act.04 体調不良持続力
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今日こそは日比谷公園へ行こうと思い車を走らせた。
そして前回出会したあのコンビニに寄ってバーボン二本とレモンティーのペットボトルを買って、車に戻ろうとした所、気になった本があったのでつい立ち読みをしてしまった。
あー、続き気になる。
パタンと本を閉じた所で隣にいる人が雑誌を手にしていた。
何の雑誌かと思えばアイドル雑誌で、ヨーコちゃんのページを開いている。
その手元から腕、首、顔と見ていけば、あなたですか。
「風見、暇なの?」
「なっ、お前っ!」
「ねぇ、今から暇?」
「忙しい!」
「どっか行くの?私服じゃん」
明らかにオフですという格好をしている。
まさか潜入捜査中ですなんて言わないだろう。
「降谷さんにお前に近付くなと言われている」
あ、なんかちょっと傷付いた。
だけど本人に言われたわけではない。
だって風見だ。
然れど風見だ。
「だったら、降谷さんに聞けばいい?」
さぁ移動しようと買った袋を腕に掛けて携帯を出し、反対の手で風見の手を掴んでコンビニから出る。
ワンタッチで車の鍵を開け、買ったものを置いてから通話を押せば呼び出し音が聞こえる。
あまり手には力は入れてないんだけど、これから降谷さんに掛けると言う事で大人しいのだろうか。
逃げようとはしていない。
『はい』
あああぁぁー、格好いい!たった二文字なのに心臓が跳ね上がる!
一分前の自分よく勇気出して電話掛けるなんて言ったな!
「あのですね、今風見といるんですけど、借りても?」
『は?風見と?』
「日比谷公園行こうと思ったら居たので掴まえました」
替わりますと風見に携帯を渡して腕を離した。
取り敢えず、車に乗れと助手席の扉を開けて招く。
だけどそれを手で制される。
「すみません、接触してしまいました」
車が軽くぶつかったみたいに言うなよ。
風見が中々乗らないのでムッとして背中を押す。
「はい、特に予定もないのですが…」
ぐぐぐっと堪えて一向に乗ろうとしないので、なんでだと声を上げた。
「いや、でも……降谷さん…」
「風見ー!行こーよ!そこの公園行くだけだから銃ぶっぱなさないからー、ねぇ風見ー、風見ー」
腕を掴んでゆさゆさ揺すってみる。
眉間に皺が寄ってるけど気にしない。
「……はい…分かりました。彼女に替わります」
まさかの携帯が通話状態で戻って来た。
手が震える。
「車を移動させて来るから待ってろ」
その言葉から私に付き合ってくれるのだと汲み取る事が出来た。
そして携帯を耳に当てて口を開く。
「降谷さん、ひどいですよ近付くなって風見に言ったんですか?」
『まぁまだ疑ってる段階ですからね』
「はっきり言いますね、でもそっちの方が好きです」
あ、ちょっと告白みたいなのしてしまった。
でも確かに安室透みたいに優しさの塊も好きだけど、嘘の優しさはどうなのか、と考えるとはっきり言ってもらえた方が手の施しようがまだあるかもしれない。
『椿さんの目的を聞いても?』
「目的…?」
『何の為に組織の情報を嗅ぎ回ってるんです?』
「嗅ぎ回ってるつもりないですけど……」
降谷さんは深く考え過ぎだ。
職業柄仕方ない部分があるとは思うけど、疑うなと言う方が無理か。
だったらどうしたら疑わないでいてくれるのか。
答えは簡単だけど…。
「降谷さんは、私がなんて言えば疑わないんですか?なんて言えば信じてくれます?」
『それは難しい質問ですね』
「私降谷さんになら何でも話せますよ」
『……何故そこまで俺の事が信用出来る』
「信用出来る出来ないじゃなくて、私は信用したいです。降谷さんの守りたいものを守ってる降谷さんを守りたい」
ああ、もう何言ってるか分からなくなってきた。
取り敢えず今分かる事は、泣きそうだと言う事。
だけど、もうすぐ戻って来る風見に涙を見られるわけにはいかないので泣かない。
すると、電話越しにくくっと喉で笑ってる声が聞こえた。
もしかして私…。
「遊ばれてますか?」
『椿さんも風見で遊びましたよね?』
おあいこだとでも言うのか。
明らかにそちらの方がひどいです。
『嘘偽りないんですか?今の言葉に』
「はい、私そういった嘘は吐きませんよ、多分」
『多分か』
あ、また笑われた。
でもこれだけは言える。
「私は降谷さんの味方と言った筈です」
遠くの方から風見が走って来るのが見えた。
本当に降谷さんは面白い忠犬をお持ちで。
なんて口に出して言えないけど、あれでも三十歲だもんね、若いわ。
「私個人として降谷さんの味方ですし、その上頼まれたので、ゼロの事宜しくなって」
『……っ…』
何か言われる前に通話を切った。
そして面倒臭そうだったので電源も落とした。
意外とスラスラ話せた気がしてグッと拳を握った。
ついさっき降谷さんに遊ばれて笑われた事を思い出し、顔がふにゃっとなっていると、風見が少し息を切らせて到着した。
「本当に公園に行くのか?」
助手席の扉を開けてどうぞと言うと今度こそ乗ってくれた。
そして運転席に座って扉を閉めようとした時。
「あ、ちょっ、虫入った!風見、潰せっ!」
「命令するな!」
風見のそんな所が好きだ。