56話 必要としていたのは…俺の方だった。
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近くにいねぇと不安になる…。
だが…近くにいると汚してしまう…。
…大事だと思っているからこそ…
自分でもどうしたら良いのか分からなかった。
血にまみれたこの手で触れた事で…
名無しまでもが赤く染まってしまいそうでーー。
”ガラッ”
「ん?…あ、三蔵さん!」
自分の部屋に行くと名無しは縁側で空を眺めていたらしく、首だけで後ろを振り向くと俺の姿を見て微笑んでいた。
三「悟空と一緒じゃなかったのか?」
「さっきまでは一緒だったんですけど、お腹空いたって言って裏山に柿を取りに行っちゃいましたよ」
三「フン…本当に猿だな」
「フフっ…それ悟空が聞いたらまた怒っちゃいますよ
あ、それよりも仕事の方は大丈夫ですか?
ここ最近徹夜しているみたいだったから…。」
俺は「問題ねぇよ」と一言だけ返し、そのまま名無しの隣に並ぶようにして座った。
「何かこうやって昼間から三蔵さんと一緒にいるのって久々ですね」
三「日中はバタバタしてるからな」
確かにここ最近は反吐が出るほど忙しかった。
名無しとはあまり一緒にいられる時間の方が少なかったせいか、名無しも俺以外の奴等…特に悟空や八戒と一緒にいる時間の方が多かったような気がする。
「そういえば悟空ったらこの前、木の実がなっていると勘違いして取ってきたのが蜂の巣だったんですよ!
あの時は悟浄さんも一緒で二人とも蜂に追いかけられていて
フフっ、あの姿を思い出したら今でも笑っちゃいます♪
それと、昨日は八戒さんに美味しいお茶の淹れ方を教わったんです!
八戒さんって何でも知っているから…」
”ギュっ”
「……ぇ…」
名無しが楽しそうに笑いながらあいつらの名前を言いやがるから、俺はコイツの話しを遮るかのようにして自分の方に抱き寄せた。
案の定驚いた表情を浮かべた名無しは話す事を止めた。
こんな事でしかできねぇ俺もガキだなーー。
「えっと…三蔵…さん?」
三「あいつらの話しはするな」
「え?」
今はコイツの口から…俺以外の野郎の名前は聞きたくねぇ。
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