【Daiki Takao】 Beside Me, Her
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教室の昼休み。
いつものように、陽葵がノートを机の上に広げる。
その向かいで、大毅は無言でそれを受け取った。
「……ありがと」
「うん、どういたしまして」
やり取り自体はいつも通りのはずなのに、どこかぎこちない空気が漂う。
大毅はノートをめくりながら、横目でちらりと陽葵を観察する。
陽葵は弁当箱の蓋を開けることに集中していて、顔を上げようとしない。
(……やっぱ、困らせちまったか)
あの日、思わず告白してしまった。
言ったこと自体は後悔していない。
でも、そのせいで陽葵に余計な重荷を背負わせてしまったのではないか――そんな考えが、頭の中をよぎる。
一方、陽葵もまた、胸の奥に落ち着かない感覚を抱えていた。
大毅にノートを返すとき、指先がかすかに触れただけで妙に意識してしまう自分に、(なんで……?)と首をかしげる。
「……あ、ノートの、この部分……ちょっと計算ミスしてるの、こっちが正解」
「……おう」
短い会話。
けれど二人の間には、普段よりもずっと濃い沈黙が流れていた。
どちらも、それをどう扱っていいか分からずにいる。
昼休みのざわめきの中、二人だけが別の時間に取り残されているようだった。
夜の事務所。
練習を終えて帰ろうとした大毅は、廊下の先にまだ灯りのついている部屋を見つけた。
事務仕事を片づけている椿だ。
「……まだいたのかよ」
何気なく声をかけると、椿は顔を上げて小さく笑った。
「ちょっと書類が多くてね。大毅は、もう帰るの?」
「ああ。……まあ、寄っただけ」
そのまま立ち去ればよかったのに、なぜか足が止まらない。
椅子の背に片手をかけ、言葉を探している自分に気づく。
「……なあ、椿」
「ん?」
「……別に、なんでもねえ」
「……そう?」
口ごもる大毅に、椿は静かに待つようなまなざしを向ける。
その視線に、心の中で引っかかっていた言葉が、勝手に口から零れた。
「……困らせるつもりじゃなかったんだよ」
「困らせる?」
「……あー……いや……」
慌てて誤魔化そうとしたが、もう遅かった。
椿は少し首を傾げ、促すように視線を向ける。
大毅は目を逸らしたまま、深く息を吐いた。
「……もしさ。なんとも思ってないやつから、いきなり告白されたら……普通、困るよな」
椿はしばし沈黙したあと、柔らかく微笑んだ。
「驚きはするかもね。でも、それをどう受け取るかはその子次第だから。今まで大毅がその子にどう接して、どんな言葉をかけてあげてきたか」
大毅は一瞬だけ目を伏せ、椅子の背をぎゅっと掴む。
「……そうかよ」
ぶっきらぼうに呟いたその声には、どこか肩の力が抜けた安心感が混じっていた。
椿にだけは、自分の弱さを見せてしまう。
「あ、瑛士郎と楓雅には絶対言うなよ!マジで!」
釘を刺す大毅に、椿は小さく笑って頷いた。
「大毅ならきっと大丈夫」
その返事に、大毅は小さく鼻を鳴らして踵を返す。
背中に残るのは、ほんの少しだけ軽くなった心の重みだった。
いつものように、陽葵がノートを机の上に広げる。
その向かいで、大毅は無言でそれを受け取った。
「……ありがと」
「うん、どういたしまして」
やり取り自体はいつも通りのはずなのに、どこかぎこちない空気が漂う。
大毅はノートをめくりながら、横目でちらりと陽葵を観察する。
陽葵は弁当箱の蓋を開けることに集中していて、顔を上げようとしない。
(……やっぱ、困らせちまったか)
あの日、思わず告白してしまった。
言ったこと自体は後悔していない。
でも、そのせいで陽葵に余計な重荷を背負わせてしまったのではないか――そんな考えが、頭の中をよぎる。
一方、陽葵もまた、胸の奥に落ち着かない感覚を抱えていた。
大毅にノートを返すとき、指先がかすかに触れただけで妙に意識してしまう自分に、(なんで……?)と首をかしげる。
「……あ、ノートの、この部分……ちょっと計算ミスしてるの、こっちが正解」
「……おう」
短い会話。
けれど二人の間には、普段よりもずっと濃い沈黙が流れていた。
どちらも、それをどう扱っていいか分からずにいる。
昼休みのざわめきの中、二人だけが別の時間に取り残されているようだった。
夜の事務所。
練習を終えて帰ろうとした大毅は、廊下の先にまだ灯りのついている部屋を見つけた。
事務仕事を片づけている椿だ。
「……まだいたのかよ」
何気なく声をかけると、椿は顔を上げて小さく笑った。
「ちょっと書類が多くてね。大毅は、もう帰るの?」
「ああ。……まあ、寄っただけ」
そのまま立ち去ればよかったのに、なぜか足が止まらない。
椅子の背に片手をかけ、言葉を探している自分に気づく。
「……なあ、椿」
「ん?」
「……別に、なんでもねえ」
「……そう?」
口ごもる大毅に、椿は静かに待つようなまなざしを向ける。
その視線に、心の中で引っかかっていた言葉が、勝手に口から零れた。
「……困らせるつもりじゃなかったんだよ」
「困らせる?」
「……あー……いや……」
慌てて誤魔化そうとしたが、もう遅かった。
椿は少し首を傾げ、促すように視線を向ける。
大毅は目を逸らしたまま、深く息を吐いた。
「……もしさ。なんとも思ってないやつから、いきなり告白されたら……普通、困るよな」
椿はしばし沈黙したあと、柔らかく微笑んだ。
「驚きはするかもね。でも、それをどう受け取るかはその子次第だから。今まで大毅がその子にどう接して、どんな言葉をかけてあげてきたか」
大毅は一瞬だけ目を伏せ、椅子の背をぎゅっと掴む。
「……そうかよ」
ぶっきらぼうに呟いたその声には、どこか肩の力が抜けた安心感が混じっていた。
椿にだけは、自分の弱さを見せてしまう。
「あ、瑛士郎と楓雅には絶対言うなよ!マジで!」
釘を刺す大毅に、椿は小さく笑って頷いた。
「大毅ならきっと大丈夫」
その返事に、大毅は小さく鼻を鳴らして踵を返す。
背中に残るのは、ほんの少しだけ軽くなった心の重みだった。