｢こんにちはー。｣

数日後、はなはまたブライアンに現れた。

鉄生が貸したパーカーと菓子折りを持って。

｢別に礼なんていらねぇって言ったろ。実際ケガさせちまったんだし。｣

そういう俺の横ですでに菓子折りを開けている鉄生の頭をたたいた。

｢本当に感謝してるので。何度もあんな目にあったけど今回は相手も強くて…本当にヤラれるって覚悟したんです。初めてが秀吉のせいで奪われるなんて冗談じゃないっ！！｣

また怒りが沸いてきたらしいはなは拳を震わせている。

初めてか…
俺はこの時すでにはなに心を奪われていたのだろう。まだ気付かないけれど。

すっかり仲良くなった武装の面々と楽しそうに談笑するはな。

お礼は済んだというのに、それからしばしばはなはブライアンに通った。
その度に帰りは俺の単車で家の近くの公園まで送っていく。

なぜ、家の近くなのかって？
はなの家=秀吉の家だ。それに幼馴染のマサの家はすぐ近所だ。武装の副頭の俺が家の前まで送り届けたら、それこそマサが騒ぐからと。はなの最もな意見だ。

公園で少しの時間だけ二人で話をする。
武装の話、はなの学校の話、よく家に遊びにくるという鈴蘭5人衆の話、中学の頃の話。呼び方も｢はな｣と｢柳くん｣に変わっていた。その中で俺は気になっていた事を聞いた。

｢お前、好誠と知り合いだったのか？｣

｢武田くん？知り合いというか、武田くんにも助けてもらった事があるんだ。中学生の時｣

そん時も秀吉がね！！
なんて言いながら俺に説明している。

秀吉は中学の時から狂犬だったのか。
そしてはなはその時から何度も危険な目に合っていたのか。
俺の中にはなんとも言えない感情が沸き上がっていた。