マスクを外した俺の世界は明るかった。
今までこの景色を見ていなかったなんて、俺はなんて損をしていたんだ。

今日も俺の家に集まってる。
珍しく四人でだ。あのマコがいる。

｢なぁ、マコ、マスクを取った俺は怖くないだろ？チャーミングだろ？松女の女の子紹介しろよ！｣

｢なぁ、はな。紹介できない理由がないだろ。こんなチャーミングな俺を幸せにしたいとは思わないか？｣

いつもと同じように無視する二人。

違ったのは金髪になったヒロミだ。

なぜか今日ははなの隣に座っていてはなの読んでる雑誌を一緒に見ている。

なんだ、あいつら、距離が近いな。
肩なんてくっついてんじゃねーか？

｢なぁ、ヒロ…｣

｢はな、商店街に美味いケーキ屋できたらしいぞ！｣

俺の声にかぶせてヒロミは言う。

｢え？？ほんと？食べたい！行きたい！｣

ケーキが大好きなはなは目を輝かせながらヒロミを見つめている。

なんだよ、あのキラキラ顔。
俺と話す時はあんな顔しないくせに、ヒロミにはしやがって。

モヤモヤした感情を抱きながら俺は口を開いた。

｢じゃぁ、みんなで買いに…｣

｢はな、二人で買いに行こうぜ｣

また俺の声にかぶせてくるヒロミ。
なんなんだ、あいつ。

お構い無しにやったぁと喜んでいるはな。

そんなはなの肩を抱いてヒロミは、行ってくると俺らに言った。

はなはヒロミに肩を抱かれながらマコの注文を聞いている。
そして俺に向かった。

｢トシは？？チーズケーキ？｣

俺はポカンとしながらも必死にはなの問いかけに頷いた。

そういや、俺がチーズケーキ好きなの、あいつよく知ってたな。

そんな事を思いながら二人を見送る。

静寂の中、マコが呟いた。

｢あいつの幸せも近いのかもな。｣

あいつ？あいつって誰だ？
ヒロミか？はなか？それとも二人か？？

｢ヒロミははなの事好きだったのか？｣

｢さぁな。｣

｢はなはヒロミの事好きだったのか？｣

｢さぁな。｣

再び沈黙が訪れる。


｢だが、大切なものは一番近くにある。それは失った時に初めて気付く。と誰かが言ってたな。｣


マコがボソッと言った言葉が重く胸にのしかかった。

なんだ、この感情はなんだ？

そんな事をぐるぐる考えていた俺は後ろでマコがニヤけながら誰かにメールをしていた事には気付かない。

｢あーぁ、今頃お互い気持ちに気付いてる頃かもな。｣

マコの一言で俺は家を飛び出した。



昔よく四人で遊んでいた公園に差し掛かった時、衝撃的な光景が目に飛び込んできた。

二人の陰が重なっている。
ヒロミとはながキスしてる。


俺は飛び出しヒロミの肩を押した。

｢なにやってんだよ、ヒロミ。｣