File.07 夏風邪ですか?
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「ただいまー」
鍵を開けて家に入るとキッチンで何かを作っているバーボン。
もう風邪はいいのかとも思ったけどそんなわけがない。
目がトロンとしているので辛いだろうに何故こんな事を。
「お腹すいたなら出前でも頼めばいいのに」
ランドセルを下ろして溜め息を吐きながら寝ていろとバーボンの袖を引っ張る。
作っていたのはどうやらお粥のようだ。
「職業柄頼めないのは知っているでしょう」
「せめて私が帰って来るのを待ってるとかあるでしょ」
「お昼も食べてないんで流石にお腹すきまして」
「寝てて、私作るから」
バーボンが布団に入ったのを確認してから作り掛けだったお粥を煮詰めていく。
味付けも終わっているようだったので特に何もする事はない。
ただ焦げないように気を付けるだけだ。
冷蔵庫に入っているゴマ昆布と梅干しを取り出して、出来上がったお粥とお盆に乗せて寝室へと持って行く。
「病院は?」
「行ったと思います?」
「行ってないんだね」
机に食事を置くと布団から這い出て来てふーふーと冷ましながら食べている。
常温の水をコップに注ぎ、薬と共に持って行くとバーボンは力無くへらっと笑った。
「すみません、ありがとうございます」
可愛いな小動物みたいと思った半面、ドキリと心臓が脈打った。
おかしい。
バーボンに心臓が跳ねた?
胸がきゅっと締め付けられるこれは……いや、気の所為だよ。
そんなわけが……。
ないと言い切れないのが可能性があると言っているようなもの。
「どうしました?」
「弱ってるなぁと思って……風見でも呼ぶ?」
「結構ですよ、この後会うので」
会う?
この後という事は明日ではない今日中にという事か。
目の前で梅干しを美味しそうに食べているこの男はバカなのか。
「仕事に穴は空けられません」
「私が代わりに行ってきてあげよっか?」
「本気で言ってるのならバカですね」
この減らず口。
病人らしく黙って寝てなよ。
食べ終わったバーボンは薬を飲んでベッドに入り、携帯を操作してから目を閉じた。
アラームでも掛けたのか。
まさかとは思うけど本当に仕事をする気なのだろうか。
薬を飲んだから大丈夫ではない。
充分にぶり返す可能性はあるんだ。
完全に治るまで大人しく寝ていた方がいいものを……。
「おやすみ」
一声掛けてから食器を下げた。
お皿を洗って自分の夕飯であるチャーハンが出来上がった時、携帯のアラームが鳴った。
いつも朝に聞く音だ。
飲み物も用意してチャーハンを机に置き、いただきますをしてからご飯にありつけば、寝室でゴソゴソと何かをしている音が聞こえたので視線を向けると着替えていた。
「本当に行くの?」
「ええ、流石にポアロは休みますけど本庁には行かないと」
スーツに着替え終わり、マスクをした所でバーボンは出て行ってしまった。
何時に帰って来るとは聞いてないけど、一応風見にこの事はメールしておこう。
(風邪引いてるから早く帰るように言ってね)
(風邪?降谷さんが?)
(今フラフラで出て行ったから)
(俺が言った所で意味はないとは思うが……)
(今日中には帰らせてね、起きて待ってる)
