act.01 出会い
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どうやら相手はベルモットだったようで、鼻で笑ったり面倒臭そうに隣で会話をしている。
すると、知っている単語が出て来た。
「ベルツリー急行か…」
ミステリートレイン…と言う事はバーボンである事が分かり、殺人事件と爆発と、あとは…美人とイケメンの宝庫か。
乗るか…乗らないか…。
指輪はなんとか入手出来るだろうけど。
「ねぇ、ジン。それ、私も乗っていいかな?」
「あ?」
「バーボン、乗るよね?」
ニヤリと、内心はニヤニヤと笑っている。
かなり気を張っている降谷さんに会うのは避けたいけど、彼の仕事ぶりをこの目に焼き付けたいのも事実。
ハッと鼻で笑われたけど尾行の事で機嫌が悪くなっていたジンはいつの間にか上機嫌だった。
死んだ筈のシェリーが生きていると聞いたのだからそりゃあジンにすれば嬉しいだろう。
あまり声が漏れないようにと配慮してくれているのか、ジンの手は携帯を覆っている。
「巻き込まれるぜ?」
「バーボンが関わるのなら喜んで!」
『ジン?誰かいるの?』
携帯からはベルモットの声が漏れている。
相変わらずセクシーだな。
本当降谷さんの隣代わって下さい。
いつも隣の座席で彼の車に乗ってるのは本当に羨ましい。
「気にするな」
頭が降谷さんでいっぱいになってる私なんて置いて、ジンは再びベルモットと会話していた。
数分経ち家に着いた頃にジンは通話を切った。
そして十一階まで荷物を運んでくれる。
部屋へ入るとやっと一息。
冷蔵庫に買って来たものを詰め込み、簡単にカレーでも作ろうとキッチンに立って包丁を握った。
「料理出来んのか?」
「極力したくない」
あくまでやる気がないだけでやろうと思えばそれなりに出来る。
黙々と切って炒めて煮込んでとルーの箱を見ながら完成した。
それを机に運んで二人仲良く並んで食べる。
この一日で本当に距離が近くなった気がする。
まさかここまでとは。
誰かの名セリフが思わず出てしまった。
「ベルツリー急行について知ってんのか」
「んー、なんとなくは?」
「パスはどうした」
「これから」
ジンは食べていた手を止めて何かを考えるようにぼーっと一点集中している。
そもそもいつあるのかも知らないので携帯を出し検索にかけた。
すると、今週の土曜日だった。
ここまで迫っているとなると、パスの入手は諦めて家で暇でもしてようかと考えた時、目の前に携帯を出された。
ん、と差し出された携帯を手に取って画面を見ると、差出人はウォッカからで、「明日の朝パス持って行きやす」とだけ書かれていた。
「あの…これは一体…」
「乗りてぇんだろ?」
仕事が早い人ここにも居た!
いつの間にウォッカに話していたんだ。
そしてウォッカも仕事早ぇな。
急に言った事なのに、何故パスが用意出来る。
原作では二人は乗らずに名古屋駅に居た筈。
「もしかして…」
「元々殺す予定だったからなぁ」
やっぱりか。
所持者を殺してパスを手に入れたのか。
組織の事だから足のつくことはしない。
だから私がこのパスを手にして本名と素顔でベルツリー急行に乗ったとしても誰も怪しまないだろう。
だけど、死んだ相手のパスを指に付けて乗るのは少し気が引ける。
「乗るか乗らねぇかは椿次第だ」
勝ち誇ったような顔。
そう言われると乗ると言ってしまう私はかなり単純に出来ているようだ。
今日一日共にして、ジンはどうやら私の扱いが上手いらしい。
そして、私にあまい。
これは自惚れではないといいな。
「はい、かんぱーい」
ご飯の後、ジンが片付けをしてくれている間に風呂に入り、私の次にジンが風呂へと行った。
その間に煙草を一本吸い、お酒を用意していると髪を乾かしたジンが出て来た。
そして、少し明るめに乾杯の言葉を言う。
あけているのは勿論バーボン。
「底なしだな」
「もう、バーボン本当好き」
でへへと思わず変な声が出た。
「だってかっこいいし可愛いし頭いいしスポーツ万能、強い上に車の運転も上手い!それから…」
「もういい」
「バーボンの話してたら一日24時間じゃ足りないよね!丸三日はバーボンについて話せる自信あるよ!」
「酒が不味くなる」
「もう、あの笑顔本当人殺せるよね!心鷲掴みされた挙句射貫かれてからのキュン死確定!家で笑顔の練習とかしてんのかな?鏡の前とかでニコって!やっばいよねそんな事してたら!もう吐血しそうっ!」
「うぜぇ」
カランとグラスの中の氷が音を立てる。
決して酒に酔っている訳ではない。
潜入捜査間近だったやつが酒に吞まれるなんて有り得ない。
「ジンってツンデレだよね?バーボンはどうだろ?ああああ考えただけで顔崩壊する!ニヤけが止まらない!」
こんな事決して本人目の前にしては言えない。
しかしバーボンについてをこの世界でこんなにも語れる人と出会うとは…。
一方的にとは言え。
はぁ、今日も私は幸せだ。