【Gakuto Haruka】 In Every Note, You
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『すーちゃん出た!もしもし!』
夜も更けた頃、不意に鳴ったスマホを耳に当てると、深夜とは思えないほど元気な声が飛び込んできた。
「がっくん……?どうしたの、もう夜だよ」
『知ってる!』
「なにかあった?」
『ううん、なんにもない!東京は月がきれいだからさ、すーちゃんの声が聞きたいなって思った』
あっけらかんと言う声に、すみれはふっと笑う。
「そっか。こっちは曇ってて見えないや」
楽翔はこうやって、理由もなく電話をかけてくる。
「月がきれいだ」とか、「お腹すいた」とか。――ただ「声が聞きたい」から。
「愛媛からは見えないから、東京の月がどんなふうか教えてよ」
『いいよ。あっ、ギター持ってくる!』
受話器の向こうで、慌ただしい物音。すぐにアコースティックギターの柔らかな音色が流れ出し、それをバックに楽翔は「今夜の月」を語りはじめる。
すみれは窓の外の曇り空を見上げ、灰色の夜に想像の月を描いてみる。
――彼の言葉があれば、見えない月も鮮やかになる。
楽翔は、ずっと才能にあふれていた。
でもすみれにとっては「才能」なんてどうでもよくて、ただ彼の紡ぐ歌や音が、世界でいちばん好きだった。
そして楽翔もそれを知っているから、自分の作った曲を一番最初に聴かせるのはいつも家族でもなく、すみれだった。
彼女の笑顔が、何よりのエネルギーになると言って。
やがてネットでもファンが増え、楽翔は中学の間に東京へ出ることになった。
大人たちの反対を押し切り、夢を選んだ彼の背を――「応援してるから!」と満開の笑みで送り出したすみれを、楽翔はいまでもはっきり覚えている。
……その前夜、すみれが一晩泣き明かしたことを、彼だけが知らないまま。
『今日のお弁当!ほまれがみんなのぶん作ってくれた!』
昼休み、すみれがスマホを見ると、JAXX/JAXXの楽屋写真が届いていた。
5人が揃って弁当を食べている中、楽翔の弁当箱だけ明らかに倍のサイズ。すみれは思わず吹き出す。
『おいしそう!さすがほまれさんだね』
『いつかすーちゃんも食べてほしい!ほまれのから揚げ!』
すみれは、自分のお弁当の写真を撮って送り返す。
楽翔からは『すーちゃんママのカレーめっちゃ恋しくなってきた……』なんてメッセージが返ってきて。
こうして画面越しに笑い合う。遠いのに、すぐそばにいるみたいに。
――ふたりはずっと、遠くて近い幼なじみのまま。
夜も更けた頃、不意に鳴ったスマホを耳に当てると、深夜とは思えないほど元気な声が飛び込んできた。
「がっくん……?どうしたの、もう夜だよ」
『知ってる!』
「なにかあった?」
『ううん、なんにもない!東京は月がきれいだからさ、すーちゃんの声が聞きたいなって思った』
あっけらかんと言う声に、すみれはふっと笑う。
「そっか。こっちは曇ってて見えないや」
楽翔はこうやって、理由もなく電話をかけてくる。
「月がきれいだ」とか、「お腹すいた」とか。――ただ「声が聞きたい」から。
「愛媛からは見えないから、東京の月がどんなふうか教えてよ」
『いいよ。あっ、ギター持ってくる!』
受話器の向こうで、慌ただしい物音。すぐにアコースティックギターの柔らかな音色が流れ出し、それをバックに楽翔は「今夜の月」を語りはじめる。
すみれは窓の外の曇り空を見上げ、灰色の夜に想像の月を描いてみる。
――彼の言葉があれば、見えない月も鮮やかになる。
楽翔は、ずっと才能にあふれていた。
でもすみれにとっては「才能」なんてどうでもよくて、ただ彼の紡ぐ歌や音が、世界でいちばん好きだった。
そして楽翔もそれを知っているから、自分の作った曲を一番最初に聴かせるのはいつも家族でもなく、すみれだった。
彼女の笑顔が、何よりのエネルギーになると言って。
やがてネットでもファンが増え、楽翔は中学の間に東京へ出ることになった。
大人たちの反対を押し切り、夢を選んだ彼の背を――「応援してるから!」と満開の笑みで送り出したすみれを、楽翔はいまでもはっきり覚えている。
……その前夜、すみれが一晩泣き明かしたことを、彼だけが知らないまま。
『今日のお弁当!ほまれがみんなのぶん作ってくれた!』
昼休み、すみれがスマホを見ると、JAXX/JAXXの楽屋写真が届いていた。
5人が揃って弁当を食べている中、楽翔の弁当箱だけ明らかに倍のサイズ。すみれは思わず吹き出す。
『おいしそう!さすがほまれさんだね』
『いつかすーちゃんも食べてほしい!ほまれのから揚げ!』
すみれは、自分のお弁当の写真を撮って送り返す。
楽翔からは『すーちゃんママのカレーめっちゃ恋しくなってきた……』なんてメッセージが返ってきて。
こうして画面越しに笑い合う。遠いのに、すぐそばにいるみたいに。
――ふたりはずっと、遠くて近い幼なじみのまま。