File.07 夏風邪ですか?
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朝、アラームの音で起きた。
そして止めて、また寝てしまった。
二度寝から覚めた時にやってしまったと思った。
「桜さん、起きてください、遅刻しますよ」
朝からいい声だね、なんてぼーっとして上体を起こすと何故かおたまを手にしたバーボンが立っている。
一人で起きられなかった。
それを見越してご飯を作ってくれていただろうバーボンに感謝だ。
本当にこの人は出来る人間だな。
「風邪は?」
「昨日よりマシです」
ゴホッと咳をしているけど顔色は戻って来ている。
キッチンに立つ様子を寝室から覗いているとその視線に気付いたバーボンはにこりと笑顔を向けてくれたけどまだ本調子ではない事が分かる。
「ほら、早く用意してください」
取り敢えず着替えようと適当に服を手にして、壁に貼ってある献立表を見ると今日の給食はカレーになっている。
給食はどれも美味しいんだけど、やっぱり比べてしまう。
今目の前で鼻歌を歌いながら料理をしている器用な男の手料理と。
ゲホッと噎せているのに鼻歌とは。
「ごめんね、起きれなくて」
キョトンとした顔で振り返ってへらっと笑うバーボン。
「いえ、期待してませんよ」
あれ、黒いな。
そして酷いな、謝ってるのに。
ランドセルをダイニングの所に持って行って椅子に座ると丁度出来たご飯が机に並んだ。
今日はフレンチか。
風邪なのに手を抜かない所が凄い。
「私が組織のメンバーだってコナン君知ってるけどいいんだよね?」
「まぁ、あの少年ならいいんじゃないですか?僕がバレるのも時間の問題だと思いますし」
中身は高校生だから少しでもボロが出ると正体に辿り着かれるだろうね。
一度でいいからトリプルフェイスの頭の中はどうなっているのか見てみたいものだ。
ふと時計を見ると遅刻しそうな時間だったのであれもこれもと口に放り込む。
ゴキュっと飲み込んでお茶で流し込みランドセルを背負う。
「夕飯は適当に食べて来るからいらないよ」
嘘だけどそう言っておけば作らないだろう。
行ってきますと言って玄関の扉を開ける。
そして行ってらっしゃいの声が耳に届いてから扉を閉めた。
マンションから出ると物陰に潜んでいる、風見を見付けてしまった。
「何やってんの」
「いや、俺は降谷さんの事が心配になって来たわけではっ」
「帰れって言われるよ」
風見も相当な世話焼きで心配性なのかな。
それともバーボンにだけだろうか。
何にせよスーツのいい年した男が朝から不審過ぎる。
もっと自然に出来ないものか。
「通報されても知らないよ?」
「そんなに怪しくない」
「いや、充分怪しいって」
はぁと溜め息が漏れた。
「それよりもこんなにゆっくりしてていいのか?」
「あ……」
風見にも行ってきますと言ってから急いで通学路を走った。
結局遅刻をして先生に怒られたけど、私が悪いので仕方ない。
コナン君には珍しいなんてお言葉を貰った。
(なんで遅刻したんだよ)
(ちょっと犬がね)
(犬飼ってんのか?)
(飼ってはないけど…飼ってるのかな?)
(はぁ?)
