44話 この枷を君だけに
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「気持ち悪い事言わないで…
…じ、じゃあ私は部屋にもどるから」
名無しはこれ以上ヘイゼルと関わらない方が良いと思い宿に戻ろうとした。
しかし次の瞬間…。
”ガシっ”
「っ!」
ヘイ「ほんまつれへんわぁ」
ヘイゼルは名無しの腕を掴むとその動きを阻止し、そのまま自分の方へと引き寄せた。
「ちょっと!離して!」
ヘイ「うちはこんなに名無しはんのこと想うてんのに…
何で名無しはんは分かってくれへんの…?
うちの事なんか全然見てくれへんし…笑ってもくれへん……
そんなん凄く淋しいだけやん」
「っ…さっきから…何を…言って…る…の……」
ヘイ「名無しはん…どうしたらうちだけのモンになってくれるん?
…どうしたらうちだけに笑ってくれるん?
…どうしたらうちだけを見てくれるん?」
…ヤダっ……怖い…!
「い…いやっ!」
名無しはヘイゼルの腕を勢いよく振りほどくと、その恐怖からその場を走り去った。
ヘイ「名無しはん…そないに照れんでも大丈夫…。
クククっ…直ぐにうちが捕まえたる」
名無しが走り去っていった方を見つめ、ヘイゼルは不適な笑みをうかべると、彼女の後を追うようにその場を離れた。
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やだ…どうしよう!
皆のところに戻らなきゃいけないのに…
ヘイゼルがいるから宿にも戻れないよ…!
「ハァッ…ハァッ……宿の場所を特定されるのも困るし、少ししたらアイツも諦めて帰ってくれるかな?」
ヘイゼルから逃げた名無しは宿から離れたところまで走ってくると、辺りに人の姿は無く、中心街と違って周りの建物は空き家がけっこう目立っていた。
「はぁ〜…最悪
こんな事になるなら部屋で大人しくしておけば良かった」
ヘイゼルが追ってきてない事を確認した名無しは小さく溜め息を吐くと、近くにあった原っぱに腰を降ろした。
風の音と同時に鈴虫が鳴く声も聞こえ、先ほどまで抱いていた恐怖心が少しだけ和らぐような感じに包み込まれた。
"ガシィっ!"
ヘイ「鬼ごっこはもうおしまいや」
「Σっ!!?……ぁ……」
細い裏路地から急に手が伸びてき、驚きの表情を浮かべた名無しは一瞬で引きずり込まれると、口と鼻に布を押し当てられ、彼女の意識は遠退いていった。
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