act.10 海水浴場にて
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海水浴場から大きめの荷物を持ち、園子には先にホテルに戻ってると言ってから道を歩いていると泣けて来た。
降谷さんにバレた恥ずかしさと何て説明すればいいのか相俟って視界が涙で滲んでくる。
そんな時、コナン君からハーフパンツを受け取って手にしていたそのポケットが震えている事に気付いて携帯を出すと着信だ。
相手はジン。
何故かその字を見ると耐えていた涙は頬を伝った。
「はい、もしもし……」
『前言ったパーティーの件覚えてるな?』
愛車に乗り込んでエンジンを掛け、冷房で車内を冷やす。
前、とはいつの話だ。
パーティー?
確かそんな話前に聞いたような……。
「いや、今それよりもバーボンとちょっと色々あって頭爆発しそうで脳内桃色なのは間違いないんだけど水着姿拝めてかっこよかったんだけど、そうじゃなくてでも相変わらず女性にモテて逆ナンされてて、え、アレってナンパじゃないよね?まさかバーボンから声掛けたとかないよね?だったら泣ける」
『……メールにする』
「待って!お願い待って!取り敢えず泣いてるので慰めるとか男ならなんか言いなよ」
『面倒臭ぇ』
グズっと鼻を啜っていると漸く本格的に泣いてると思ったのか電話の向こうの気配が変わったように感じた。
あれ、そういえばジンの前で泣いた事あったっけ。
『泣き止め』
「ありがとう、不器用な優しさ」
『てめぇ……切るぞ』
「ごめん嬉しい!凄く嬉しいので切らないで!」
だってあのジンが本当に電話を切らないで話を聞いてくれている。
それだけでも嬉しいのにぶっきらぼうに泣き止めとさえ言ってくれたんだ。
嬉しくないわけがない。
『……何があった』
ジンに刺青の事言えない。
何て言えばいい?
降谷さんのfだと言えば誰だそれとバーボンに繋がり兼ねない。
「バーボンってさ、真面目だから……ほら、刺青とか…気にするのかなぁって…」
『奴のどこが真面目だ』
「えっ、真面目じゃないの?」
『女転がしてんだろうが』
た、確かに。
その事については真面目だとは言えないけど、その指示を出してるのは誰だ。
その件をまわしてるのは誰だ。
顔が良くて言葉が上手いのは本当に罪だ。
女性関係も泣けるではないか。
でも、それは仕事熱心だからであって……ダメだ、止まりそうだった涙は再び視界を曇らせる。
「ジンは、どう思う?刺青入ってる人」
『どうも思わねぇ、過去は気にしねぇ……そいつをこれからどう変えるかだ』
ジンらしい考えの答えをくれて、嬉しくて涙が頬を伝った。
「うっ、ジン様々だねありがとー、今度お礼に私が髪の毛洗ってあげるっ」
『いらねぇ……まぁ精々性病移されんなよ』
ティッシュで化粧が落ちない程度にパパっと涙を拭いた。
「……現時点で性病か聞いてみる」
ジンとバーボンが合わないのが何となく分かった。
彼ら真逆なんだ。
え、でも全く違うなら埋め合わせ出来そうで合いそうなんだけど……意外と相性は良かったりして。
あ、パーティーの話聞いてないや。
また連絡下さい。
通話を切り携帯を置いた所でふと視線に気付く。
にこりと笑った降谷さんは難なく助手席へと降臨した。
手渡された薬と私は腹痛だという事を頭に入れておいて、あの砂浜で暴言を吐いた事を謝る。
それから降谷さんにも謝られ、話は刺青へともっていかれた。
降谷さんへの憧れとして彫ったこれは勿論大好きだという意味も兼ねてだ。
先輩としても勿論だけど、男性としても好きなので私の人生と言っても過言ではない。
ハニトラの事も女性関係は一応頭に入れてくれるみたいだし、100%身体の関係ではないと嘘を吐かれるよりかは余っ程いい。
性病検査の為に態々忙しい降谷さんが病院に行くとは思えないし結婚してるわけでもないのであまり強くは言えない。
「椿さん」
「うえっ、はい、なんですか?」
「さっきの電話の相手は誰だったんです?」
「え、ああ、ジンですよ」
グッと眉を寄せる降谷さんはそりゃあもう間近で見ると綺麗だ。
形のいい眉をいつも通りという感じで寄せている。
色黒美人!
うわあぁぁ、かっこいい!
今日本当に色々あったけど一緒に来れて良かった!
降谷さんの海パン姿見れたしゴリラとも謳われる筋肉も見る事が出来た!
細マッチョだった!
「内容は?」
「え……そこ気になります?仕事の事ですけど…」
「……そうですか」
おや?信じてないな。
不服そうというか不満そうというか。
仕事の話はパーティーの事だけど、あとの9割はあなたの話ですよ。
なんて言えないので黙っておこう。
また墓穴を掘ってしまう。
「皆さん来ましたので行きましょうか」
ああ、後片付け全て任せてしまったのか。
申し訳ない。
エンジンを切ってそれぞれに荷物を持った所でフロントへと行き部屋の鍵を貰った。
蘭ちゃんや園子、他の皆から大丈夫かと心配の声を貰ったけど、降谷さんの薬のお陰でバッチリと笑顔を返しておいた。
「それで、私は何故この部屋割りなんでしょうか」
おかしいよ!と叫んだ。
いくら3部屋で3人3人4人だとしても、女子が4人いるんだからそれでいいじゃないか。
「両手に花でしょ、なんか文句あんの?」
「だからその意味が分からん!」
何が両手に花だ。
ぶつぶつと言いながら夕飯はホテルのビュッフェという事になっているのでこれでもかと皿に料理を盛っていく。
そう、荷物を部屋へ置いてトイレで着替え、即行でビュッフェへと来た。
そして園子に抗議の声をあげた。
部屋は降谷さんと昴さんとコナン君だ。
せめてもの救いはコナン君がいた事だろう。
私一人だと対処出来ない事もあるかもしれないのでそういった面では有難い。
毛利さんは元太くんと光彦くんで一部屋。
蘭ちゃんと園子と歩美ちゃんで一部屋だ。
勿論部屋の男共とは会話もせずに出て来てしまった。
それにしても昴さん変装大丈夫かな。
「そんなに食べてよく太らないわね」
「太るよ、だから太ったら食べないようにしてるの」
フォークにパスタを巻き付けて口へと運ぶ。
舌はまだ少し痛いけど熱過ぎなければそこまで痛くはない。
「それだと栄養が偏りますよ、普段から偏食なんですからもう少し体を養ってあげてください」
園子の隣に座った降谷さんは私と向かい合う。
因みに蘭ちゃんは私の隣であり園子の前だ。
そんな園子はラッキーなんて降谷さんが隣に座って来て嬉しい様子だ。
京極さんにチクるぞ。
「それよりも部屋割りの抗議を申し立ててもらいたいですね、女一人って嫌です」
「恋愛トークなら聞きますよ」
おっと、これはこれは。
隣に座って来た昴さんからのお言葉です。
恋愛トークて。
誰の事について話せばいいんだ。
あんたの過去の恋愛でも質問してやろうか。
あれもこれもとデザートまでしっかり食べた所でご馳走様とお盆を下げ、その辺にいたホテルマンに酒が欲しいと言った。
「部屋までお願いします」
畏まりましたと去って行ったホテルマンを見送ってから、側にあった喫煙所で一本吹かせてから部屋へと戻った。
まだ誰も戻って来ておらず、荷物の整理をする。
今のうちにシャワーを浴びてしまおうと十分程で済ませ、髪は乾かしガッツリと化粧をした時、内線が鳴ったので出ると、相手は園子だった。
露天風呂に行こうとのお誘い。
残念だけど胸の刺青を理由に断った。
大きめの絆創膏でも貼れば隠せるけど、そもそも今シャワーをした所なので面倒臭いのもあり、もうすぐお酒も届く。
今日はもう飲んで寝ようと決めている。
昴さんの為にバーボンも久しぶりのスコッチもあけようと決めている。
降谷さんもお酒に付き合ってくれるといいんだけど飲んでくれるかな。
決して彼が酔う事はないけど酔った所も見てみたい。
どうなるんだ。
絶対可愛いよね。
ぜーったい可愛いよね。
ああもう、酔わせたい。