act.08 お祭り日和
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この人こんな所で何してんの。
万年仕事人間だった筈なんだけどまた白鳥警部に休暇でもとか言われたのか。
チラと降谷さんを見ると眉を寄せてその男、黒田さんを見ていた。
きっと同じ事を思っているだろう、何故こんな所にと。
「何かあったかな?」
ギロっと睨んで警察手帳を見せた黒田さんに、すぐ様逃げて行った男達。
そして目が合うと大丈夫かと聞かれたので黒田さんをじっと見て大丈夫だと答えた。
食べ終わったフランクフルトの棒をゴミ箱に捨ててから去って行ったのをじーっと見ていると隣から声が掛かる。
「椿さん怪我はないですか?」
「はい、私は平気ですよ」
心配そうに聞いてくるのでへらっと笑うと降谷さんは溜め息を吐き良かったと声を漏らす。
「黒田さんって暇なんですか?」
「そんなわけないですよ、きっと何か事件でもあったんじゃないですか?」
フランクフルト食べてましたけど?と聞きたかったけど色々と墓穴を掘りそうなので言葉を飲み込んだ。
彼に対して触れるのは止めておこう。
気を取り直してポテトを食べていると降谷さんがたこ焼きをくださいと言ったので袋事渡した。
「一つだけ貰います」
にこりと笑って爪楊枝でたこ焼きを口に運んだ彼。
そこで思い出すのはあの来葉峠のコンビニでの出来事だ。
あの時はたこ焼きではなく唐揚げだったけど、爪楊枝で間接キス等という邪な妄想が頭を支配していた。
その時に凄く似ていてありがとうございますと何事も無かったかのように、たこ焼きのパックは蓋をされ残りの5つが返ってきた。
これがコナン君や赤井さんなら気にする事なくパクパク食べられるけど、降谷さんとなると別だ。
「椿さん、あれをしても?」
指を差されたのは射的。
なんだろう、笑ってるのに凄くオーラが禍々しい。
苦笑いでどうぞと言えばすぐ様おじさんにお金を払ってコルク銃を物色し始めた降谷さん。
手前の銃でいいのでは、と見ているとその視線に気付いたのかバネのしっかりした物を探してるんですと言われた。
降谷さん、たかがお祭りですよ。
犯人に拳銃向けるんじゃないんですから、バネが弱くても大丈夫です。
そして選んだ銃にコルクを入れて狙いを定め、ポンと撃った。
凄く近い距離だったので本物の銃を構える人にしてみると簡単過ぎるけど、火薬でもなければ鉛玉でもないのであんな軽いコルクで狙った物が落とせるのかと思った。
だけど、ものの見事に角を狙い回転するように降谷さんの狙った商品は下へと落ちた。
「5発中5発当てましたか、流石です」
パチパチと拍手をすると周りからも拍手がとんでくる。
この人だから皆見てたんだろうね。
降谷さん本当目立つから尾行とか向かないと思う。
「5つも要らないので一つだけ貰っても?」
「兄ちゃんイケメンだから特別だよ、好きなの持って行きな」
気さくな屋台のおじさんにコルク銃を返しながら交渉をした降谷さん。
関西のおばちゃん並みに値切りとか上手そうだなと想像していると、赤井さんの事も考えた。
彼は口下手だから値切れないだろうけど、相手側が勝手にサービスしてくれそうだな、なんて思っていると目の前にモコっとした物が来て飛び退くよりも早く鼻に当たった。
なんだと両手で掴むと、にこりと笑った降谷さんと目が合う。
「犬……のぬいぐるみ?」
灰色掛かった青は降谷さんの瞳を思わせる色で、可愛らしいデザインの如何にも女性の好きそうなぬいぐるみだ。
「違いますよ、狼です」
意外と大きいこの犬は狼なのか。
タグにでも書いてあるかと思ったけど、どこにも犬や狼の文字はない。
「これ本当に狼ですか?」
「はい、これは椿さんにプレゼントしますので僕だと思って持っていてください」
なんて事を言うんですか。
この狼をぎゅっとしたかったのに出来なくなってしまった。
それと僕、と言う事でやっと分かった。
そういう事ですかと言えば降谷さんは、ん?と笑って聞いてくる。
「これ、犬ですよね」
「何故そう思います?」
「私が安室さんの事を狼だと言ったからですね」
元々ハニトラでもする気で相手にプレゼントするなら前に狼だと言った事と瞳の色に似ているこの犬を狼だと言ってさらに甘い言葉を贈ればそれはもうオチる。
それとも私の脳内を試されているのか。
「ハニトラ止めてくださいよ、私ダメなんですって」
「そんなつもりはないですよ」
じとっと降谷さんを見たけどにこにこと笑っているだけでその表情からは意図は分からない。
「この犬…狼ありがとうございます、車に乗せますね」
「何故車なんです?」
「なんとなくですけど…」
ダメなのか。
あ、でも車の中煙草臭するから家の方がいいとか?
いや、彼私の車に乗った事ないじゃないか…。
待て待て待て、あるな。
私が運転してる時はないけど、コンビニでジンとの事がバレた時確か風見と後部座席に座っていた。
そして私が酔い潰れた時、風見が運転して降谷さんが後部座席にいた筈だ。
「やっぱり安室さんの車に乗せます?」
「なんでそうなるんです?」
この狼の生活場所はどうしようか。
考えながらもたこ焼きが冷たくなってしまっているかもしれないと食べる事にしたけど、この狼どうしたものか。
正直、邪魔である。
袋をガサガサしていると持ちますと言ってくれた降谷さんは相変わらずの神対応だ。
狼が狼持ってます。
可愛い。
ああああ、降谷さんが食べていた爪楊枝にぺこりと頭を下げてから勇気を振り絞りたこ焼きを一口で食べる。
「んー、美味しい!」
違う意味でも美味しい。
顔赤くないかな。
徐々に暗くなって来てるからちょっと赤くても気付かないか。
「椿さん、あれ出来ます?」
「あれ?ってダーツですか?」
「はい、得意そうだなと思ったんですけど」
「得意です、外しません」
たこ焼きを食べ終わり近くのゴミ箱に捨ててからダーツの所へ行くと既に降谷さんはお金を払ってくれていたようで、先に投げていた。
降谷さんがしたかっただけではないのかとも思ったけど、貴重な降谷さんのダーツを見れるともあり凝視しまくる。
「そんなに見られると投げにくいですよ」
「大丈夫です、安室さんはプレッシャーに強いので」
喧嘩は売ってないですよ、本当の事ですと言えば、にっと安室さんフェイスで笑った後にスパンと的を得た。
3本投げ終わった所で私も投げる、1本、2本と投げ、最後に持っていた左手で投げると見事に3本共的を得た。
「すっごーい、安室さんも椿さんも3本共ダブルブル!」
声のした方を見ると蘭ちゃんと園子、それからコナン君と昴さんがいた。