54話 溶けゆく雪とともに
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鼡「大丈夫ですか?紅孩児様」
紅「っ…あぁ…心配かけてすまなかったな八百鼡」
俺は今日も八百鼡と独角を連れて三蔵一行の元に経文を奪いに行った。
城を出る前に李厘に見つかってしまい、何度も連れて行ってとせがまれたが、今回はとても危険な戦いになりそうだったため留守番をさせた。
李「あ!お兄ちゃんおかえりなさい!
怪我大丈夫なの!?」
紅「あぁ大丈夫だ
傷は八百鼡に治してもらった。
それよりもちゃんといい子に留守番していたか李厘?」
部屋に戻ると李厘が心配した表情で俺達を出迎えた。
李「勿論!
名無しちゃんがずっと一緒にいてくれたから暇じゃなかったよ!」
「お帰りなさい紅孩児
李厘ちゃんはちゃんといい子でお留守番をしていたよ
…って…今回も派手にやられたみたいね」
李厘と一緒に姿を見せたのは名無しだった。
数年前三蔵一行との戦いで深手をおって動けなかった俺を、人間である名無しは妖怪だとか人間だとか関係なく、俺の傷が癒えるまで看病をしてくれた。
言わば命の恩人だ。
名無しは以前住んでいた町ではとても腕の良い薬師をしていたらしく、八百鼡と同等かそれ以上の腕前を持っており、俺は名無しに看病をされるうちにその腕前と彼女の人柄に惚れ込んでしまった。
それから怪我が完治してからも何度も名無しの元に足を運び、吠塔城に来てくれないかと声をかけた。
初めのうちは名無しも「この町を離れる気はない」と言っていたが、あまりにもしつこい俺に呆れたのか、名無しは城へと来てくれた。
八百鼡や独角、そして李厘とも直ぐに仲良くなった。
それに関しては問題ないが、あのニィ健一までもが名無しの事を狙っており、俺は毎日が気が気じゃなかった。
アイツから名無しを守るように、俺の側から片時も離す事はせず、今回みたいに城を離れるような事がある時は、いつも李厘の事を名無しに任せていた。
「紅孩児?ボーッとしてどうかしたの?」
紅「…え…ぁ…いや何でも無い」
名無しの事を考えていたなんて口が裂けても癒える筈が無い。
「もし傷が痛むならちゃんと言ってね?
じゃ無いと李厘ちゃんが心配しちゃうから」
「……名無しは…心配してくれないのか?」
俺はポツリと小声で言葉を発した。
「ん?何か言った?」
紅「っ!…あ…いや別に/////」
「…?
…あ、そうだ八百鼡さん!
新しく薬の調合をしたから一度見てくれませんか?
以前の薬よりは副作用も抑えられているから、使用しやすいと思うんです」
鼡「えぇ、いいですよ
名無しさんの薬の調合は、私も勉強になりますから♪」
李「オイラも一緒に行く〜!」
そう言って名無しと八百鼡と李厘は部屋からでていくと、その場には俺と独角の二人っきりとなってしまった。
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