act.10 海水浴場にて
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昼前にジンに電話で起こされ今すぐ来いと言われたので軽く化粧だけしてスウェットのままキャップを被り車で指定されたホテルまで行った。
そして部屋に入ればジンだけでなくキャンティもいた。
「おはようございますー」
「直接こうやって会話するのは初めてだね」
アタイはキャンティと手を出してくれたので握手をして名前を言おうかと悩んだ所でジンが横からゼロだと先に言ってくれた。
組織では私をゼロで通す気なのか。
まぁ本名言わなくていいならそれでいいのだが。
それでほらと渡されたのはライフル。
前回とはまた違ってこの銃はキャンティとお揃いのやつだ。
「H&KのPSG-1だよ」
「うわぁ!かっこいいありがとうっ!」
マガジンを抜いたりガチャガチャしていると、やっぱりかとギターケースを貰った。
そしてジンは無言でじいっとこっちを見てくる。
なんだなんだ。
それはもう凄まじい睨みだ。
「じゃあアタイは帰るよ」
もう一度お礼を言ってキャンティを見送り、部屋の扉が閉まれる。
ギターケースを背負い、それでは帰りますと扉を開ければ何も言わない上、見送りにも来ないジンにキャンティに言ってくれたのはきっとこの人だと分かっているのでありがとうと言ってから駐車場に止めてあった愛車に乗り込んだ。
そして家に戻ると近くに蘭ちゃんと園子を発見して、嫌な予感がした。
車を定位置に止めると二人が丁度駐車場に入って来た。
「何か?」
「椿さん!ちょっと話あるから来てっ!」
「話っ?」
半ば強制的に連れて行こうとする園子に待ってと一旦掴まれた腕を振り払った。
それなのに蘭ちゃんにも掴まれれば今度こそ眉が寄る。
右と左の腕を持たれて蘭ちゃんは器用にどこかにメールを打っていて、そして園子には逃げたらダメだからねと釘を刺される。
「これ何処向かってるの?」
「ポアロよポアロ!皆で会議中なの!」
「会議?」
なんの会議だ。
まさかとは思うけど降谷さんが何か言ったとかではないよね?
あの降谷さんに限って……いや、案外ケロッと言ってそうだけど。
「あれから椿さんとはどうなったんですか?」
「ああ、付き合いましたよ」
なんて梓さんと会話してそうだ。
恥ずかしい。
あの告白以来合わせる顔が無くてポアロには行きたくても行けずにいた。
「椿さん何か怒ってる?」
「怒ってはないけど……こんな強制的に連れられたら誰でも不機嫌にはなるよね」
「すみません、少年探偵団の皆も待ってるので」
ああ、凄く煩そうだ。
さらに眉間に皺が寄る。
そしてポアロに着いて園子は勢いよく扉を開けて、まだ離してくれないのかと、半ば流れるように園子に引っ張られながら中へと入った。
「捕まえて来たぞーガキンチョ共」
「やったー!椿さん待ってたんだよ!」
「ささっ、こちらへどうぞ!」
「姉ちゃんも一緒に行くだろ?」
「何の話だ、糞ガキ共」
いきなり過ぎてついて行けない。
もう少し蘭ちゃんも園子も事前に話してくれていてもいいんじゃないのか。
こっちこっちと連れて行かれ、コナン君を発見したので早速抱き上げる。
「コナンくーん久しぶりだ」
ぎゅっと抱き締めてからコナン君を膝の上に乗せて座った。
あはは、久しぶりだねー、なんてコナン君からは乾いた笑みを貰った。
褐色の肌が水の入ったコップを机に置いた事によって、その主を見ようと顔を上げれば降谷さんがにこりと微笑んでくれた。
顔から湯気が出そうな程に恥ずかしい。
ぼーっと降谷さんを眺めていると目の前に座っている園子からはニヤニヤとした視線が送られて来る。
その表情に顔を引き攣らせ、本題だとばかりに口を開ける。
「それで?私が何」
話を聞けばどうやら博士が風邪を引いて哀ちゃんはその看病で来れないらしい。
それで二人分空いたようだ。
少年探偵団のキラキラとした目と、ずいっと迫ってくる園子、そしてそれを見ている蘭ちゃん。
「行こ!椿さんも!安室さんも!」
え、降谷さんも?
待ってそれはハードルが高過ぎる。
いくら皆いるとはいえ対応に困る。
困るといってもおそらくこっちだけだ。
降谷さんはきっと何とも思ってないんだろうけど、私は恥ずかしい。
無性に水が進むよ。
「梓さんはポアロだって言うし、安室さん休みだって聞いたから」
明日ポアロ休みなんですか。
という事は探偵か本庁じゃないの?
「行こうぜ!兄ちゃん」
「そうですね、椿さんが行くなら行きましょうか」
「え、いや、私は……」
「どうせ暇でしょ?予定なんてあってないようなもんなんだし決定ー!」
言い方。
あんた私より何個下だと思ってんの。
まぁ話しやすいから言わないけどさ。
「1泊2日でバーベキューもするからね!」
「……だから車を出せと?」
「すみません、お父さんの車と二台で」
「場所は?」
「静岡にある海水浴場とバーベキューが出来る鈴木財閥がやってる所よ、ホテルも一番近い所取ったから」
思わず溜め息が漏れた。
つまりは水着も持って来いと言う事か。
あとでどんな所か調べておこう。
「僕の奢りです、皆さんで食べてください」
降谷さんはサンドイッチのお皿を3つ並べた。
残念ながら食欲はあるけど食べたくない。
いや、食べたいんだけど、降谷さんの事で胸がいっぱいで食べられないし、まだ舌が痛い。
それに、普段の運動量から考えて明らかにプニっとして来たんだ。
足とかお腹とかその他諸々。
本当に残念過ぎるから降谷さんの手作りはご褒美としてまた近々来よう。
すっかり無くなった水は気を利かせた降谷さんが注いでくれた。
ありがとうございますと目を見てお礼を言えばじっと見られる。
悲しい事に食べない私の事を不審に思ってる筈だ。
「それでメンバーがね、ここにいる2人合わせた8人と、蘭のおじさんと、それから昴さん!」
「えっ、昴さんも?」
「だから10人ね!明日の朝一出発だから!」
「えっ、明日っ!?」
早速用意しないと。
そう言い残してポアロから逃げるように出て行った。
今から取り敢えず水着を買いに行かないと。
あと浮き輪と、念の為ビーチボールとかも車に積んでおこうか。
時間とかの詳細はまたメールで来るだろうし……それにしても昴さんも行くって何。
あの人哀ちゃんのストーカーなんだから家で大人しくしてなよ。
きっとヒヤヒヤするのは私とコナン君だけだろうけど、精神削れる事間違いなしだ。