File.02 来葉峠と首の印
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ガタンっと音がして車体が急に縦になったが為に、秀一は今まで掴んでいた両手を離し、頭と腰を引き寄せ抱き締めた。
車がこんなに傾くってどんな運転してるんだ。
「危ないな!」
シートは滑り落ちていて自由になった口で口論すると、えっと声を揃えた返事が来た。
「ちっ…」
何の舌打ちだ。
私がするなら分かるけどなんで秀一が舌打ちをした。
車が通常運転に戻った所で屋根を開けろと秀一が言うと、男は躊躇い、更に追い討ちをかけるようにキャメルと低い声が催促すれば車の屋根は意図も簡単に開いた。
そして後方に視線をやると数台の車に追い掛けられている。
「運転代わろうか?」
「えっ?」
「放っておけ、コイツの話は聞かなくていい」
「今日、本当ひどいよね」
いつもの優しい昴さんはどこに行った。
「このカーブを抜けたら200メートルのストレート、五秒間ハンドルと速度を固定しろ」
「あんた何処で何やってたのよ!その女は何っ?」
「いや、同じくだよ、あんたこそ何っ?」
「聞いてるのはこっちよ!」
シュウって呼んでる辺り特別な存在なのは見て取れるけど、FBI本当日本で何してんの。
本当に観光とかだったら大笑いだ。
「秀一、それ私もやってみたい」
「腕は?」
「さぁ?当たればラッキーって感じかな?」
「なら下がっていろ」
言われると思ったけど。
そして彼の思惑通りに動いていると聞かされた。
誰の、と思ったけど、ボウヤと言う事ですぐにそれはコナン君だと分かった。
彼はそんなにも頭がまわるのか。
それも、零の行動を読み、FBIに肩入れしてるとは。
「200メートルのストレート見えました!」
「任せたぞキャメル」
「無茶よ!タイヤのエア漏れで車が揺れているのに、拳銃の照準を合わせるなんて!」
「規則的な振動なら…計算できる…」
わお、かっこいい。
これちょっと間違ったら惚れてしまいそうだ。
そして、キャメルが四まで数えた末、カーブギリギリの所で放たれた弾丸は見事に後方の車のタイヤを撃ち抜いた。
数十メートル後ろで玉突き事故が起こり、後方の車は全て立ち往生してしまった。
正直公安寄りの身である為に少し心苦しい。
「キャメル、戻れ」
この人は本当に上からだな。
実際偉いんだろうけど、もう少し部下に優しく言葉を掛けてあげるとかは出来ないものか。
言われた通りに即座に戻るキャメルも凄く秀一の事を慕っている事が分かる。
そして戻った車は何やら電話をしている公安の所へ止まり、秀一が一言大丈夫かと聞いた。
一応気遣いは出来るようだけど、自分で大惨事を起こしておきながら声を掛けるのは喧嘩を売っているとしか思えない。
「今あんたが持っている携帯と、さっき発砲したこの拳銃、交換してはくれないか?」
すると、周りのおじさん達は拳銃を一斉に構え、指名された人はおずおずといった様子で携帯を差し出した。
その携帯が近くなる事にはっきりしてくる彼の声。
やっぱり繋がっていたのは零だった。
是非とも私は居ない設定でお願いしたい。
「久しぶりだな、バーボン」
ここで降りて帰ってしまおうか。
途中でタクシーを拾って帰っても一時間も掛からないだろう。
そうっと行動に移そうとしたのに、考えていた事がバレたのか腕を掴まれた。
「ゼロとあだ名される名前は数少ない、調べやすかったよ、降谷零君」
ブンブンと抵抗するように腕を振り上げるけど、一向に離してはくれない。
少し捻り上げようと反対の手を出した所で、両手で掴まれた。
あれ?携帯は?なんて思ったけど、キャメルが携帯をこちらに向けて持っていた。
どうやらスピーカーにしたようだ。
「それと、君の大事にしているお転婆なお嬢さんだが…きちんと家まで送り届けよう」
「いいよ、ここで降りるし」
『なっ、梅っ!?お前なんでそこにいる!』
「街で拉致されたんだよ」
「乗ったのは君だろう」
「乗れって言ったのそっちじゃん!」
『赤井っ!梅には手を出すな!』
「もう出されてるわ!鷲掴みにされてるわ!」
離せこの野郎と未だ抵抗するが、俺に送られるなら離してやろうと上からの言葉が降ってきた。
仕方ないからムスッとして頷くとやっと腕を離してくれて、スピーカーを解除し、まだ何かを話していた秀一をそっちのけで携帯を取り出し零にメールを送る。
ちゃんと話すから怒らないで聞いてねと。
すると、ポイっと携帯を借りてた人に投げ渡し、キャメルは車を出した。
「あいつら一体何だったの?全然話が見えないんだけど」
「立場は違うが…本質は俺らと同じ、奴らに噛み付こうとしている狼達だ」
凄くかっこいい言い回しをしてくれた。
零が狼か。
まぁ確かにいつもクワって来て怒るもんね。
車の天井が開いているから吹き抜ける風が気持ち良くて目を細める。
相手が秀一じゃなくて零だったら良かったのに。
そのうち海にでも連れて行ってもらおうかな。
勿論、時間があるならの話だけど。
「なんだ?」
じっと見ていたようで疑問を口にされた。
「何でもないよ」
ふいっとそっぽを向くと今度はジョディから質問がとんだ。
その子は何なのどんな関係なのかと。
なんて答えようかと迷っていると、先に口を開いたのは秀一だった。
「こいつの事は詮索するな、あとが怖いからな」
零が爆発するとでも?
まぁ大切なたった一人の義妹だけど。
それでも、警察と言う間柄、零の周りの人は結構亡くなってるのは事実。
もし私に何かあればそれこそ本当に彼の中で何かが爆発しそうだから、私にもしなんて事、絶対にあっちゃいけない。
