act.03 スペシャルコーチ
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名前を元にあっちのページこっちのページ、挙句警察まで入り込んで情報を探したりしていると、気になる記事があったので急いでコピーしてUSBにぶち込み、さらに公安にも入り込んだ。
表ではない裏の情報があるかもしれないと思ったけど、特に何もなかったので、逆探知されないように跡を消していき、何枚もの防御壁を張っていき、最後にはそれが崩された際にウイルスが入るように細工した。
そして一通り終わってストップウォッチを確認すると十分も経っていなかった。
「世界一、とは伊達じゃないですね」
「まぁ自称ですけどね」
梓さんの方をチラと見ると何やら真剣にノートと睨み合いをしていて、それを確認してからUSBの中に入れたものを、引っ張って来たアドレスに張り付け送信する。
「依頼ですか?」
「いいえ、これでご飯とか食べてないのでタダですよ」
「相手はジンですね」
「その通りです」
パソコンをパタンと閉じると降谷さんは前の席に戻った。
そして頬杖をついてじっと見てくるものだから、いたたまれなくなって紅茶に口をつける。
「何故、ジンにこれを?」
「頼まれたので調べただけです」
「それで人が死ぬかもしれないのに?」
「殺しには関わりたくないって言ってあるので取引先の情報が殆どだと思いますよ」
実際人の情報を渡すにしても少し抵抗がある。
それで組織が大きくなっていけば結局死人の数は増えていくだろう。
そう思うとしたくはないけど…。
ジンには弱い自分もいる。
「ジンのする事を信用しているんですか?」
「んー、どうでしょう?その時によりますね」
まだ知り合ってそんなに日も経たないけど、話聞いてくれたり優しい面が沢山ある事を知ってしまったから、いいよなんて言ってしまうのかもしれない。
「それじゃあご馳走様です」
パソコンを鞄に仕舞っていると、来客を知らせるベルが鳴った。
女子高生四人組が来たようで、降谷さんを見つけるなり絡んでいた。
そして女子高生から突き刺さるように注がれる視線から抜けるように梓さんに会計をしてもらい、帰路につく。
降谷さんの顔、今日は険しかったな。
そうさせたのは、誰でもない自分だけど。
それにしても、フルーツタルト美味しかった。
その日、夢を見た。
誰か分からないけど、髭が生えてて黒髪で、それで凄く笑顔が似合う人。
「ゼロの事宜しくな」
そう言って笑った。
ああ、これはヒロだとそこで漸く気付く夢。
降谷さんが大好きなら知らない筈ないのに、夢って本当にどうなっているのか不思議だ。
お陰で嫌な汗をかいた。
目が覚めてカーテンを開けると、太陽はすっかり昇っていて学校だろうコナン君のアドレスにメールを打つ。
「今日沖矢昴さんの家行きたいんだけど居るかな?コナン君忙しい?送信っと」
すると返信はすぐに来た。
「多分いるんじゃない?特に予定ないから夕方誘いに行くよ……て」
連絡とって確かめてはくれないんだね。
まぁいいけどさ、家そこだし。
手土産どっかで買って来よう。
携帯でパパっと検索を掛けるとヒットする数々の店から今流行りのお菓子をチョイスした。
並ばないと買えないらしいけど暇なので行ってみようと身支度を済ませ車に乗って店まで来たのはいいものの、まさかの二時間待ちで平日だと言うのにかなりの人気店だった。
来たのだから仕方ない。
先日入れた携帯のゲームを片手に待つ事一時間半、思ったよりも早く人の波はすいた。
適当な詰め合わせを買って家に帰るとマンションのエントランスにコナン君がいた。
「え、ごめん連絡した?」
携帯を確認するも、連絡は入っていない。
「いや、今しようとした、まさか居ないとは思わなかったからよ」
「手土産買いに行ってて遅くなって」
「それ、有名なやつだろ?」
ピッと指差された紙袋。
そこまで知ってるなら、店に並んだ事も知ってる筈だ。
「蘭が食べたいって言ってたから覚えてたけど…暇なんだな」
やっぱりか。
どうせ暇なのだと馬鹿にされている。
コナン君の手を取って工藤邸への道を歩く。
今日の授業はどうだったかとか仕返しとばかりに少し小馬鹿にして聞いてあげた。
「そう言や、おめぇ安室さんに告白されたらしいじゃねぇか」
何かの聞き間違えだろうか。
私が降谷さんから告白?
そんな夢みたいな事あるわけがない。
そこまで考えてもしやと思った。
「梓さんから聞いたの?」
「ん?ああ、昨日の夕方にな」
「それ勘違いだよ、もしそうなら喜んであっちこっち電話して話しまくってるよ」
「ははっ、確かに…」
片想いとは言われたものの違う意味だし、その後の険しい表情はとても好意を抱いてる人に向けるものではなかったように思う。
なので、悲しいけどそう言った意味で好かれてはいない。
「告白しねぇのか?」
「いやいや、無理でしょ、世界の安室さんだよ?安室さんは皆のなんだよ」
「なんだその莫大な人物像は」
「私なんかが触れていいような人じゃないよ」
「椿さんのそう言う所ダメだよな」
「なんだとー、クソガキ」
仕方がないので隣を歩いていたコナン君をひょいと抱っこする。
おろせとじたばたしてるけど、所詮子供の力だ。
「安室さんは、大事なモノいっぱいあるから、私なんかじゃダメなの」
ゼロの存在は本当に危ない。
それは父親の事もあるのでよーく知っている。
ずっと普通のサラリーマンだって聞いてたけど、死んでから初めて公安で潜入捜査をしていたと知った。
「だから、近くでニヤニヤしてるのが一番私には合ってるんだよ」
「いや、それはどーかと思うけどな…」
そりゃあ降谷さんの一番になりたいとは思うけど、あんなに山程うじゃうじゃ女がいる中で彼女になれたとして、日々なんで私が?と疑問が生まれない日はないと思う。
考えてる間に工藤邸に着いたので呼鈴を鳴らした。
すると玄関を開けて出て来た彼は固まった。
「そこまで驚く?」
「え、いえ、あなたの存在もそうですけど、ボウヤを抱えていたので」
コナン君に連絡してないの?と聞くとあははっ忘れてたと返事が来た。
コナン君を抱えたままリビングへとお邪魔すればコーヒーが出て来た。
「これ良かったら食べて下さい」
忘れていた存在を思い出して沖矢さんに渡すとお礼を言われる。
「これは確か有名な焼き菓子店ですよね」
なんでも二時間待ちはざらだと聞きます。
なんて続く言葉にこの人も私の事を暇だと思っているだろうなと内心で溜め息を漏らした。
そしてソファに座り、コナン君を膝の上に乗せてぎゅっと抱き締める。
一瞬暴れようとしたものの、前回の事もあり離してくれないと思ったのだろう、大人しく抱き締められていた。
その様子を見た沖矢さんは物珍しそうに凝視している。
「今日は私のBGなんです」
「ホー、これはこれは」
こちらから表情は見えないけれど、コナン君はきっと苦笑いしてる事だろう。
「改めましてこんにちは、綾野椿です」
にこりと笑って言えば沖矢昴は目を開き首元に触れるとピッと機械音がした。
「FBI捜査官の赤井秀一だ」
「存じておりますとも」
「ボウヤから聞いたが足はもう平気なのか?」
「ん?まだちょっと痛いけど腫れも引いてきたし大分マシ」
ソファの上でぶんぶんと足を振ってみる。
すると、くくっと笑われた。
何かおかしい事したかな。
怪訝そうな顔をしていたのだろう、悪いと一言謝られた。
「いや、意外と子供なんだなと思ってな」
「失礼な、赤井さんがおっさんなだけだよ」
コナン君の頭をうりうりとよしよしする。
もうされるがままで本当可愛い。
コナン君は私の癒しだ。
「それで、ミステリートレインでの事だが、説明してもらおうか」