51話 その傷の証
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”ギュッ”
「…ぇ」
小さくてとても軽くて…今にも消えてしまいそうな名無しの体を自分の方に抱き寄せると、フワリと香るその桜の匂いが私の鼻孔をかすめていった。
敖「これ以上名無しが謝る必要は無い」
「でっでも!「これは証なのだ」
「…証?」
敖「貴殿を…名無しをこの手で守る事が出来たという証…。」
そう……どんなに消える事の無い刀傷が体中にあったとしても、今日新たに出来たこの傷は大切な人を守る事が出来たという証なのだ。
敖「いつも見ていた…貴殿を…。
いつも探していた…どんな所でも…。
いつも和ませてもらえた…貴殿の笑顔で…。
遠くで見つめる事しか出来なかった日々だったが、今日やっと貴殿に手を差し伸べる事が出来た
私としては大きな一歩になれたと思う」
「っ!…敖潤さんって」
敖「…?」
「そうやって優しく笑う事も出来るんですね」
敖「っ!」
私が笑っていただと!?//////
「いつも眉間に皺を寄せて怒った顔しているから心配していたんですけど、そんな風に優しく笑う事が出来るなんて初めて知りました」
敖「わ、私は別に…」
「その方がいいですよ
眉間にシワを寄せてばかりじゃなく、たまには笑う事も大切です」
さっきまで泣いていた名無しの顔はいつものように明るい笑顔へと変わっていた。
敖「ならば……ならば名無しが私に安らぎを与えてくれるか?
貴殿の前だけなら、私も嫌な事は忘れられる。
それに、貴殿がまた危ない目に遭いそうな時は……その時はまたこうやって手を差し伸べる事が出来る」
「クスっ、もうあんな危ない事はしませんよ。
ーーでも、もしものときは助けてください」
これが好きという気持ちなのだろうか?
これが守りたいという気持ちなのだろうか?
お互いそんな言葉を交えなくても
抱きしめた体の温もりから、その想いは伝わってくるようだった。
私にもまだ、この様な思いがあったのだな……。
ーー名無し…愛している
END