距離で便利だとこのマンションにしたらしい。
なるほど、だから夜結構な頻度で私の家に来れたんだ。
「お邪魔しまーす」
靴を脱いで部屋へ上がると、とても男の部屋とは思えない。
いや、家具はシンプルだしベッドの所に置いてあるギターもいい味を出しているけど、それにしたって綺麗過ぎだ。
ああ、妹としてのプレッシャーがまたのしかかる。
きっと綺麗なんだろうなと想像はしていたけど、綺麗過ぎだ。
なんだこの部屋。
それも男臭がしない。
「零って忙しいんだよね?」
「ああ、休みなんてないからな」
「じゃあなんでこんなに綺麗なの?」
「休みがないからだろ」
「ああ、なるほど」
あんまり家に居ないからと言う事か。
それなら納得が…出来るわけがない。
いくら仕事人だとしても部屋くらい散らかるよ。
いや、昴さんの所も確か綺麗だったな。
「シャワー浴びてくる」
行ってらっしゃいと零を見送ってからクルッと部屋を見回す。
凄くシンプルな部屋だ。
ベッド脇に置かれた資料は無造作に放られていて、見てはいけないと思ったけど、好奇心にやられてつい手が伸びた。
ペラペラと捲っていく。
内容はさっぱり分からない。
組織での任務の内容が書いてあるようだけど、特に興味はひかれない。
ただ、色んな人の顔写真が載っていて、何となくそれにだけ目を通す。
年齢、性別様々だ。
そして資料とは別に、ただの写真が三枚出て来た。
「コナン君?と秀一?」
あと一人…シェリーだ。
「勝手に見るな」
シャワー上がりの零は、上半身裸で髪をタオルで拭きながらそこに立っていた。
鍛え上げられた体を前にすると目のやり場に困る。
「堂々と置いてあったから」
ライ時代の秀一の写真をあんまりにもじーっと見ていたものだからバッと取られた。
「実は秀一の事好きなの?」
「なんでそうなる」
「だって写真あるし…言ってくれたらいっぱい撮ってくるよ?」
「必要ない、アイツに近付くな」
人一人くらいなら殺せそうな程の睨みを向けられる。
持って来てた部屋着に着替えようと寝室から零を追い出して寝る準備をしてからダイニングへ顔を出すと、椅子を並べて寝転がる零がいた。
ちゃんと服を着ていて携帯でメールを打っていたのでひょいと覗く。
「ベルモット?」
「見るな」
伏せて携帯を机に置いた。
なんだろうか、さっきからピリピリしてる。
ずっと機嫌が悪いと言うか喧嘩腰と言うか…。
「私帰ろうか?」
気になるモノは見てしまうから私に怒ってるなら帰る。
横になってる零に言えば、パシッと腕を掴まれた。
「いや、怒ってないから帰るな」
「なんで?」
「寂しいんだろ?」
「いや、別に……」
昴さんがあんな事言うからなんだか恥ずかしい。
素直じゃないな、なんて言われた。
すごい勘違いをされてるけど、このまま貫き通すしかない。
柄にもなく、甘えてみようかな、なんて。
「もう寝よ?」
「そうするか」
寝室へ戻る。
零はダイニングの電気を消していた。
そして私はここかなと押入れを開ける。
だけど探しているモノはない。
「ねぇ、零」
真っ暗なダイニングに足を向けると、さっきの状態で椅子に寝ている零がいた。
え、なんで、と思ったけどそこで漸く分かった。
ベッドを私に譲って自分はダイニングで寝るつもりなんだ。
布団も掛けずに。
