File.04 ジンもバーボンも心配性です
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学校からの帰り道。
散歩がてらグルッとまわって帰ろうといつもとは違う道を通った。
それが間違いだった。
何故か茶髪の眼鏡を掛けた糸目の優男に尾けられているではないか。
敵意も殺意も無さそうだけど、私何かしたかな。
そう考えを巡らせたけど、初対面だし何もしていない。
このまま家に帰るのも不味いし近くの公園に寄ってベンチに座った。
すると白々しく側まで来て話し掛けてきた。
「帰らないんですか?」
斜め前に立たれたのでその茶髪の男を見上げた。
そして感じるのは違和感。
それは、ベルモットと同じ物だ。
つまりこれは、変装か。
そうまでして私に近付いてくる人物は誰なのか。
「お兄さん誰?」
「この近くに住んでいる大学院生だよ」
にこりと笑って目線の高さに座ってくれる。
そしてじーっと見られるけど、この感じ前にも何処かで…。
「今からお茶でもどうかな。この近くにポアロという店があるんだが……一杯」
チラと開いた片目の隈と緑の瞳。
ああ、なるほど、でも何故私に絡んで来たのか。
「ポアロは友達と行くからお兄さんとは行かないよ」
「それは残念だ、じゃあ家にでも来るか?」
開眼した両目にじーっと見つめられる。
尋問したいのか。
少し前にバスジャックの事件で関わって話を聞く前にいなくなったので探していたのか。
目の前の人物は死んだとベルモットに聞いた筈なのだが、やはり生きていた。
あんな変な死に方この人ならしないだろう。
ライと名前を呼んだので私が組織と関わりがあるのは分かっている筈なのに何故自分から正体を明かすような事をするのか。
「君は……キルシュだろう」
自分のコードネームが呼ばれピクリと反応しそうだったけど、本名のまま普段から過ごしているからいくら小さくなっていようが調べれば本来の顔写真に似ている事くらい分かる。
「……キルシュって何?」
声は変声機か何かで変えているのかな。
そのハイネックを捲ってもいいだろうか。
話し方はライだけど、やはり違和感がある。
「惚ける気か?」
ガシッと腕を掴まれ強制的に立たされた。
「子供の姿ではあるが組織が関わってる以上優しくするつもりはないんでな」
抵抗してないから痛くはないけど、このままだと本当にまずい気がする。
私が捕まる事によってバーボンにも迷惑が掛かるかもしれない。
「いやあぁぁぁぁ!!」
ちょっと卑怯だけど、子供であるから少々何をしても平気だ。
叫んだ事によって周りはなんだなんだと注目してくる。
「だれかぁ!助けてー!」
続け様に抵抗を見せながら泣きそうに叫ぶと今度こそライは手を離した。
どうしよう、バーボンに報告した方がいいかな。
確かライの事は嫌いだった気がするし、死んだのはきっと組織から連絡がまわってるだろうから知っている筈だ。
なら、生きていると言った方がいいのか否か。
(卑怯な手を使うな)
(お兄さん、怖い……)
(ついて来てほしいんだがな)
(先生が知らない人にはついて行っちゃダメだって)
(知っている筈だ。少し前にもバスジャックの時に会っただろう?)
(バスジャック?何の事か分かんない……)
(話をするだけだ、悪いようにはせんから黙ってついて来い)
