56話 必要としていたのは…俺の方だった。
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八「名無しさんを悟空に専領されているからって大人気ないですよ」
三「っ!」
八「気付いていないとでも思っていましたか?
三蔵の行動は分かりやすいですからね。
皆気付いていますよ。
それにさっきも名無しさんが悟浄の家に行ったと分かった途端、僕の言葉も聞かずに勢いよくここを出て行きましたよね。
あの子が大切なのは十分に分かっていますが、周りが見えなくなったり、声が聞こえ何なってしまったらお終いですよ」
三「何を勘違いしてやがる
俺はただ名無しに勝手に出歩かれて、迷子になられても迷惑だから事前に阻止しているだけだ
それにアイツが誰の所へ行こうと、誰を好きだろうと俺には関係ねぇ話しだ。」
八「おや?そうなんですか?
てっきり三蔵は名無しさんのこと好きだと思っていましたが…。
僕の勘違いだったって事ですかね」
三「…#」
八「でもまぁ、他人の色恋沙汰にクビを突っ込むのは僕自身もどうかなって思っていますが、この現状のまま続く方がどうかなって思いますよ」
三「フンッ…アイツが俺を必要としてねぇなら、俺がいちいちクビを突っ込む事はしねぇよ。
名無しの人生は名無しだけのもんだ。」
八「そうですか
あくまでも自分は外野だと言う事ですね」
三「……俺は…汚ぇ
…血を浴びすぎた……頭の先から脚の先まで…。
沢山の人間…妖怪の血で…俺はこの手を赤く染めた…。
だが名無しは違う…。
汚れを知らないからこそ…俺が触れる事は許されん
この手で…アイツを汚したくねぇんだよ」
ーーそう…。
俺の手は汚ぇ…。
どんなに洗い流しても…根まで染み込んだ赤い色は…。
今更消える事はねぇ…。
八「…ハァ…。
貴方はいつからそんなに弱くなったんでしょうかねぇ?
『恋は盲目』とは言いますが、まさかこんな鬼畜坊主を弱らせるまでとは思ってもいませんでしたよ」
三「んだと#」
八「貴方自分の勝手な思いばかりでネガティブ思考になっているようですが、三蔵は前に僕らに言いましたよね?
『汚れ物が今更綺麗事ぬかすな
雑巾には雑巾の役割があるだろうが』ってね
自分で自分の事を汚いとか言っている時点で三蔵も僕らと同じ汚れ物なんですよ
だったら汚したくないとか綺麗ごとをほざく前に、三蔵も雑巾らしく今自分がやるべき事をやったらどうなんですか?
貴方の行動を見ててこっちがいい迷惑なんですよ」
三「……っ」
コイツがもし悟空や悟浄だとしたら、俺は何の迷いも無く銃弾をお見舞いしていたかもしれねぇな
ーーだが…ムカつくが今回はコイツの言い分の方が正しいのかもしれねぇ。
俺は何かに理由を付けて自分から諦めようとしていた。
俺には関係ねぇって思おうとしていた。
だが、実際はどうだ?
名無しが悟浄の所に行こうとしただけで、悟空と一緒にいるだけでイライラしてやがる。
汚したくねぇだの言っておきながら矛盾しているな。
三「………フッ…そうだな…。
ーー俺も雑巾なのかもしれねぇな」
俺は自分自信にザマぁねぇなと思いながら八戒が持ってきた茶を一啜りして部屋を出て行った。
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