54話 溶けゆく雪とともに
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そのとき俺は、目の前にいる彼女の姿を見て、独角に言われた言葉と夢で見た名無しの事を思い出した。
【見ているだけで……それでいいのか?】
紅「Σっ!」
【ただ見ているだけで……何も行動にする事は無い】
…ち…違う…俺は…!
【空を舞う雪の様にただ見つめているだけ……触れれば溶けて消えてしまう…】
俺は…
俺は…!
【本当は種族なんか関係なく名無しには側にいてほしいと思ったからだろうが】
【私は……もっと…もっと…貴方と一緒にいたかった…。】
出来る事なら…望める事なら…!
名無しにはこれからも側にいてほしいんだ!
”グイッ”
「きゃっ…!」
俺は自分のこの気持ちを抑える事が出来ず、目の前にいた名無しの事を思いっきり抱きしめると、その反動で彼女が持っていた資料が足下にバラバラと落ちていった。
「こ、紅孩児?…どうしたの?」
どうもしないなんて言えるわけがない…。
…俺は…今なら……。
名無しにちゃんとその思いを伝える事が出来るだろうか?
…ちゃんと…
…自分の言葉で!
「っ…紅が「…名無しが…消えてしまいそうだったから」
「…え…?」
紅「ちゃんとこの手で掴んでおかないと…この雪と共に俺の側からいなくなってしまうんじゃないかと思ってしまうんだ。
少しでも名無しの姿が見えないと、俺は不安になってしまう…。
こんな俺は格好悪いかもしれない…頼りないかもしれない…。
でも俺は名無しにはこれからもここで……いや、俺の隣にいてほしいんだ。」
ーーもう…後悔だけはしたくない!
俺は名無しを抱きしめる腕に力を込めると、彼女の腕が俺の背中に周り、そのままギュッと抱きしめかえしてきた。
「大丈夫……私は消えたりしない
何処にも行ったりしない
私は…これからも紅孩児の側にいるよ
…私はここに来た時から、紅孩児の側にいると決めていたから」
紅「…名無し」
「……どんな事があっても離れないから」
紅「あぁ、これからも一緒だ」
本体なら”好き”という気持ちを言えたらどれだけ良かっただろうか…。
だが、今はこれで十分だ…。
こうやって…名無しが側にいてくれるなら…
END