【Daiki Takao】 Beside Me, Her
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
もう1週間、大毅は学校に来ていない。
入学してからこんなに長く休んだのは初めてのことだった。
(どうしたのかな、高尾くん……)
陽葵が心配そうに空っぽの席を見ていると、友達が「陽葵、知らないの?」とスマホでネットニュースの記事を見せてきた。
『LEGIT 高尾大毅、Anelaを引退に追い込んだ張本人か』
記事によれば、大毅はもともとAnelaのバックダンサーで、バックダンサー時代に出たコンサートで起きた大月凛の落下事故を引き起こしたのだという。
「毎日この話題で持ちきりだよ。ほんとに知らない?」
「うん、今初めて見た……」
「陽葵、最近高尾くんと仲良さそうだったし、何か聞いてたりとか」
「何もないよ!私たち、そんな話するような仲じゃないし……」
チャイムが鳴って授業が始まる。
けれど陽葵は、どうしても空いた席に視線をやってしまう。
──本当のことなんて、記事じゃ分からない。
それでも、あのまっすぐな眼差しや不器用な優しさを、陽葵はちゃんと見てきたのだから。
放課後。
部活に行った生徒もいなくなり、教室に残っているのは補習組と陽葵くらい。
机には、1週間分のプリントや冊子が山のように積まれている。
陽葵はそれを科目ごとに分け、日付を書いた付箋を貼り、ノートはコピー機で写してファイルにまとめた。
記事のことは陽葵には分からない。だからこそ、彼女にできるのはいつも通りのこと。
ちょうどファイルを閉じて机にしまおうとしたとき──。
ガラリ、と教室の引き戸が開いた。
「あ……」
「高尾くん」
大毅の視線は、まっすぐ陽葵の手元に注がれた。
「……悪い」
「前も言ったけど、好きでやってるから。気にしないで。補習?」
「……ああ」
返事は短く、声音も低い。
いつもより口数が少なくて、話を早く切り上げたがっているのがひしひしと伝わる。
陽葵はそれ以上問い詰めず、用意していたファイルを差し出した。
「ノートのコピーも入ってるよ。これだけあれば、来週来ても追いつけると思う」
大毅の手がファイルを受け取る。
ぎゅっと力がこもり、プラスチックがきしむ音がした。
「……っ」
かすかに喉が鳴る。
視線を伏せたまま、大毅の唇が何かを形づくりかける。
けれど結局、言葉にはならなかった。
指先が白くなるほど、ファイルの端を掴み込む。
その仕草だけで、胸の奥で押し込めた感情の強さが伝わってくるようだった。
「じゃあ、また学校で!」
陽葵は努めて明るい声を出して、荷物をまとめる。
大毅はただ黙って頷いた。
教室を出る瞬間、陽葵の胸にはひっかかりが残った。
あのとき言葉を飲み込んだ大毅の表情が、どうしても頭から離れない。
やるせなさ、悔しさ、そして……孤独。
たぶん今の状況では、言いたくても言えないことばかりなのだろう。
詳しいことも、真実も、陽葵には分からない。
でも、自分が見てきた「高尾大毅」というクラスメイトだけは信じられる。
──それだけは、揺るがなかった。
入学してからこんなに長く休んだのは初めてのことだった。
(どうしたのかな、高尾くん……)
陽葵が心配そうに空っぽの席を見ていると、友達が「陽葵、知らないの?」とスマホでネットニュースの記事を見せてきた。
『LEGIT 高尾大毅、Anelaを引退に追い込んだ張本人か』
記事によれば、大毅はもともとAnelaのバックダンサーで、バックダンサー時代に出たコンサートで起きた大月凛の落下事故を引き起こしたのだという。
「毎日この話題で持ちきりだよ。ほんとに知らない?」
「うん、今初めて見た……」
「陽葵、最近高尾くんと仲良さそうだったし、何か聞いてたりとか」
「何もないよ!私たち、そんな話するような仲じゃないし……」
チャイムが鳴って授業が始まる。
けれど陽葵は、どうしても空いた席に視線をやってしまう。
──本当のことなんて、記事じゃ分からない。
それでも、あのまっすぐな眼差しや不器用な優しさを、陽葵はちゃんと見てきたのだから。
放課後。
部活に行った生徒もいなくなり、教室に残っているのは補習組と陽葵くらい。
机には、1週間分のプリントや冊子が山のように積まれている。
陽葵はそれを科目ごとに分け、日付を書いた付箋を貼り、ノートはコピー機で写してファイルにまとめた。
記事のことは陽葵には分からない。だからこそ、彼女にできるのはいつも通りのこと。
ちょうどファイルを閉じて机にしまおうとしたとき──。
ガラリ、と教室の引き戸が開いた。
「あ……」
「高尾くん」
大毅の視線は、まっすぐ陽葵の手元に注がれた。
「……悪い」
「前も言ったけど、好きでやってるから。気にしないで。補習?」
「……ああ」
返事は短く、声音も低い。
いつもより口数が少なくて、話を早く切り上げたがっているのがひしひしと伝わる。
陽葵はそれ以上問い詰めず、用意していたファイルを差し出した。
「ノートのコピーも入ってるよ。これだけあれば、来週来ても追いつけると思う」
大毅の手がファイルを受け取る。
ぎゅっと力がこもり、プラスチックがきしむ音がした。
「……っ」
かすかに喉が鳴る。
視線を伏せたまま、大毅の唇が何かを形づくりかける。
けれど結局、言葉にはならなかった。
指先が白くなるほど、ファイルの端を掴み込む。
その仕草だけで、胸の奥で押し込めた感情の強さが伝わってくるようだった。
「じゃあ、また学校で!」
陽葵は努めて明るい声を出して、荷物をまとめる。
大毅はただ黙って頷いた。
教室を出る瞬間、陽葵の胸にはひっかかりが残った。
あのとき言葉を飲み込んだ大毅の表情が、どうしても頭から離れない。
やるせなさ、悔しさ、そして……孤独。
たぶん今の状況では、言いたくても言えないことばかりなのだろう。
詳しいことも、真実も、陽葵には分からない。
でも、自分が見てきた「高尾大毅」というクラスメイトだけは信じられる。
──それだけは、揺るがなかった。