act.08 お祭り日和
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赤井さんと寝たのはいいけど、何故抱き締められて寝てるんだ。
体が動かずもぞもぞとその腕から逃れようとすれば、更にぎゅっと抱き締められる。
首だけを上に向けるとまだ眠っているようで規則正しい寝息が聞こえて来ては少し腕の力が緩む。
いつもの赤井さんよりちょっと可愛い。
そこで手を動かした事でハッとする。
眠る時いつも握り締めるようにしている携帯がどちらの手にもない。
携帯自体そこまで大事という訳ではないけど、握って寝るのはもう癖のようなものになっていた。
それにまぁ今では知り合いも増え、見る人によればヤバいと思ってしまう程登録してある番号は充実してきている。
「携帯か?」
くあっと欠伸をしながら起きた赤井さんはサイドテーブルに置いてあった携帯をほら、とくれた。
寝てる間に手から取ってくれたのかな?
それだけならいいんだけど電源の落ちている携帯を見て、ん?と思う。
「Good morning to you. How did you sleep last night?(おはよう、昨日はよく眠れたか?)」
少し掠れた声で発音のいい英語が聞こえたので赤井さんの方へ顔を向けるとまだ眠そうに目を擦っている。
「Good morning. I slept well…I slept like sleeping beauty.(おはよー、寝たよ、そりゃあもう眠れる森の美女みたいにぐっすり眠れた)」
「hoo…I give you kiss…(なら、キスしてやろうか)」
「Sorry! No thank you! Already awake! My eternal Prince only 降谷さん!(すみません!結構です!もう起きてるから!私の永遠の王子様は降谷さんだけだから!)」
顔を近付けて来たので携帯の持った手で必死にその顔を押し返した。
寝起きな為そこまで力が入らなくて顔だけの力にも勝てず押された私はベッドから落ちた。
そんな時、扉が開く。
「煩いんだけど…何朝から変な英語叫んでるの?しかも降谷さんだけはっきり言ってたね」
同じく眠い目を擦りながら片手に眼鏡を持ったコナン君が入って来た。
そしてその状況を見て目を見開いている。
ベッドには裸の赤井さん、その隣には人一人分入れるスペースがあり、そして床に落ちている私。
「まさかとは思うけど……」
「まさか?」
「二人ってそーいう関係?」
バタンと扉を閉めて出て行ったコナン君。
それを見て赤井さんは上体を起こしくくっと笑っている。
そして煙草を吸っている赤井さんは凄く絵になる。
朝からかっこいいな。
携帯の電源を入れて写真を撮るだけ撮り、コナン君を追い掛ける。
だけどいない。
玄関に行くと靴が無かったのでもう家に帰ったのか。
「赤井さーん!お邪魔しました!また来るねー!」
ぺいぺいっと服を着替えてから鞄を持って毛利探偵事務所までの道をコナン君を探しながら追い掛ける。
子供に何を誤解されてるんだ。
髪の毛も寝起きのまま化粧も薄らのまま出て来てしまって、諦めてゆっくり用意すれば良かったと凄く思った。
すると前方に小さな後ろ姿が見えた。
「コナンくーん!待って待って」
「あれ?えっ、椿さん髪ぐちゃぐちゃだよ、それにメイクちゃんとしてないのに…」
「だってコナン君が変な誤解のまま出てくから」
コナン君の視線に合わせるように踞むとボサっとなっている髪を手櫛で整えてくれる。
「ホー、それはどんな誤解を?」
えっと声の主を見ると箒片手に立っていた朝でもバッチリかっこいい降谷さん。
何故ここに降谷さんがと思ったけど、もうここは毛利探偵事務所の下だった。
「椿さん携帯見ました?」
「え、いえ朝からまだ見てないですけど…」
首を傾げて携帯を確認するとメールが一件、電話が三件。
全て降谷さんからになっている。
メールの内容はふざけるな赤井!と。
なんだこれ。
赤井さん?
赤井さんがふざけたの?
「送信履歴を見てください、やつの事だ、残してる筈です」
未だに分かっていない私にコナン君も隣から携帯を見つめてくる。
それで一番最後に送ったメールをあけると、画像が貼り付けてあるのみ。
その画像が、赤井さんが裸でフッと笑っていてその隣で私は赤井さんの胸に顔を埋めるようにして眠っている。
「すごい何これ?いつの間に…」
ちょっと赤井さんかっこいい。
このツーショット嬉しいな。
あ、ちょっとこれ頬が緩んじゃう。
隣から小さい手が伸びてきて頬を両手で挟まれる。
その顔は少し焦ってるようにも見える。
待ってコナン君、なんで貴方が焦るの。
「嬉しそうですね」
「朝から英語で話してたみたいだけど、本当に赤井さんとは違うの?」
「ホー、英語で?違うとは何が違うんです?コナン君、詳しく教えてもらっても?」
朝から尋問ですか。
凄く今家に帰って全身整えたいんだけどまだダメそうだ。
「Good morning to you.って言ってたよね」
「to youですか…」
「あと…I give you kiss.」
「ホー、それは赤井が?」
朝から降谷さんのホーが止まらない。
もう三回目だ。
好きだけどね。
うんと頷くコナン君に降谷さんも隣に踞んで、朝から異様な光景だ。
「I give you kiss.は本来ご褒美のような時に使う言葉ですよね?椿さんは朝から赤井にご褒美を貰うような事をしたんですか?」
「何もしてないですよ」
三角形で三人座っている為に降谷さんの距離が近い。
起きて30分も経ってないのに降谷さんをこんな間近で見れるなんて。
この質問がなければなんていい日なんだ。
「無実だ!私は早く帰って顔を作りたい!」
ジャムおじさんみたいな事ではなく単に化粧をしたいだけで、好きな人の前で身嗜みはやっぱり気になる。
それもこんな間近で毛穴見るのはやめていただきたい。
立ち上がろうとした所でコナン君に腕を掴まれまた戻される。
なんだまだ何かあるのかと思えばコナン君は降谷さんの手を持った。
「ほら、昨日椿さんもしたかったんだよね」
コナン君が私の手と降谷さんの手を合わせてくれる。
キョトンとした降谷さんに、私は一瞬のうちに顔から火が出る程真っ赤になった。
「ひ、やあぁぁぁ!!」
コナン君の言葉と降谷さんの手と顔でもう一瞬にしてその場を走り去った。
嬉しかったけど、コナン君ナイスだけど、言葉いらないよ!
ああああ、降谷さんの手大きかったな。
彼女が去って行く姿を眺めていた二人は。
「安室さん虐め過ぎじゃない?」
「それは君もだろう」
「椿さん純粋だからね」
「赤井の事は腹立たしいが、彼女がああ言ってる以上何もないんだろうな、コナン君ありがとう」
そんな会話をしていた。