act.02 ミステリートレイン
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昨夜はお互い譲り合いの精神が生まれ、どっちがベッドで寝るかソファで寝るかを言い合いし、最終的にベッドで一緒に寝よう!と言ったけど、全力で拒否されて、結局コナン君が折れベッドに寝てくれて、私がソファで寝た。
朝からコナン君を探偵事務所まで送る為、ついでにポアロで朝ご飯も食べる為、並んで道を歩いている。
「大丈夫なの?」
「ん?なにが?」
「その、ジンと友達って…」
「え、うん、彼私にすっごくあまいよ」
そう、と苦笑いをされた。
命の危機の心配をしてくれているんだろうけど、それは私も何とも言えない。
ひょっとすると泳がされているだけで、いらなくなったら心臓なり脳幹なり貫かれるかもしれない。
それでも、原作を読んでいた頃よりかは凄くジンの事が好きだ。
勿論、友達として。
私の恋人はこの国を恋人と称する彼のみ。
「今安室さんの事考えてたでしょ?」
「え……もしや顔に……」
「うん、すっごくだらしなかったよ」
全力で顔を覆い隠した。
見た目小学生にだらしないと言われてしまった。
でも降谷さんの事を考えると顔がだらしなくなるのは認める。
すると隣からそう言えばと何かを思い出したように口が開かれた。
「昴さんの家行くの一緒に行こうか?」
「本当っ!?助かる!」
かなり食い気味でキラキラした目を向けた。
流石主人公、心強いわ。
だけど相手が赤井さんと言う事で口で勝てない分心細い。
「すみませんが家に上がってからは私の膝の上に居て下さい!」
と、この場で土下座しそうな勢いで頼んだ。
その勢いに負けたコナン君は二つ返事を返して了承、そして後悔の色が顔に出ていた。
ありがとうとお礼を言ってから機嫌よく彼の手を繋ぎ、数分歩いて探偵事務所へと着いた。
触んなとか言ってくるだろうと思ったのに、意外や意外、手を繋ぎたい気分だったのか、コナン君も握ってくれた。
ああ、可愛い。
「コナン君っ!」
郵便を確認していたのか蘭ちゃんは階段の手前にいて、私達を見るなり声を掛けてきた。
「あ、すみません、昨日コナン君がお世話になったみたいで」
毛利蘭ですと自己紹介をされたので同じく簡単に自己紹介をした。
コナン君とはポアロで知り合ったと。
「コナン君またいつでも来てね」
屈んでよしよしと頭を撫でる。
そうだ!とコナン君はポケットにある携帯を出して連絡先を交換してくれた。
そして蘭ちゃんとも。
嬉しい、一気に二人も電話帳が増えた。
「あの、椿さんはテニスとか興味あります?」
その話題に、おっマジかと声が出そうになった。
思わぬ人からのお誘いだ。
てっきり降谷さんと出会い降谷車に乗せてもらって行くのだと勝手に妄想してしまってたけど、誘ってくれたのはAngelだったよ。
「昔結構ラケット振ってたよ」
にこにこと返事をする。
某テニス漫画に憧れて何度ツイストサーブの練習をした事か。
まぁそんなサーブ打てる事もなかったけど。
「だったら、今週の土曜日一緒に伊豆高原にある別荘へ行きませんか?」
「いいの?私が行っても…」
「はい!勿論です!」
「じゃあ是非!参加させてもらうかわりに車出すよ」
ふふっと笑って言うといいんですか?と聞かれたのでイエスと返した。
いつものレンタル車なのだろうとふんでいたので蘭ちゃんも嬉しそうだ。
レンタル代と店に取りに行く時間浮くもんね。
「また時間とか分かったら連絡しますね」
コナン君の手を引いて家に入って行くのを見届けてからポアロの扉を開けた。
降谷さんが居ないと興味ないわとカウンター席で適当にグラタンと紅茶を頼んだ。
梓さんと少し会話をしたけど彼女も朝のこの時間は忙しく、マスターと二人でバタバタしていた。
食べ終わると長居もせずに家へと帰る。
梓さんに安室さんの事を聞くと、体調不良だと言われた。
週明けには復帰出来るそうだけど、それまでの間お客さんが減っちゃう、なんて愚痴を零していた。
暇だしどっか行こうか。
ドライブでもしようと愛車の鍵を手にして目的地の公園をナビにセットして車を発進させた。
赤信号で停まった時に携帯を手にしてメールを打つ。
相手はジン。
手頃なライフルが欲しいと。
あとは練習場みたいな所と…そうなったらベレッタの銃弾も山のように欲しい。
追伸で今度たこ焼き一緒に作りましょう、タコは持参でと打って送った。
車を走らせ数十分程で目的地付近に到着しましたとナビが教えてくれた。
飲み物でも買おうかと近くのコンビニに車を止めて、鞄を手にしてATMでお金を下ろしてからストレートの紅茶とお酒、バーボンを三種類とスコッチを買う。
そしてレジを済ませた所で携帯が震えた。
お酒が重いのと鞄を反対の手で持ってるのとで携帯を手にするのに手間取ったけど、なんとか通話を押せた。
「はいはーい、ちょっと待ってね」
これは重いので早く車に積んでしまおうと言う思考と、あまり電話の向こうの相手を待たせるのも悪いと思い、勢い良く扉を開けたけど、視線は雑誌コーナーに向いてしまう。
よくサンデーの立ち読みしてたな、なんて考えていると思い切り扉のすぐ向こうで人にぶつかってしまった。
その反動で携帯は落ち、買った酒達は転がり、鞄はすっ飛んだ。
鞄の中身がぶちまけられていて、パソコンがスーっと滑って止まってた車の下に入り込んだ。
私はと言うと腕を掴まれ支えられていたので床と対面する事はなかったけど、その助けていただいた人を見て驚きで固まってしまった。
「え……安室さん?」
同じように青い瞳を見開いているスーツ姿の彼。
ああ、今は公安かと頭の端で冷静に判断出来た。
ヤバい、スーツ姿はヤバい。
こちらの世界で初めて拝む事が出来た。
ニヤケないようになるべく見ない事を心掛けよう。
いや、でもかっこいいからずっと見ていたい。
「椿さん、何故ここに?」
「公園に行こうと思って……」
降谷さんの後にはこれまた驚きの目をした風見がいた。
いや、君は驚いたらダメでしょ。
そんな時、バキッと言う音が聞こえた。
「ああぁあぁああぁ!!」
パソコンは発進したタイヤの下敷きになったようだ。
慌てて駆け寄り確認した所、無惨にも画面はバキバキだった。
ヤバい泣きそうだ。
ゴソゴソと音がしたので振り返ると、風見が鞄の中身を詰めてくれていた。
そして降谷さんに視線を向けると、買ったコンビニ袋片手に、私の携帯を耳に当てていてさらに泣きそうになった。