act.06 月夜の遊び
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あの後ふらふらと愛車に乗り込んで訳が分からないのと嬉しいのとで号泣してしまった。
降谷さん温かいとか降谷さんの唇ここにあるとか降谷さんで脳内がいっぱいいっぱいで、降谷さん降谷さん降谷さんと考えていたらそれはもう顔は真っ赤だ。
ヤバいと冷房をガンガンにして熱を冷ましてから車を発進させた。
いつまでもここにいると料金が上がるだけだと駐車場を出た。
途中の自販機で水を買って薬を飲んでから煙草を吹かす。
やっと家に着き、早速鏡の前へ立つ。
自らの首を鏡越しに見ると紫に近い紅だ。
その事にまたカアッと頬に熱が集まった。
なんで降谷さんはこんな事をしたんだ。
何を思って。
本当はあの時口にされると思ったけど急に方向がズレて首にいった…と思ったんだけどハッピーな脳が見せる幻覚か。
それにもし口だとしても真意が分からない。
また遊ばれてるのかとも思ったけど遊ばれる理由も分からない。
それに…こんなキスマークを残すような事をなんで…。
恥ずかし過ぎて誰にも言えないし道を歩けない。
いや、寧ろ虫に噛まれましたと堂々とするべきか。
知り合いに指摘されればすぐに顔が赤くなってしまいそうだ。
取り敢えずと携帯を出してキスマークをインカメで激写しといた。
ああああ、待ち受けのポアロで働く安室さんが眩し過ぎる。
いつか安室さんとバーボンと降谷さんの三分割の待ち受けが出来るようにコナン君に写真撮っといてと頼もう。
緋色シリーズは監視カメラつけるから降谷さん撮れるよね。
でもあの時確かスーツじゃなくて私服だった。
ああああ、スーツ姿の降谷さんも欲しい。
寝よ。
シャワーは明日でいいや。
お礼はこのキスマークと言った彼だけどやっぱり何か持っていかないと…あんな時間に公安で仕事をしていたくらいなんだからきっと忙しかった筈。
それに前に借りた服もクリーニング済みで家に置いたままだから持って行かないといけない。
起きてシャワーをする為に洗面台の前に立ち、首を見てまだ夢のようだと不思議な感覚に陥る。
キスマークにラップでも巻こうかとも思ったけど無理があったので諦めて普通にシャワーを浴びた。
ポアロに行く気満々で髪も高い位置でふわふわのお団子にして年相応のそこまで派手じゃないリボンを巻いてサイドに垂らした髪もふわりと巻き、化粧もいつもよりナチュラルにバッチリきめた。
そしてそれから今日は土曜だと言うこともあり、快斗に電話を掛けた。
すると何度か呼出音が鳴ったあと、控えめにもしもしと聞こえた。
「おはよ、快斗。昨日は凄く助かったけどベレッタ返してくれる?」
『ああ、椿か、本当に番号知ってたんだな、ハッカーも伊達じゃないってか?』
「朝からなんか絶好調だね、青子ちゃんと何かあった?」
『何もねぇーよ、それよりこれ大事なんだろ?』
昨日撫でてたしなと言われそう言えば撫でたかなと思考を巡らせたけど癖みたいなモノだからあまり思い出せなかった。
鞄を手にして降谷さんに返す服も持ち、そして家を出る。
「家そこまで遠くないし取りに行っていい?それとも来てくれる?」
『腹減ったから何か奢ってくれない?お姉さん。ポアロ行こーぜ?』
結構図々しい奴だったのか。
まぁお姉さんとしてはそっちの方が接しやすくて助かるけど、この意味深なポアロの言い方はなんだ。
「……何か調べたかな?」
『さぁな?安室透だっけ?あの人』
にししっと電話越しに愉快そうに笑う快斗に何を調べたんだと顔が引き攣る。
一時間後にポアロの横の交差点ねと言えば了解と返事をしてくれたので電話を切る。
どうやら今日は暇なようだ。
愛車に乗り近場の米花デパートへ行き、インフォメーションでおすすめの土産所を聞いてその店で、ポアロの皆で食べられるようなラングドシャと、降谷さんへのカップケーキを買う。
カップケーキといってもそんなに大きい物ではなく、一口サイズの可愛らしいモノだ。
味見をさせてもらったけどそれはそれは美味しい。
可愛くラッピングしてもらって降谷さんへのカップケーキは服の紙袋の中へと突っ込んでおく。
帰りにポアロの前を車で通り、降谷さんがいる事を確認してから急いで家へ戻って待ち合わせ場所へと走った。
「おっせー」
ポケットに手を突っ込んでガードレールに座っていた快斗に指摘を受ける。
「あんたが早過ぎ、私時間に間に合ったし」
一分前だ。
走らなかったら二分は過ぎてる。
それにしてもよくポアロへ行く気になったな。
「探偵事務所の下なのに大丈夫?」
「心配いらねぇーよ、あの名探偵は今日ガキ共と出掛けてるからな」
「なんでそんな情報知ってるの…」
企業秘密だと口に人差し指を立てている。
もしや私よりもハッカーだったりするのか。
それとも盗聴器がどこかにあったり、いや、寺井さんか?
「これ、昨日無かったよな?やっらしー」
「ちょっ、マセガキっ!」
キスマークをじいっと見られて親指を這わせて来たのでバッと飛び退く。
そして快斗からは信じられない言葉を聞いた。
「あの安室さんって人、ゼロかなんかだろ?」
その推測、いや確信には冷や汗が出た。
IQ400は本当に怖い。
「何言ってんの…」
「昨日、屋上にいたし、帰り送ってもらってただろ?」
「見てたんだ…」
ミステリートレインで組織のバーボンだって事は分かったけどそんな組織の奴が警察の所にいるのは可笑しいだろ?トリプルフェイスってすげぇなと感心している快斗。
「ぜーったい内緒だからね?」
「へいへい、それより行こーぜ」
ひょいと紙袋を二つ持ってくれて反対の手で手を繋がれる。
え、なんで?なんて思ってるとすぐそこだったポアロには一瞬で辿り着き、快斗がその扉を開けてくれて中へと入る。
「いらっしゃいませー」
梓さんはにこにこと笑って声を掛けてくれたけど、瞬時に固まり視線は手へ。
そしてその視線はどこかへと向かい、その先を見ると降谷さんがいた。
目が合うとにこりと笑っていらっしゃいと言ってくれた。
ダメっと快斗の手を離し両手で顔を覆う。
もう絶対真っ赤だ。
「怪しいから…」
快斗に呆れられたけどこの手を退かす事が出来ず、隣で溜め息を吐いた快斗はガシッと腕を掴んで引っ張って席まで連れて行ってくれた。
昼の忙しい時間帯が過ぎているので客は二人トイレ側の所に座っているだけだ。
外が見えるテーブル席へと座った所で私をソファ側に座らせてくれた。
紳士だ。
そんな所も気遣い出来るから素敵だ。
水を持って来てくれた梓さんはお盆を胸の所で持ち、誰ですかこのイケメンと私に聞いて来たが本人に丸聞こえだ。
「えぇーっと…」
なんて答えようか困ってると知ってる事全部言ったらいいじゃねーかと試すような言い方をされたのでちょっとしたプロフィールを言う事にした。
「黒羽快斗、6月21日生まれの双子座、血液型B型、好きな食べ物チョコアイスで嫌いなのが魚類。あとはー…超絶頭いいよね?」
「ん?ああ、まぁな」
自分で言った。
それにしてもだーっと述べたのに驚いた顔一つされなかった。
ハッカーだと言った手前それくらい言えて当たり前だとでも思ったのか。
まぁ同業者みたいなものだし。
私は怪盗じゃないけどやってる事は似たようなものだ。