File.08 一歩進みます
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伊豆高原に向かう為、バーボンの相棒であるRX-7に朝から乗車している。
昨日買って来てもらったテニスウェアを着ているけどピッタリ過ぎて本当に驚いた。
もうすぐ着くかなという所で最終確認だ。
「本当に私もいいの?」
「もう毛利さんには言ってありますよ、コナン君と同級生の近所の仲良い子供も一緒に行くと」
「よくそれで了承貰えたね」
「ほら、コナン君一人だと打つ相手がいないじゃないですか」
子供は子供で遊んどけということか。
まぁ彼の放ったサッカーボールを顔面で受けたんだ、コナン君の顔にテニスボールをめり込むのも悪くはない。
そもそもここまで来てやっぱりダメですと言われると一日中凹んでいる自信はある。
定期的な揺れと丁度いい温度に眠くなって来た頃、車は駐車場へと着いた。
バーボンは必要な物を持ち、先にコートへ行こうと言ったので手ぶらでついて行く。
「まだ来てないようなので打ちましょうか」
屈伸したり準備運動を軽く済ませるとラケットを握る。
そしてネットの向こう側で構えると、バーボンは目を態とらしく見開いた。
「いきなり試合方式とは……負けても泣かないでくださいね」
「そっちこそ子供だからってなめてたら負けるからね」
「サーブどうぞ」
ポーンとボールがとんできた。
女性だから、子供だからと二つの意味でなめられているのは確かだ。
やってやると意気込んで子供ながらにジャンプサーブを打ったけど、難無く返され、それ所か軽いとまで言われてしまう。
「お、もっ!」
大人げないボールを返してくるバーボンをキッと睨む。
とても片手で返せたものではない。
それもバックハンドばかりを狙ってくる。
「大人げない!」
どんなにスピードのあるボールでもついていけるけど、この低い身長ではネットに出る事が出来ない。
ちっと舌打ちをしてポーンとスライスをかけてボールを打つ。
「ドロップショットですか……」
だけど持ち前の身体能力で取られてしまって負けた。
ストレート負けで泣きそうである。
スポーツは結構得意な方だったのに……小さい体でなければきっと勝ててた!
「すっごーい安室さん!」
「それにそっちの子も凄い!」
そっちの子とは私の事だろう。
確か、毛利蘭とその友達の鈴木園子だっけ?
毛利探偵とコナン君もいる。
コナン君は驚きで固まってるけど。
バーボンは私に近付いて来てよしよしと頭を撫でる。
まさか本当に泣くとでも思っているのか。
そんなわけないだろう。
それともあの人達の前だから子供扱いをしているのか。
「桜です」
「毛利蘭です」
「鈴木園子です」
二人共目線の高さを合わせてくれてニコッと笑ってくれる。
そして大人同士の会話には混ざらずコナン君の所へと行く。
「大丈夫?」
「大丈夫なわけあるか!なんで、なんでここにアイツがいるんだ!」
「そんな怒鳴らなくても……」
今すぐにでも公安だと教えてあげたくなる。
そう思ってしまう私は凄く平和ボケしてるなと思った。
前までの私ならきっと、この少年を殺してる。
ジンの性格を汲み取るのなら組織の事を知ってしまっている以上、工藤新一を殺さなくてはいけない。
それなのに、今は逆に助けたいとさえ思うんだよね。
(それで、なんでおめぇーまでいんだよ)
(バーボンに誘われたの)
(あの人、本当にポアロに復帰すんのか?)
(知らない、本人に聞いて)
