1ページ目が捲られる
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
街へ来たのはいいものの、どこに服屋があるのか検討もつかない。
ひとまず一番目立っていた建物に向かった。
そこは、様々な店が入っている商業施設なようで、壁にはそれぞれの店の看板が掲げられている。
エレベーターに乗って服売り場のある3階へ。
「気に入ったもん全部カゴに入れていいぞ」
本当は、もっと女性が喜びそうなブランドの店に連れて行ってやりたいのだが、如何せんその方面には疎い。
こうなりゃベックマンにでも付いてきてもらえばよかったと、心の中で後悔した。
あの色男は女の扱いもさぞ上手いのだろうに。
そんな心の後悔を嘲笑うかのように、ユキが手に取ったのは男物の服ばかり。
「ちょっ、それでいいのか?」
思わず声をかけると、
「だって気に入ったのカゴに入れろって言うから……」
何を言いたいかよく分かってる! とでもいいたげな目で返された。
よくよく見れば、ユキが今着ているのはだぼっとしたパーカーにジーンズ。おそらくこれも男物。
血の気が多く、男勝りな性格ゆえなのか。
「あと何か欲しいものはないか?」
遠慮するなよ、と言ってみたものの、案の定、ユキは首を横に振った。
服が大量に入った袋を受け取り、一度船に戻ろうとすると、ユキがずいっと手を差し出した。
何のためかよく分からなくて握り返してやると、顔を真っ赤にして振り払われた。
「違う! そうじゃない! 荷物は自分で持つから!」
「なんだ。そういうことか。大丈夫だよ、軽いし」
「だけどシャンクスは船長じゃん。荷物持ちなんかしなくても……」
尻すぼみな声になるユキ。
そんなことを気にしていたのか。
「船長なんてただの肩書きさ。おれたちは仲間で友だち。そこに上下関係なんかないよ」
「人間はタテ社会に生きてるんじゃないの?」
シャンクスは吹き出した。
「そんなのどこで聞いたんだよ」
「父さんが言ってた。人間はルールに厳しいから、ちゃんと守らなきゃダメだって」
どんな教育方針ですかお父さん。
思わずそう突っ込みたくなった。
「まあ、そういうところもあるだろうな。だけど、少なくともウチはそんな縛りまっぴらゴメンだ」
それに、とシャンクスは続けた。
「女の荷物を持つのは男の役目だろう」
よほど女の子扱いに慣れていないのか、それだけでユキは顔を赤くして、それを見られないよう下を向いた。
そんなユキが可愛いと思ったのはここだけの話だ。
行くぞ、と先に歩き出すと、ユキも大人しく後に続いた。