盛り上がる二人を私は見ていた。
楽しそうだな。

私には彼氏がいる。
やんちゃで自由気まま。
でも必ず私の所に戻ってくるし私はそれでも良いと思ってた。
でも心の中にほんのわずかだけあった寂しいという気持ちはやがて大きな塊になっており二週間前ついに爆発。
そして大喧嘩した。

｢私の事なんて好きじゃないんでしょ！
もう知らない。｣

そう言って走って彼の前から逃げた。

あれから一度も彼からの連絡はない。
だけど、意地っぱりな私は寂しいと感じながらも自分から連絡できないでいた。

そんな私に急にバンダナ君が話しかけた。

｢なぁ、あんた。｣

｢なに？｣

｢何を不安に感じてるのか知らねーが、あんたはあの人の特別な人だと思うぜ。｣

｢え？あの人って？｣

戸惑う私にバンダナ君は続ける。

｢あの人は熱い人だ。
仲間の為ならどこにでも突っ込んでいく。
だけど素直じゃねー。
言葉で表現するのは苦手なタイプだ。
俺は昔からあの人を良く知ってる。
だがあんたの隣にいるあの人の笑顔は今まで俺達が見た事もないような顔だった。
安心しきって、まるで子犬みてー。
あの人にとってあんたは唯一素になれる。
気を張らなくて良い場所なんだろー。｣


｢おい、クロサー。キサンなにはなちゃんと話しとーと。｣

｢クロサーくん？あなたもしかして｣

そう言ったと同時に部屋のドアが開いた。

｢よぉ、楽しそうだな。｣

クールな表情で九里虎を睨んでいるくせによく見ると肩で息をしている。

想像通りだった事に笑いがこぼれた。