名無し達がいなくなった事で、先ほどまで賑やかだった部屋は一瞬にして静かになり、俺は小さく溜め息をつくと背後にいた話しかけてきた。



独「なぁ紅」




紅「何だ？」




独「……お前よぉ」




紅「だから何だ」




独「いつになったら名無しに告るんだ？」




紅「Σなっ！/////」




独角の口からそんな言葉が出た瞬間、俺は言葉を失い顔を一気に赤らめた。




独「くくく…お前でもそんな反応するんだな

俺が気付いて無いとでも思ったのか？
紅は隠していたつもりだろうが、バレバレなんだよ」



何故バレた？

俺は普段名無しやあいつらの前でも変な行動や態度はしてない筈だ…。


勿論言ってもいない




独「『何故だ？』って顔してるな？

お前の名無しを見る時の目だよ」




紅「目…だと？」





独「あぁ、スゲェ愛おしそうな表情で名無しの事みてるの自分で気付いてねえだろ？」






紅「……」




俺はそんな顔していたのか？

ましてやよりによって独角に見られていたとは…∪




紅「お前には関係のない事だ
それに俺には経文を手に入れて、母上を助けるという大事な任務があるんだ」




独「まぁ、確かに俺には関係ねぇ事かもしれねぇし、俺達が今やろうとしている事も大事だ。
でもだからといって自分の気持ちを押し殺してまで、ずっとこのままの関係でいいのか？」





ーー分かっている


自分でも分かっている…。



言えたらどんなに楽だろうか……どんなに安心できるだろうか…。



紅「俺は妖怪で名無しは人間だ
初めから通じるものはない…。」




独「だったら何で名無しをここへ連れてきた？」





紅「…っ」





独「まぁ、確かに名無しは薬に関してはすげぇ腕の持ち主だ。
…でもそんなの二の次なんだろ？

本当は種族なんか関係なく名無しには側にいてほしいと思ったからだろうが


……俺も名無しの事けっこう好きだぜ
明るくて、気が利いて、人懐っこくて、この前俺の事兄貴のような存在だっつってさ…。

妖怪の俺にそんな事言う奴が、妖怪だの人間だのって小せぇ事気にしてないんじゃねぇのか？」







ーー名無しは独角にそんなことを…







独「ーーあ…そういやこの前八百鼡が名無しに渡しておいてくれって言ってた資料まだ渡してなかったな」





紅「…？」




独「紅、悪いけどこれ名無しに届けてきてくれないか？
俺はこの後八百鼡に薬草を取りにいくの手伝えって言われてんだ」




急に何かを思い出したように独角は、机の上からファイルに入った資料を取り出すとそれを俺に渡してきた。



俺が何かを言おうとする前に独角は「じゃあな」とだけ言い残し、部屋から出て行ってしまった。








紅「…フッ…芝居が下手な奴だ」












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