51話 その傷の証
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「ーー本当にごめんなさい
私のせいで怪我させちゃって」
敖「いや、これぐらい問題ない
この様な怪我…軍人なら日常茶飯事だ」
そうだ…確かにこんな傷いつもの事
刀を振るえばこれ以上の怪我だってする…。
こんな傷にいちいち構ってなどいられん
だが私がそんな事を言っても、手当をしている名無しの表情は優れなかった。
「軍人だからって理由で怪我に大きいも小さいもありません
どんな傷であれ生きていれば痛いものは痛いんです」
敖「…っ」
いつも名無しの笑顔だけを見ていた。
いつも名無しの太陽な明るい笑顔を…。
だが、今目の前にあるのは今にも泣きそうで、心から心配してくれている名無しの顔だった。
ーーこの様な顔もするんだな…。
敖「心配かけてすまなかったな
ーーそれよりも…貴殿はなぜ私の事を?
お互いこうやって話しをするのも初めての筈」
確かに今回が初めてだった。
どんなに遠くで彼女の事を見つめていようが、どんなに探そうが、私は今まで自分から話しをした事は無い…。
だから自分から名乗る事も無い。
「悟空…あ、さっき一緒にいた男の子なんだけど、その子から聞いたんです。
悟空って結構目がいいから、敖潤さんがいつも遠くで私の事を見てるの気づいていたらしく////」
敖「……っ////∪」
「それからなんです」
敖「…?」
「『今日も見ててくれてるのかな?』って思うようになってしまって…。
それからなんです……私も貴方の事目で追うようになって
今日も高い場所に登れば、私の居場所分かってくれると思ったんです。
……でも逆に怪我をさせてしまって。
…本当にごめんなさい」
名無しの目からはポタポタと涙が流れ落ちていた。
いつの間にか巻き付けられていた包帯の上から、両手で包み込むように優しく触れ、何度も『ごめんなさい』と謝っていた。
そんな名無しの姿を見た私の心はとても締め付けられそうな感覚に襲われた。
ーーそんな顔をさせたいわけじゃない
ーーそんな言葉を聞きたかったわけじゃない
ーー涙を流させたいわけじゃない
言葉で伝える前に、私の手は勝手に動いていた。
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