俺は将太と鉄生を連れてブライアンに向かっていた。

細い路地に差し掛かった時下品な男の声が聞こえてきた。

｢柳のアニキ、あれ。男が女囲んでますよ。｣

二人も気づいたようだ。妹のいる鉄生は卑劣な男を許せない奴だ。拳を震わせている。

行こうとした瞬間、女のブラウスが引きちぎられた。

｢おい、てめぇら！！｣鉄生がそう言って走りだそうとした瞬間、俺達3人は目を見開いて固まった。

女の繰り出した蹴りにより目の前の男がふっ飛んだからだ。

なんてぶっ飛んだ女だ。
それがはなに抱いた俺の第一印象だった。

相手の男達も1人やられて焦ったのだろう。残った3人で女に向かっていった。
女も応戦していたが、さすがに男女の体力の差は激しく、徐々につかまり始めた。

｢おい、てめぇら、なにやってる。｣

あっけに取られていた俺だったが我に返りそう声をかけた。

｢あぁ、なんだてめぇ。関係ねぇやつはすっこんでろ。｣

｢女一人によってたかって、みっともねぇ奴らだな。｣

俺が3人を倒すのは一瞬だった。

女は顔に少し痣ができてはいるが大きなケガはないようだ。

｢大丈夫か？｣

｢はい。すみません。ありがとうございました。｣

少し会話していると、

｢アニキ！！｣

遠くで見ていた将太の声が聞こえた。

女に蹴られた男が突然向かってきて女の鳩尾に一発拳を入れやがった。

グラっと体が倒れる。

｢おい！！｣

女の体が倒れて地面につくより先に俺は女の体を抱き止めた。

ちっ！油断したぜ。

睨み付ける俺の目の前にあったのはすでに鉄生にボコボコにされた男の塊だった。

｢アニキ、大丈夫ですか？｣

｢あぁ。｣
女を抱えたまま答える。

｢どうしましょうか？｣

はだけた女の胸元にそっと自分のライダースをかぶせながら将太は俺に聞いた。

｢やられちまったのは俺の責任だし、これじゃ話を聞く事もできねぇ。とりあえずブライアンに連れてくぞ。｣

｢うっす。俺妹の服借りてくるっす。｣

そう言って鉄生は逆方向へ走っていった。