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赤髪海賊団の愛すべき船、竜の船首を持つレッド・フォース号は急な嵐に見舞われて航路から大きく外れていた。
物資調達せねばと思っていたところ、遠くに島の影が見えた。
「あそこのログはどれくらいで貯まる?」
「おそらく、半日ってところだな」
船長のシャンクスの問いに航海士が答えた。
「それじゃあログが変わらないうちにさっさと買い物済ませるぞ」
シャンクスは舵を切った。
島の形がはっきり見えてくると、マストに腰掛け愛銃を磨いていた副船長、ベン・ベックマンが声を張り上げた。
「待て、お頭。あの島海軍がいるぞ」
その声にシャンクスも目的の島を見やった。
「こりゃまた数が多いな。こんな小さな島に何の用があるんだか」
様子を探るためにも、ひとまず人目につかない崖の下に船を回した。
海はさほど荒れていないので岩にぶつかることもないだろう。
と、その時、頭上がやけに騒がしくなった。
ピストルの音や誰かの怒鳴り声も聞こえる。
何だ何だと空を仰ぐと、眩しい太陽の中心に一人の人間が躍り出た。
つまり、崖から飛び降りて来たのだ。
崖から下をのぞき込んできたのは海兵だ。
海賊、か……?
その人間は、昼寝をしていたラッキー・ルウの肉厚な腹の上でバウンドして、甲板に着地した。
ルウはカエルの潰れたような呻き声をあげたが、再びいびきをかき始めた。
「お前は、誰だ」
剣の柄に手をかけてギロりと睨む。
見据えた先には、ななめに分けた前髪で右目が隠された少女が殺気を放ちながら立っていた。
ふと、目についたのは少女の左頬だ。
爬虫類のウロコのような肌になっている。
その視線に気づいたのか、少女は確実にシャンクスを消しにかかった。
「ウガァァァァ!!!」
雄叫びと共に空を切り裂いた腕は人間のものではなく、身体に見合わない、巨大な鉤爪がついた恐竜の前足だ。
もっとも、恐竜など本の中でしか見たことがないので定かではないが。
その鉤爪がマストや甲板を削っていく。
「うわ、何だこいつ!」
「頭、どうする」
「反撃してもいいか?」
少女の鬼気迫る攻撃をかわしながらクルーたちが大頭の命令を請う。
その大頭はというと、少女の異形の腕に目を奪われていた。
こいつ、能力者か……?
シャンクスに切りかかろうとしたその時、急に少女が攻撃を止めた。
「お前、腕……無い」
シャンクスは“新しい時代”に懸けて来た左腕をちらりと見た。
それがどうしたというのだ。
「それはフェアじゃない」
少なからず、シャンクスはムッとした。
自分より若い、それも女に情をかけられるなど。
いくら大らかな彼といえども、海の男の矜持がある。
「お気遣いどうも。だが、おれもナメられたもんだな」
ビリビリと空気が震えた。
シャンクスの覇気だ。
「何、コレ……」
少女の身体が傾いて膝をついた。
だがまだ意識はあるようだ。
言うだけのことはある。
「お頭、海軍がこっちに向かってきてる」
崖からのぞき込んだとき、この海賊船も目に入ったに違いない。
自分たちを捕まえるためか、はたまたこの少女のためか。
どちらにせよここから逃げなくては。
物資が調達できてない今、海軍と戦うことは到底できない。
シャンクスはちらりと少女を見た。
しばらくは動けないだろうから海に放り投げるわけにもいかない。
「船を出せ! いったんやつらを巻くぞ!」
その後で少女は島に帰してやればいい。
シャンクスの覇気に当てられた少女は、最初のほうこそ意識を保っていたものの、ついにぐったりと甲板の上に倒れ込んだ。