【Daiki Takao】 Beside Me, Her
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
窓際の席から、ふと視線を動かす。
――また、陽葵の姿を追っていた。
(……この前もそうだった)
黒板を写すときの真剣な横顔。
友達にノートを貸して笑う顔。
誰に対しても分け隔てなく接している、その姿。
「水瀬ちゃん、これ頼める?」
前の席の女子が声をかけると、陽葵は迷いなく「うん、いいよ」と笑顔で答える。
(……ほんと断れねえんだな、あいつ)
些細なことのはずなのに、どうしても気になってしまう。
(別に……俺には関係ねえのに)
そう思いながらも、視線を外せずにいる自分に気づいて、大毅は小さく舌打ちした。
「……何やってんだ、俺」
肘をつき、無理やり窓の外に視線を逸らす。
それでも、不意に笑う声が耳に届けば、また彼女を目で追ってしまうのだ。
――ある日の放課後。
補習を終えて廊下に出た大毅は、ちょうど前から歩いてくる陽葵と鉢合わせた。
その両手には、分厚いプリントの束。
「……それ、先生に押しつけられたのか?」
思わず声が出る。陽葵は驚いたように目を丸くし、すぐににこりと笑った。
「うん。帰りに配達員さんみたいにみんなのポストに入れていくんだ」
「……相変わらずだな」
大毅は苦笑をもらす。
誰だって面倒でやりたがらないようなことばかり、結局彼女が引き受けてしまう。
損な役回りだと思うのに、彼女はそれを少しも嫌そうにしない。
「でも、みんなが助かるし。大丈夫、慣れてるから」
陽葵がそう言って肩に力を入れるのを見て、大毅の胸にモヤモヤが広がる。
(……なんなんだよ、この気持ち)
言わなくてもいいはずなのに、気づけば口が勝手に動いていた。
「……自分のこと、後回しにすんなよ」
陽葵は一瞬、きょとんと目を瞬かせた。
そして、ふわりと柔らかく笑った。
「……ありがとう。高尾くん」
ただ名前を呼ばれただけなのに、胸の奥が不意に熱くなる。
その熱を誤魔化すように、大毅はプリントの束をひったくった。
「……職員室に持ってくんだろ」
「えっ? ああ、うん」
「一緒に行く」
「一緒にって……持ってるの高尾くんじゃん」
「水瀬は帰っていいけど」
「私が頼まれたんだから、私が行かなきゃ」
「じゃあ一緒に行けばいい」
ぶっきらぼうに言い切って、ずんずんと歩き出す。
慌てて追いかけてくる陽葵に気づかれないように、耳の赤みを隠しながら。
(……ほんと、なんなんだよ俺)
彼女が教室で誰にでも見せる優しさと同じはずなのに――どうしてこんなに心を揺さぶられるのか。
大毅の鼓動は、普段よりもずっと速く鳴っていた。
――また、陽葵の姿を追っていた。
(……この前もそうだった)
黒板を写すときの真剣な横顔。
友達にノートを貸して笑う顔。
誰に対しても分け隔てなく接している、その姿。
「水瀬ちゃん、これ頼める?」
前の席の女子が声をかけると、陽葵は迷いなく「うん、いいよ」と笑顔で答える。
(……ほんと断れねえんだな、あいつ)
些細なことのはずなのに、どうしても気になってしまう。
(別に……俺には関係ねえのに)
そう思いながらも、視線を外せずにいる自分に気づいて、大毅は小さく舌打ちした。
「……何やってんだ、俺」
肘をつき、無理やり窓の外に視線を逸らす。
それでも、不意に笑う声が耳に届けば、また彼女を目で追ってしまうのだ。
――ある日の放課後。
補習を終えて廊下に出た大毅は、ちょうど前から歩いてくる陽葵と鉢合わせた。
その両手には、分厚いプリントの束。
「……それ、先生に押しつけられたのか?」
思わず声が出る。陽葵は驚いたように目を丸くし、すぐににこりと笑った。
「うん。帰りに配達員さんみたいにみんなのポストに入れていくんだ」
「……相変わらずだな」
大毅は苦笑をもらす。
誰だって面倒でやりたがらないようなことばかり、結局彼女が引き受けてしまう。
損な役回りだと思うのに、彼女はそれを少しも嫌そうにしない。
「でも、みんなが助かるし。大丈夫、慣れてるから」
陽葵がそう言って肩に力を入れるのを見て、大毅の胸にモヤモヤが広がる。
(……なんなんだよ、この気持ち)
言わなくてもいいはずなのに、気づけば口が勝手に動いていた。
「……自分のこと、後回しにすんなよ」
陽葵は一瞬、きょとんと目を瞬かせた。
そして、ふわりと柔らかく笑った。
「……ありがとう。高尾くん」
ただ名前を呼ばれただけなのに、胸の奥が不意に熱くなる。
その熱を誤魔化すように、大毅はプリントの束をひったくった。
「……職員室に持ってくんだろ」
「えっ? ああ、うん」
「一緒に行く」
「一緒にって……持ってるの高尾くんじゃん」
「水瀬は帰っていいけど」
「私が頼まれたんだから、私が行かなきゃ」
「じゃあ一緒に行けばいい」
ぶっきらぼうに言い切って、ずんずんと歩き出す。
慌てて追いかけてくる陽葵に気づかれないように、耳の赤みを隠しながら。
(……ほんと、なんなんだよ俺)
彼女が教室で誰にでも見せる優しさと同じはずなのに――どうしてこんなに心を揺さぶられるのか。
大毅の鼓動は、普段よりもずっと速く鳴っていた。