54話 溶けゆく雪とともに
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
俺はファイルを手にし名無しの部屋へと向かった。
廊下にはコツコツと俺の足音だけが響き渡り、フと窓の外にに視線を向けると、先ほどまで晴れていた空からは白い雪が舞い降りていた。
ーーどうりで冷えるわけだ
”コンコン”
「はーい!」
紅「俺だ…入ってもいいか?」
何度も彼女の部屋に来て何度も扉をノックしたこの行動は、普段ならなんてこと無い行動だが、今回ばかりは少し緊張していると俺でも分かった。
扉が開かれるまでの間、その数秒がとてつもなく長く感じてしまった。
「紅孩児、どうぞ入って」
扉が開かれると、名無しはいつものように直ぐに俺を部屋へと通した。
「廊下寒かったでしょ?」
紅「さっき雪がふっていたのを見た。」
「雪が降ってたの!?
どおりで急に冷え込んできた筈だよ∪
あ、今暖かいお茶を入れるから、適当に座ってて!」
紅「…すまない」
俺は名無しに言われた通り、近くにあったロングソファに腰をかけた。
名無しの部屋は何度来てもいつも綺麗に整理されてあった。
…どこぞの研究室とは大違いだな。
「そう言えば何か用件でもあったの?」
少しして名無しはお茶を持って戻ってくると、目の前にあったテーブルの上に湯飲みを置いた。
紅「…あ…いや…独角が名無しに資料を渡してくれと言われて…。」
「資料?」
紅「前に八百鼡から渡すように頼まれていた資料だそうだ」
俺は手に持っていたファイルを名無しに差出した。
「ありがとう
…って、この資料1週間前の日付じゃない!∪
独角児さん忘れていたわね!」
紅「…∪」
独角…名無しに怒られる事分かっていたから俺に行かせたな∪
紅「すまない。
大事な資料だったんだろ?
俺からも独角には言っておく」
「あぁ〜別に紅孩児が謝る事じゃないよ
持ってきてくれてありがとう!♪」
紅「…っ/////」
いつもなら用件が終われば直に部屋を出て行くのだが、今回は差出されたお茶を素直に受け取り、いつも以上に少し長めに居座る事にした。
ーーそれはもしかしたら…。
【スゲェ愛おしそうな表情で名無しの事みてるの自分で気付いてねえだろ?】
独角にあんな事言われたからか?
そんな事思っていると名無しが突然俺の顔を覗き込んできた。
.