今日のブライアンは静かだ。

いつも来ているはなはいないし、武装の面々もいない。好誠と俺の二人だ。

｢なぁ好誠、お前中学の時はなの事助けたんだってな。｣

｢あぁ、そうだな。まだあの頃はあんなに気も強くなくて、そういえばあいつ泣いてたな。｣

泣いていた？
あいつ初めから強かった訳じゃないのか。
自分を守る為に強くなったのか。
というより強がっているだけなのか。

考えて黙り込む俺に、好誠は笑いながら言う。

｢はなに惚れたのか｣

その時の俺の顔は滑稽だったと思う。
自分でさえ気付かない、というより気付こうとしなかった俺の気持ちを、この男はいとも簡単に言ってのけたのだから。

さらに黙り込む俺に好誠は続ける。

｢はなを自分のものにするには一筋縄じゃいかねーぞ。相当の覚悟がいる。なんてったって番犬が二匹もついてんだ。しかも一匹は狂犬。はなもあの容姿だ。中学の頃から相当な噂になっていた。だがあいつは男を作らなかった。いや、作れなかった。秀吉は態度はあんなだが相当はなを気にしてる。いや、依存だな。近づいた中途半端な男はみんな狂犬にかみつかれて、ビビって逃げてったってよ。相当な檻の中に飼われてんだな、はな は。｣

俺は笑いが止まらなかった。そして自分の気持ちを自覚してしまえば、覚悟を決めるのは早かった。

｢じゃぁ、俺がその檻から出してやらなくちゃな。｣