act.03 スペシャルコーチ
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コナン君の頭にラケットをぶつけた人達の別荘へと行く事になり、コナン君は降谷さんに抱っこと言う名の姫抱きをされて運ばれている。
クソぅ、なんて羨ましい。
暫くすると医者が到着してコナン君も目を覚ました。
軽い脳震盪を起こしていたようで、何かあったら病院へ行った方がいいと簡単な処置はしてもらえた。
それを傍らで見守りつつ、大学生四人とミックスダブルスをしようと言う事になったけど先に冷やし中華を食べる事となり、女子メンバーの四人はお昼を作る為キッチンへと行こうとしたのを呼び止めた。
「私いらないから」
「え、椿さんお腹すいてないんですか?」
「んー、そう言うわけじゃないけど、あんまり食欲なくて」
「そうですか…」
蘭ちゃんとの会話を終えるとコナン君は石栗さんの部屋に行くと言って二階へと消えた。
毛利さんは「ヨーコちゃんが出るんだよ」と言ってリビングにTVを見に行き、もう一人の大学生である高梨さんは自室へと戻って行った。
それを見送ってから私は外に出る。
確か自販機の側に喫煙所、まではいかないけど灰皿が設置してあった筈だ。
別荘近くの小さい広場へと足を向け、自販機でコーラを購入してから側のベンチに腰掛けるといい位置に灰皿もあったので、携帯とは反対のポケットから煙草を出した。
ぼーっとしながら表面にGと彫られたジッポの火を煙草へと移して箱とジッポを隣へ置く。
そしてその横に携帯も置き、反対側にはコーラを置いた。
「炭酸でお腹を膨らませるのは感心しませんね」
「まだ飲んでません」
降谷さんが来たのをぼーっと煙草を咥えて見ていたけど、吸わない人の前ではやめておこうと煙草の火を消した。
隣に座った降谷さんはジッポを手にしてじっと眺める。
「Gin、ですか…」
「本人に貰ったものですよ」
「本当に、どんな関係なんです?」
呆れたような声を出されたけど、何度も言うようにジンは友達である。
皆なんで信じないかな。
まぁ、確かに他の人にジンと友達なの、なんて言われたらそりゃあ私も疑うけど…。
「あのポアロに掛けた電話覚えてますか?」
「ええ、朝にテイクアウトした?」
「あの時の友達、ジンですよ」
にこりと笑って言うと驚いた顔をされた。
「バーボンが作ってくれたって言ったら凄く嫌な顔されたんですけど、最終的に美味しかったみたいで完食してましたよ、私の分も食べやがりました」
「ホー、ジンが僕の作ったハムサンドを食べたんですか」
それはそれで複雑ですね。
なんて言って苦笑いを浮かべている。
コーラの蓋を開け、口に含むとシュワっとした感覚が舌を刺激する。
降谷さんは自販機から缶コーヒーを買って、ベンチへ腰を下ろした。
降谷さんの財布初めて見ました。
財布も素敵です。
強いて言うなら掴まれた小銭と缶コーヒーが羨ましいです。
そして行動を共にしている財布も羨ましい。
何年その財布と付き合ってるんですか。
思考がどっかにいきそうだったので必死に戻した。
「因みに、風見さんと会った時にカートン買いしてたのも殆どジンの煙草ですよ」
「ああ、そう言えばそんな事も言ってましたね」
顎に指を這わせて少し上を向いて思い出していた降谷さんに、本当この人何をしても絵になるわと感動で泣きそうになった。
「さっき、ボールを打った時に見えたんですけど、あまり背中を逸らしてテニスはしない方が……」
言い辛そうに苦笑いをする降谷さん。
なんだ?と思ったけど、次の言葉にああ、と納得してしまった。
「拳銃の形、映ってましたよ。生地も薄そうですし気をつけてください」
ペタっと胸の所を両手で押すと、本当だ、形までは拳銃と隣合わせの人しか分からないだろうけど、何か入れてんなくらいには分かる。
なら、手帳と逆にしようとゴソゴソと内ポケットに手を突っ込んでいると、隣からの視線に気付く。
「なんですか?」
「いえ、椿さんは本当に組織の人間ではないんですか?」
「そうですよ?コードネームもないですし」
今後組織で働く気もない。
頼まれたら少しくらいは情報をあげるけど、でも極力組織が得をする事はしたくない。
飲み干したコーラのペットボトルをゴミ箱に捨てて、煙草はポケットへ仕舞い携帯を手にした。
特に何をするでもないけど、握っているだけで落ち着く。
「タコ、とは何の事ですか?」
「タコ……?」
「何かの隠語ですか?やるとかやらないとかタコは持参しないとか言ってましたけど」
そこまで聞いて、ぶはっと噴き出してしまった。
肩を震わせて耐えきれていない笑いをしていると、すっかり眉間に皺が寄ってしまった降谷さんに対して違いますよと言う。
「ただのタコです。ジンとたこ焼きパーティーしようって、だからタコだけでも持参して来いって話です」
ああ、もう可愛いなこの勘違い。
キョトンとする降谷さんに、まだまだ笑ってしまっていると「笑い過ぎです」なんて言ってムスッとしていたものの、ほんの少し降谷さんの顔が赤い気がする。
また、初めて見せる表情に見惚れてしまった。
さぁっと風が吹いた時、園子の呼ぶ声がした。
「え、どうしたの?二人共…顔赤いけど……あっ!ひょっとしてお邪魔だった?」
ニヤリと笑って踵を返そうとしたので思わず園子の腕を掴んでしまう。
「待った待った、何か用があったんじゃ…」
「そうそう!お昼出来たわよ」
「そうでしたか、すみませんお手伝いも出来なくて」
三人で歩いて別荘へと戻ると、二人はダイニングへと行ったけど、私は食べないので石栗さんの部屋へと向かった。
殺人を未然に防ごうと思い、石栗さんの部屋へと行けばそこには蘭ちゃんがお盆を持ってノックをしていた。
「どうしたの?」
「それが、お昼を持って来たんですけど返事がなくて…」
あれ、足元が涼しい…。
そこまで考えてやってしまったと思った。
彼はもう死んでいる。
15時頃に発見されるから昼は食べてからだと勝手に思っていた。
蘭ちゃんも涼しいからと言ってエアコンがついてると勘違いしている。
どうしたものかと考えたけど、いい案は思いつかなくて、第一発見者になる勇気もない。
薄情だとは思ったけど、今回は傍観者でいよう。
そう心に決め蘭ちゃんと共にダイニングへと向かった。