File.01 拾われました
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
気温も丁度良かったので体を動かそうと夜に家を出た。
きちんと鍵を閉めて、走るからパーカーとハーフパンツという薄着で外に出る。
そして数分走った所で公園が見えたから中を抜けようとした時、背後に気配を感じて慌てて飛び退いた。
反応は鈍くなっていなかったようで、男の手から逃れられる事が出来た。
「嬢ちゃん、こんな時間に何してるんだい?」
「ランニング」
「そう、ならいいモノあげようか」
「いいモノ?私忙しいの」
なんだろうと首を傾げたが手にしていたのは何か情報が入ってそうな小さなチップ。
それを貰ってしまったのでどうしようかと頭を捻っていると、この目の前の男の事を思い出した。
少し前にジンと任務に行った時、取引を裏切った奴らだ。
もう私には関係のない事だけど、ジンには見つけ次第殺せと言われている。
そこまで思った所で確保と声が聞こえた。
急いでさっき渡されたチップを口の中へ隠した。
なんだなんだと思ってるうちに男は何人もの男に押さえ付けられ、懐から拳銃が出て来たがそれも没収されている所を見ると相手は警察。
ならすぐにここを離れないといけない。
「大丈夫か?」
声を掛けて来たのは眼鏡で眉の短い人。
顔は厳ついがきちんと屈んでくれて視線を合わせてくれる。
あまり長居はしたくないけど、子供だし適当に誤魔化して送ってもらわないと帰れないだろう。
だけど、警察だと何故か敵意を剥いてしまう。
「おじさん警察?」
「ああ」
「手帳ないの?」
そう言うとあっさりと見せてくれた。
この人の顔写真が載っていて名前は風見裕也、階級は警部補か。
すると、手帳を仕舞いどこかへ電話を掛けている。
「はい、北の入口の所で……それが子供もいまして……はい、降谷さんは今どこに?…分かりました。」
携帯を切って風見は再び私に視線を合わせた。
そして、寒いしなんだしで両手を上げると意図が分かったのか抱っこしてくれた。
まさか服貸せやなんて言えないし、顔は怖いがさっきの電話の口調的にきっと優しい人に違いない。
「少し話を聞いてから家へ送る」
「はーい」
バーボンになんて言われる事やら。
夜に帰るって言ってたけど、もし今現在家に帰っていたなら私はどうすればいいのか。
でも、携帯に連絡がないのでまだ家には帰宅していないのか。
「降谷さんが来るまで待っててほしいんだが…」
「うん、大丈夫だよ、おじさん達あそこで何してたの?あのおじさん悪い人?」
手錠を掛けられ連れて行かれた男の背中をじっと見た。
寒さから顔をぐりぐりと風見に埋めるとくくっと笑われる。
「ねぇ風見って呼んでいい?風見」
「目上の人には敬語だろ」
「敬語って何?風見じゃダメなの?」
もうなんでもいいと諦めてくれた。
その溜め息は子供の前でひどいんじゃないかな。
なんて風見で少し遊んでいると、遠くで指示を出している知っている声が段々と近付いて来た。
まさか、と思い体が強ばったのが分かった。
「遅くなったな、その子が言ってた子か?」
ああ、もう世間は狭いな。
ゆっくりと振り返る。
そして目が合った瞬間驚いた表情をした。
「ほー、公安ですか降谷さん?」
「桜さん、何故ここに?」
逆に聞きたい何故ここにと。
公安だから、日本の犬だからあの日私の事を助けたのか。
まぁそうだろうな、ただの組織の連中だったら確実に見て見ぬふりだろう。
「その年齢で結構な年配の人や警部補に指示を出せて、この人数を動かせる人物……普段は組織に潜入している………ゼロか、バーボン」
「っ!風見!手を離せっ!」
半ば放られるように手が離され、持ち前の身体能力でストンと地面に着地した。
(ひどいよ、風見)
(子供じゃないのか?)
(その眼鏡は伊達なのか?どう見ても子供だよ)
(なら敬語の意味も分かってたのか)
(それ今どうでもいいよ、眉毛も伊達なのか?)
(眉毛が伊達ってなんだ、それこそどうでもいいだろ)
