act.10 海水浴場にて
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見掛けによらず強いとか、毛利さんにも絶賛された。
護身術程度ならと言い訳はしたものの、まさか元警察官だったなんて言えない。
なるべく食べやすくて熱くないモノを選んで口に入れていると、徐に園子が近付いて来た。
なんだと紙皿を持ちながら眉を寄せると、服に手を掛けて来たではないか。
慌ててその手から逃れる為に体を反転させる。
「なに?」
ギロっと睨んだけれど園子は怖くないといった様子で、らーんと声を上げた。
すると紙皿を園子に取られ、それを昴さんに渡している。
本当に何なんだと言えば、蘭ちゃんにすみませんと謝られ、そして何故か両腕を後ろから掴まれ身動きが出来なくなる。
「は?え、殴っていい?暴れていい?」
「絶対ダメだからね、大人しくしてなさいよ!」
「ビキニ姿が見たいねってなったのでジッとしてて下さい!」
「え、や、無理無理!本当ダメだって!」
グッと力を入れるものの蘭ちゃん結構力強い。
クルッと体を捻ってその腕から逃れようとしたのに読んでたのかパシッとまた両腕を掴まれた。
蘭ちゃん凄いけど今はそんな身体能力見せなくていい!
ニヤニヤとした園子がジッパーを掴んだ。
「本当ダメだって!昴さん助けて!!」
何故降谷さんを呼ばないかって?
ほら、こんな場面だと「諦めてください」と言われるのがオチじゃないか。
絶対彼は助けてくれないと思ったけど……。
「諦めて脱がされて下さい」
昴さんも同じだった。
「毛利さん!!」
「オレも椿ちゃんの水着見てみてぇからな」
ニヤリと笑うおじさん。
仕方ないと降谷さんに視線を向けるも、彼はにこりと微笑むだけ。
もう助け求めないよ。
コナン君なんて蘭ちゃんが絡むと確実に何もしてくれないよ。
蘭姉ちゃんって掛け声だけだよね?
園子の手によってジッパーが下げられ、彼女の手は止まる。
壁側を向いていた事がせめてもの救いか。
「え……あー…椿さんごめんね」
前にまわって来た蘭ちゃんも私の胸元を見て少し目を見開き、再び上げられたジッパーに手を離した園子と蘭ちゃんをギロっと睨み付ける。
「すみません、でもz……」
言い掛けた蘭ちゃんの口を慌てて塞ぐ。
「この事については触れないで」
低い声で唸るように言えば二人はコクコクと首を動かすだけだった。
少年探偵団のコナン君を除く三人は再び海へ行き、残った大人メンバーは皆私をジーッと見てくる。
眉を寄せながら食べ掛けの紙皿を昴さんに返してもらえば、案の定どうしたんですかと聞かれた。
「見られたくない傷があるから……」
嘘だけど、こう言っておけば男性陣は手が出せない筈だ。
別に降谷さんの事を知らない人になら見せてもいいけど……なんせこの胸に彫ったのは向こうで生きている時だ。
どう考えても怪しまれる。
「その傷見せてください」
一番見られたくない相手からの発言に何を言ってももっていかれるのは分かっているのでチラと横目で降谷さんを見て無視を決め込む為に黙々と焼き鳥を食べていく。
うん、美味しい。
「分かりました。では、これに勝ったらというのはどうです?」
いつの間に私の鞄から出したのか形の出来たビーチボールがあった。
勝手に女性の鞄を漁った上に持って来ていたビーチボールを膨らませるとは。
手が早いのか汚いのかなんなんだ。
それに鞄には念の為とポーチに入れて愛銃が収納してある。
「すみませんが、安い挑発には乗らないですよ」
「え、嘘やらないの?椿さん海も入ってないしやろうよ」
園子が声を上げたので溜め息が出た。
仕方ない、負ける気はしないけど、安い挑発と言った手前勝負を受けるのは嫌だ。
だけど園子にそう言われるとやらない事もない。
「やる」
「じゃあ私安室さんと組むわね」
何故そうなる。
まぁでも昴さんと降谷さんが組まれるよりかはいいか。
ジッと昴さんを見たけど暑そうで可哀想だ。
もし変装がバレる事があれば大変だろうし男女差は多少あるだろうけど……。
「蘭ちゃん、やろ」
「えっ、私ですか!?てっきり昴さんを誘うかと……」
ええ、昴さんをこっちに入れて本気でやっていただければ確実にこちらが勝者だ。
赤井さんに限って負けるなんて事はないだろう。
いや、降谷さんが負けるとかそうではなく、2対2なんだ。
明らかにこちらの方が有利になる。
「やるからには勝つ!」
「じゃ、移動しよっか、あっちにコートあるから」
そう言って園子の足が向く方について行けば砂浜の真ん中に枠がありネットが張ってある。
本格的過ぎて鈴木財閥の権力が凄く伝わってくる。
しかし降谷さんがやるとなるとギャラリーが増えそうだ。
クッソイケメンだからね。
その顔狙ってボール打ってやろうか!
嘘です。
そんな事私には出来ません。
ああ、やっぱり昴さんが恋しいよ。
そんな事出来るのはきっと彼だけだよ。
「点数どうします?」
「1セットで20点くらいでいいんじゃない?」
降谷さんの質問に園子が答えている。
「蘭ちゃん、バレー出来るよね?」
「そこまで上手くないですけどなんとか」
毛利さんは留守番で昴さんとコナン君はついて来た。
昴さんに得点を数えてもらい、コナン君はその隣で苦笑いをしている。
しかしその胸羨ましいな。
蘭ちゃんも園子も若いしビキニがよく似合ってる。
本気でお願いしますとビシッと頭を下げてからネットの向こうにいる降谷さんを睨む。
「始めましょうか、サーブはそちらからどうぞ」
余裕でポーンとボールを放られたのでバシッと受け止めた。
本当にこの人はいい性格してますね。
敵に回したくない人だ。
いや、今現在敵なのだが。
後ろに下がり風が吹いていないのを確認するとボールを上に投げ、パシッと右手で打った。
ボールが軽過ぎて少しカーブが掛かる。
それはすぐ様降谷さんによって拾われ、園子が上に上げる。
そして、降谷さんは高く跳びスパイクを打った。
それは見事に蘭ちゃんの横を抜けた。
「大人げないですよ!」
「ゲームであろうと常に本気です」
クソっそっちがその気ならと履いていた邪魔なハーフパンツを脱げばVラインは恥ずかしいと水着のスカートが顔を覗かせた。
ペイっとハーフパンツをその辺に放ればコナン君が回収してくれた。
ごめんね、私のズボンなんて持たせて。
ポケットには携帯と煙草とジッポが入ってるから丁寧に扱って下さい。
向こうからのサーブは降谷さんが打つようだ。
負けん。
要は勝てばいいんだ。
どんな手を使おうと。
「女性に勝利を譲ったらどうです?」
「そんな事をしても嬉しくないでしょう?」
あれ?副音声で「何を寝惚けた事を」なんて聞こえた気がした。
そこまでして私の傷が見たいのか。
「椿さんの傷素敵だと思いますよ?」
「蘭ちゃん、そんなフォローいらないから」
「私もそれ思った!安室さんになら見せてもいいんじゃない?」
降谷さんだから見せれないんだって。
そんな事をすれば尋問間違いなしだ。
ボールを高く投げた降谷さんは、思い切り跳び上がりジャンプサーブをカマして来た。
なんなんだ凄くかっこいい!
綺麗なフォルムだけどムカつくっ!
飛んで来たサーブを拾うと蘭ちゃんが真ん中に上げてくれたので高く跳んで体をしならせた。
「取れるものなら取ってみろ!」
バシィと決まったバックアタックは見事に園子の横を抜けた。
いや、音はバシィではなく軽いビーチボールなのでトスっくらいだったけどバシィの方が盛り上がると思って。
「ホー、臍ピアスまでしてるんですか」
思い切り腕を上げたから見えたのか。
「舌とお揃いですよ」
べーと見せた舌にはワンポイントの0。
つまり私のお臍にもゼロがある。