57話 それはまるでかぐや姫のように
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次の目的地に向かって山を越えていこうとしていた三蔵一行だったが、自分たちの目の前にそびえ立つ山はあまりにも大きく、その日の内に山を越える事はできなかったので彼等は野宿をする事となった。
今日もいつものように妖怪の襲撃があり、紅一点である名無しもいつも以上に疲れていたので、野宿でも寝れるかと思ったが、何故かこの日はどんなに疲れていても一向に睡魔が来る事がなかった。
……どうしよう
寝れない
名無しは持っていた時計を見てみると時刻は深夜12時を回っており、ジープの助手席には三蔵、近くの木の根付近には悟浄と悟空と八戒がそれぞれ眠りについていた。
少しだけ散歩でもしようかな
このままじゃ寝る事もできないと思った名無しは、寝ている彼等を起こさないよう静かにジープから離れた。
いつも八戒からは散歩にいく時は遠くに行き過ぎないようにと、耳にタコができるぐらい言われていたので、名無しは近くを流れる小川の所まで歩く事にした。
「今夜は月が綺麗…」
月明かりが彼女の歩く道を照らし出し、時折”ホー、ホー”とフクロウの鳴き声が静かに響き渡っていた。
一歩、また一歩と脚を進めていくごとに彼女の体は月に引き寄せられているかの様で、その美しい満月に魅了された名無しは日頃の戦いの事が少しでも忘れられそうな気がした。
ジープから少し離れた所の小川に名無しはやってくると、近くにあった少し大きめの岩に腰をかけた。
「…月……大きいなぁ」
フと空を見上げるといつも見ている月よりも今夜は少しばかり大きく見え、最近まで曇っていた空も視界一面に星が光り輝いていた。
確か此処って頂上付近だったはず…
だから月に近づいた様な感じに見えるのかな?
「……このまま…手を伸ばせば……」
星にすら手が届いてしまいそうーー。
そう思った名無しは大空に向かって手を差出した。
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